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  • 2020/12/17

「YYH1」「YYH2」へ移行、マイクロソフト製品の増え続けるバージョン形式問題

山市良のマイクロソフトEYE

マイクロソフトはWindows 10の新バージョン「Windows 10 October 2020 Update」から、Windows 10のバージョン形式をこれまでの「YYMM」(YYは暦年下2桁、MMは2桁で表した月)から、「YYH1」「YYH2」形式に移行しました。果たしてこの変更は良い判断と言えるでしょうか。すぐに元に戻ることはないのでしょうか。

フリーライター 山市 良

フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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画面1 Windows 10 October 2020 Updateのバージョンは「20H2」。旧型式の「2009」というバージョン番号も持ち、たとえば、Get-ComputerInfoは旧型式を返す


バージョン表記が「YYH1」「YYH2」になった経緯

 マイクロソフトは「Windows 10 Creators Update」以降、Windows 10の新バージョンのOSビルドを3月頃と9月頃に完成させ、それぞれバージョン「YY03」、バージョン「YY09」としてリリースしてきました。しかし、2020年になると、過去の製品、たとえば5年前にサポートライフサイクルが終了した「Windows Server 2003」などの過去の製品との混乱を避けるため、「Windows 10 May 2020 Update」をバージョン「2004」としてリリースしました。

 そして、先日、リリースされた「Windows 10 October 2020 Update」からはバージョン表記を「YYH1」「YYH2」形式に移行し、バージョン「20H2」としてリリースしました。おそらくは互換性(バージョン番号の大小による新旧の識別など)のためと思うのですが、バージョン「20H2」は「2009」という旧型式のバージョン番号も引き続き持ちます(画面1)。

 ちょっと待ってください。「YYMM」形式のバージョン表記が問題になるのは2020年にリリースされる製品に限られます。2021年は「21MM」、2022年は「22MM」、2023年は「23MM」(MMは月を表す数字)のように、100年後は別として、この先、当面の間はこれまでのバージョン表記が問題になることはありません。「Windows 10 October 2020 Update」のリリースを乗り切ればバージョン表記の2020年問題は終わりのはずでした。

YYMM形式、もうみんな慣れてきたところでは?

  Windows 10は、「May 2020 Update」のようなフレンドリ名、「2004」といったバージョン番号、「19041」といったビルド番号、「19041.508」といった品質更新のレベルを示す詳細なビルド番号、そして「Threshould(TH)」、「RedStone(RS)」、「20H1」、「Vibranium」といった開発コード名で識別されます。「October 2020 Update」はバージョン「20H2」の他に旧型式のバージョン「2009」を内部的に持ち、同じOSビルドであるWindows Serverの半期チャネル(SAC)は製品名としてはバージョン「20H2」でリリースされましたが、OSが返すバージョン情報に「20H2」は含まれません(旧型式のバージョン「2009」で識別できます)。

 つまり、今回、新たなバージョン表記「YYH1」「YYH2」が仲間に加わったわけです。多くの名前はミスを生みます。実際、マイクロソフトの公式ドキュメントには存在しない名前(May 2019 UpdateをMarch 2019 Updateと誤表記など)が登場することがあります。

 マイクロソフトは古くから、サーバ製品の長期サービスチャネル(LTSC)やOfficeアプリの永続ライセンスでは暦年4桁のバージョン表記を製品名で採用してきました。「Windows Server 2012/2016/2019」、「SQL Server 2014/2016/2017/2019」、「System Center 2012/2016/2019」、「Office 2013/2016/2019」などです。

 一方、Windows 10をはじめ、半期チャネル(SAC)のようなモダンライフサイクルの製品が登場すると、ビルド番号と1:1で対応する「YYMM」形式のバージョン表記を使用するようになりました。Windows 10以外では、半期チャネル(SAC)のWindows Server(画面2)、「Microsoft Endpoint Configuration Manager(旧称、System Center Configuration Manager)」(画面3)、「Windows Admin Center」(画面4)など、多数の製品で採用されています。

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画面2 半期チャネル(SAC)のWindows Serverは、Windows 10と同じバージョンが同じサイクルでリリースされる。最新バージョンは「20H2」だが、Get-ComputerInfoは「2009」を返す

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画面3 Microsoft Endpoint Configuration Managerは「Current Branch」(Windows 10の半期チャネル(SAC)の旧称)のリリースサイクルで新バージョンが提供される

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画面4 HTMLベースのWindows ServerおよびWindows 10の管理アプリ、Windows Admin Centerは半期に一度、新バージョンがリリースされる

 「System Center」製品(Virtual Machine Manager、Operations Manager、Data Protection Manager」など)についても2018年に半期チャネル(SAC)が採用され、「YYMM」形式のバージョン表記を持つようになりましたが、これは1年ほどで廃止され、現在は長期サービスチャネル(LTSC)リリースのみの提供になっています。

 このように「YYMM」形式のバージョン表記の製品が多くなり、多くの人は慣れてきたと思います。「Windows Server 2003」と「Windows Server, version 2003」(実際はversion 2004)を混乱する人はいるかもしれませんが、分かってしまえば笑い話で済みます。

 2020年も終わりに近い10月になって、Windows 10のバージョン表記を「YYH1」「YYH2」に移行する意味はあるのでしょうか。利点があるとすれば、下2桁を間違うことがなくなるということくらいでしょうか。ただし、それも今後、長い間、「YYH1」「YYH2」の命名規則が続くことを前提とした話です。突然、「YYH1」「YYH2」形式に変更されたように、また突然、元の形式に戻す、あるいはまた別の形式に移行するなんてことがないとも限りません。

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