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  • 2020/04/23

【新型コロナ】飲食店を救え、地方自治体の支援策が全国で続々と

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、全国の飲食店が危機に立たされる中、地方自治体による支援の動きが広がってきた。宅配や持ち帰りを始める店への初期費用支援、出前に対するポイント還元、宅配利用料金の一部助成など方法はさまざまだが、地域の飲食店が壊滅しかねない厳しい状況に危機感を募らせ、苦しい財政から予算を捻出している。青森県青森市で飲食店支援活動を進める青森公立大経営経済学部の木暮祐一准教授(地域ICT戦略)は「民間の力だけでは限界があり、自治体のサポートはありがたい」と歓迎している。

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

1959年、徳島県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。地方新聞社で文化部、地方部、社会部、政経部記者、デスクを歴任したあと、編集委員を務め、吉野川第十堰問題や明石海峡大橋の開通、平成の市町村大合併、年間企画記事、こども新聞、郷土の歴史記事などを担当した。現在は政治ジャーナリストとして活動している。徳島県在住。

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新型コロナ対策の外出自粛で人出が激減している大阪市中央区の心斎橋筋商店街。周辺の飲食店は客の減少に悲鳴を上げている
(写真:筆者撮影)

心斎橋筋商店街や道頓堀で飲食店主から悲鳴

 戦前から「東の銀座、西の心斎橋」と呼ばれ、日本を代表する繁華街だった大阪市中央区の心斎橋筋商店街。長堀通から宗右衛門町まで南北約600メートルに百貨店、服飾店、飲食店など200店近くが軒を連ねる。3カ月ほど前までは訪日外国人観光客がアーケード街を埋め尽くし、足の踏み場もない状態だったが、今は閑古鳥が鳴いている。

 飲食店の店主は「訪日客が消えたあとも、しばらくは日本人客が立ち寄ってくれていたが、緊急事態宣言が出てからはさっぱり。売り上げの減少は半分どころの話やない」と表情を曇らせる。

 道頓堀沿いのネオン街は薄暮の時間になっても、人出がまばら。居酒屋では、大阪府の要請で営業を自粛しているバーの店員が「売り上げゼロでは店をたたむしかないかも。こんなご時世に次の働き口が見つかるやろか」と愚痴をこぼしていた。

 居酒屋は営業時間を午後8時までとし、酒類の提供を午後7時までにするよう要請された。店主は「一番もうかる時間に店を開けられないのが悔しい。コロナ収束まで資金繰りが続けばええけどな」と不満を漏らした。

 大阪府はこうした飲食店の苦境を打開するため、府が休業や時短要請した店への独自の支援策として最大で個人事業主に50万円、中小企業に100万円を支給する方針を明らかにした。府の貯金にあたる財政調整基金を取り崩すほか、協力を得られた市町村と折半する方針。すでに大阪市の内諾を得ているという。

 国と府、市町村の財源を活用して支援の枠組みを設計した。吉村洋文知事は記者会見で「5月の早い段階で行き渡るようスピード感を持って進めたい」と述べた。

 こうした支援金は大阪府のほか、東京都、埼玉県、神奈川県、岐阜県、愛知県、京都府など全国に広がりつつある。福岡市は店の家賃の8割を上限の50万円まで支援する方針を打ち出した。

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大阪府、神戸市など出前、持ち帰り支援に力

 自治体の多くは出前や持ち帰りによる売り上げの拡大を支援している。店主や従業員の暮らしを支えるだけでなく、飲食店の存在自体を地域資源の1つととらえているからだ。

 大阪府は出前館、NTTドコモ、ラインと連携し、キャッシュレス決済による1,000円以上の注文に対して500円分のポイントを還元する取り組みを始めた。ポイントの半額を府が負担する。

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大阪府のポイント還元制度の仕組み
(出典:大阪府提供)

 対象は府内の飲食店から府内の所在地へ配達したケースで、ポイントの利用も府内の飲食店から府内へ配達した注文に限定する。府の負担額上限は1億5,000万円としている。

 神戸市は飲食宅配代行のウーバーイーツと連携し、利用料金の一部を助成する。対象店はウーバーイーツに登録する中小規模の飲食店560店と今後参加する店で、ウーバーイーツが全額負担して5月10日まで進める割引キャンペーンを、市の負担で2カ月間延長する。

 市の財政負担は1,500万円と見込まれている。神戸市商業流通課は「市内の飲食店は売り上げ減少に苦しんでいる。宅配で売り上げを確保してもらうとともに、市民の外出自粛につなげたい」と述べた。

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ウーバーイーツの仕組み
(出典:神戸市発表資料)

 東京都は飲食店が宅配や持ち帰りを始める際、初期費用を支援する。助成額は最大100万円で、4億円規模の予算を確保する方針。小池百合子知事は記者会見で「日本経済は戦後最大の危機に直面している。速やかに対応し、全力でこの危機を乗り越えたい」と力を込めた。

【次ページ】奈良県生駒市は食事代先払いの仕組みを構築、支援策が全国で続々と

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