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  • 2021/03/12

部下のLGBTQカミングアウト、どんな言葉をかけるべき? 元上司・部下の「実話」で解説

LGBTQをめぐる社会の状況は激しく変化している。突然、部下からカミングアウトを受けたら、あなたは部下の思いを受け止め、自信をもって対応できるだろうか。会社は適切に支援できるだろうか。5年前、部下と上司だった私たちは「カミングアウト」を実際に経験した。そのときのことを【元上司】と【元部下】の視点で振り返ってみたいと思う。

LGBTとアライのための法律家ネットワーク 理事 藤田直介(元上司)、理事 稲場弘樹(元部下)

LGBTとアライのための法律家ネットワーク 理事 藤田直介(元上司)、理事 稲場弘樹(元部下)

藤田 直介
LGBTとアライのための法律家ネットワーク共同代表及び共同創設者。早稲田大学法学部卒、米国ミシガン大学ロースクール法学修士。1987年弁護士登録後(39期)、国内法律事務所、米国法律事務所を経て、2009年3月よりゴールドマン・サックス証券株式会社法務部部長、同社LGBTネットワーク・アライ。2017年6月本団体の活動に関連して英フィナンシャル・タイムズ企業の法務部門に関する「最も革新的な法務責任者」部門を受賞。

稲場 弘樹
LGBTとアライのための法律家ネットワーク理事及び共同創設者。京都大学法学部卒、米国ニューヨーク大学ロースクール法学修士。国内金融機関、外資系金融機関を経て、2002年4月よりゴールドマン・サックス証券株式会社勤務。シニア・カウンセル、ヴァイス・プレジゼント。同社LGBTネットワーク共同代表。

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部下からのカミングアウト、あなたならどんな言葉をかけますか?
(Photo/Getty Images)


【元上司】ある日突然、部下がカミングアウト

 ゴールデンウィーク直後ののどかな一日、部下とのいつもの何事もない報連相のはずだった。

「お話があります。」

 いきなり切り出された(ように記憶している)。部下の「お話」にはいつも辛酸をなめさせられてきた。緊張と覚悟をもって次のことばを待った。

「私、ゲイです。」

 しばし沈黙が流れた。LGBTQ研修は受けていたので「ゲイ」の意味はわかっているつもりだった。ただ、部下から「カミングアウト」を受けるという状況はまったく想定していなかった。頭が一瞬まっしろになった。


 カミングアウトを受けて最初に何と答えればよいのか? 最初の対応を誤り部下が傷ついた場合、ハラスメントとして責任問題に発展することはないだろうか? いっそのこと、ここは聞き流して、人事にバトンタッチしておまかせしたほうがよいのではないか? そんな考えが脳裏をよぎるかもしれない。

 しかし、上司には部下のカミングアウトを正しく受け止め、適切に対応する義務がある。そのためには、まず部下の視点を理解しなくてはいけない。元部下である稲場さんに、当時の思いを振り返ってもらった。

【元部下】上司にカミングアウトしようと思った理由

 部下が職場でカミングアウトをする理由はさまざまだと思う。私が上司にカミングアウトをしたのは、私が当事者であることを上司に知ってほしかったからだった。

 上司はそれまでの5年間、会社が提供する管理職向けLGBTQ研修で得た気づきを部会で部員と共有したり、全社員向けLGBTQイベントへの参加を部員に促したり、アライであることを表明するためのテントを机に置いたり、会社のLGBTQネットワーク代表の当事者を部会に連れてきて話をしてもらったり、全社員向けのLGBTQドキュメンタリー映画の上映会兼トークイベントを自分で企画したりと、LGBTQの当事者のため大変な尽力をしてきていた。

 そのような上司に、上司がしてきたことがいかにLGBTQの当事者にとって勇気づけられるものであったかを伝えたかった。上司と一緒に上司が企画しているLGBTQのイベントに、LGBTQの当事者であることをカミングアウトして取り組みたかった。

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上司の取り組みを近くで見ていたからこそ、伝えたかった
(Photo/Getty Images)

 しかし、LGBTQの当事者にとってカミングアウトするということは、職場であれ、どこであれ大変勇気のいることだ。当然、カミングアウトする相手がどのような反応をするか確実には予想できない。

大丈夫だと思ってカミングアウトしたのに予期せぬ反応があるかもしれない。
LGBTQに理解のない職場の人にも伝わって職場の人間関係が悪くなるかもしれない。
あからさまには言われなくても陰でこそこそうわさ話されるかもしれない。
取引先にも伝わって担当を変えてくれと言われるかもしれない。
(当事者であることを隠すために)今までうそをついていたことを非難されるかもしれない。
上司に理解がなくキャリアに悪影響があるかもしれない。
表立っては言わないものの内心LGBTQを嫌っている同僚から360度評価で悪いことを書かれるかもしれない。ひどい場合には会社に居づらくなるかもしれない。
家族に言っていなかった場合は家族に伝わってしまうかもしれない。
家族には言っていた場合でも家族から隣近所の人に知られると嫌なのであまり世間に広めてくれるなと反対されるかもしれない。
パートナーがクローゼットでカミングアウトに反対かもしれない。

 さまざまな不安が頭をよぎるだろう。社会人になってそれなりの期間が過ぎている人であれば、隠すことにも慣れていて、そもそもカミングアウトしていなくてもそんなに職場で不自由していないと感じる人も多い。実際、性的指向や性自認の話は職場でする話ではないと思っている人も多い。

 これらのさまざまなリスクや反対を乗り越えてカミングアウトするわけで、それ相応の強い思いと理由があり、また、カミングアウトしても安全であると確信できない限り、できることではない。

【次ページ】カミングアウト時に伝えたい「3つの言葉」

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