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  • 2020/10/15 掲載

「世界一の危険地帯」にいる日本人、歴史から学ぶべき3つのこと

202X年 ぼくらの生き方・働き方 Vol.02 伊藤賀一さん 後編

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新型コロナの影響で世界は混迷を深めています。果たして戦争は起きるのか? そのとき日本人はどうすべきなのか? そのヒントは歴史を振り返ることで見えてくるのではないでしょうか。日本一生徒数の多い社会講師として知られる伊藤賀一さんは「日本人は世界一の危険地帯にいる」と警鐘を鳴らします。今後、戦争は起きやすくなるのでしょうか。また、その中でぼくらはどのような生き方をしていけばいいのでしょうか。

編集協力:WORDS 竹村 俊助

編集協力:WORDS 竹村 俊助

1980年岐阜県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、日本実業出版社に入社。書店営業とPRを経験した後、中経出版で編集者としてのキャリアをスタート。その後、星海社、ダイヤモンド社を経て、2019年に株式会社WORDS代表取締役に就任。SNS時代の「伝わる文章」を探求している。主な編集・ライティング担当作は『段取りの教科書』(水野学)、『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平、以上ダイヤモンド社)、『メモの魔力』(前田裕二)、『実験思考』(光本勇介、以上幻冬舎)など。手掛けた書籍は累計100万部以上。2020年7月には初の著書『書くのがしんどい』(PHP研究所)が刊行される。オンラインメディア「note」に投稿した「WORDSの文章教室」は累計150万PVを超える。

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伊藤 賀一氏

前編はこちら(この記事は後編です)


戦争は起きやすくなるのか

 前回、世界は「ボーダー化」するということをお伝えしました。そこで浮かび上がってくるのが、戦争は起きやすくなるのか、という疑問です。第二次世界大戦が起きた理由は、世界恐慌のあとにみんなが自国のことだけ考えて「保護貿易」を始めたからでした。

 そもそも恐慌の発端であるアメリカは、植民地は少ないものの、国内に未開発の土地が多かったため、ニューディール政策によって自力で回復しました。イギリスとフランスは「ブロック経済圏」を作り、星の数ほど持っている植民地とだけ貿易をすることでしのぎました。

 ところがドイツは植民地ゼロ。第一次世界大戦後にすべてをはぎ取られたからです。イタリアも植民地はすごく少なかった。日本も正直、台湾・澎湖諸島と朝鮮半島と南樺太しか持っていませんでした。だからイギリスやフランスと同じように植民地を広げて、ブロック経済圏をつくろうと思った。そのブロック経済圏の作り合いで、戦争に発展したのです。

 ちなみにアメリカは本来、第二次世界大戦には無関係です。日本と戦争をするために、途中で横から入ってきただけ。第一次世界大戦のときと同じで、まったく無関係なのです。

 ブロック化が進んでいったことで戦争が起きた。そう考えると、今は非常に危険だと思います。「アメリカブロック」と「中国ブロック」です。それから「ロシアブロック」もなめてはいけません。資本主義国になったからといって、ロシアはアメリカ側についたわけではないからです。

 今まさに世界が「三分割」されようとしている。中国の「三国志」のような状態ですよね。しかも、その3ブロックともが核兵器を持っているわけです。

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世界はアメリカ・中国・ロシアに三分割されている
(Photo/Getty Images)

世界一の危険地帯にいる日本人

 そう考えると、日本はこれから慎重に立場を考えなければなりません。地政学的にその3つブロックの間に挟まれているからです。

 そんな国は世界でひとつしかない。防波堤みたいな島国に1億2,000万人も住んでいる。戦争がなくても、台風は直撃するわ、火山は噴火するわ、地震はあるわ、めちゃくちゃです。我々は世界一の危険地帯に住んでいるといっていいでしょう。だからぼくは今、大学で中国語を勉強しています(笑)。

 厄介なのは、中国が思想的に社会主義を捨てていないところです。ロシアは完全な資本主義国になりましたが、中国は「社会主義市場経済」です。頭は社会主義だけど経済は資本主義という独特な国。経済まで社会主義の国は、今や北朝鮮しか残っていません。

 世界にキーになる場所があるとすれば、日本周辺と、あとはパレスチナ、イスラエル周辺でしょう。

 パレスチナというのは興味深い場所です。1948年に国連の中にPKO(Peacekeeping Operations:平和維持活動)が生まれましたが、それはパレスチナ紛争を解決するためでした。第1回のPKOはパレスチナ紛争だったのですね。

 それから72年経った今もまだ紛争は収まっていない。第1回のPKOがいまだに続いているということを、みんなあまり知りません。カンボジアでのPKOなどのように、普通は数年すれば終わります。でも1回目のPKOはずっと続いている。

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ニュースの"なぜ"は日本史に学べ 日本人が知らない76の疑問 (SB新書) 伊藤 賀一
 パレスチナ問題は結局、ユダヤ教&キリスト教、イスラム教という3宗教間の2対1の「兄弟げんか」です。だから常に世界中の注目を集めている。

 そこに加えて日本周辺がキーになるというのは、ぼくが日本人だから自意識過剰になっているわけではなくて、普通に考えてそうなります。すごく危険な場所に、日本人は生きている。

 ただでさえ危険なのに、これから「ボーダー社会」になって、みんな壁をつくり始めているわけです。『進撃の巨人』のように、壁の向こうからどんどん巨人が攻めてくるような感覚を、もう少し持ったほうがいいと思います。

 日本、北朝鮮、台湾、香港、マカオあたりが壁の中です。何か起きたときには遅いのに、なんだかみんなのんきですよね。

 日本に核兵器が落とされたからといって、アメリカが中国に核兵器を撃ってくれるわけがありません。そんなことをしたら、中国からアメリカに核兵器が飛んでいきます。自国民をそんな目に合わせてまで、日本をかばう筋合いはない。日本の「核の傘」と言いますが、本当は傘なんかではない。それなのにみんな「傘に守られている」と勝手に思っている。そのくらい危険なのです。

【次ページ】アメリカと中国が危ない

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