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  • 2021/08/25

なぜセールスフォースとマイクロソフトの競争が激化? Slack買収後とTeams2.0戦略

米セールスフォース・ドットコムによるSlack買収手続きが完了し、両社のテクノロジーを活用した初のサービス「Slack-first Customer 360」が発表された。このコラボレーションツールの買収の背景にあるのが、ライバルであるマイクロソフトとの戦いだ。2015年には、マイクロソフトがセールスフォースを買収する寸前まで話が進んでいたとも言われる。その後、いくつかのM&Aでしのぎを削ってきた両者には、戦う必然がありそうだ。今回は両者の今後の動きを展望してみたい。

執筆:友永 慎哉

執筆:友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

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米セールスフォースは2020年12月にSlackを277億ドル(当時のレートで2.9兆円)で買収した
(写真:AP/アフロ)



[2021/08/26 15:55修正]
※記事公開時誤解を招く表現がありました。読者ならびに関係者の皆さまにお詫び申し上げます。
誤:4月に1億4500万人だったTeamsのユーザーは、既に2億5000万人にまで増えているという。
正:4月にDAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)で1億4500万人だったTeamsのユーザーは、7月にはMAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)で2億5000万人にまで増えているという。もちろん毎日のアクセスをカウントするDAUよりも、月に1度でもアクセス数をカウントするMAUのほうが数字は増える可能性は高いが、それでも1億という数字は非常に大きな数字と言える。なお、コロナ禍前の2019年11月のDAUは2000万だったので、同じDAUの比較でも4月の時点で7倍に増加していた。

ベニオフ氏が目指す企業アプリケーションのこれから

 Slackは2013年8月に米国でリリースされたコラボレーションアプリケーションだ。2020年3月の時点で1250万ユーザーがあり、ソフトバンクが全社の2万人が利用するなど日本でも広く普及している。

 ソフトバンクでは過去に、日常的なやり取りにメールを使い、すばやい意思決定が求められる場面では関係者を集めて対面で会議を実施していた。

 しかし、このやり方では、ビジネスのスピードを上げようとすればするほど、対面会議の数が増えていくという欠点があったという。ソフトバンクには、何事もすばやく決めて実行する企業文化があり、結果として、多数の会議が日々実施されていた。

 同様の企業は多いと考えられる。しかし、コロナ禍により出社がままならないとなると、働き方を変えざるを得なくなってくる。そこで、クラウド上に仮想的なワークスペースを構築する、Slackのようなコラボレーションアプリケーションが求められている。

 Slack買収にあたり、セールスフォースのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は「コラボレーション領域は業界の大きな流れになる。そのサービスを支えるのはさまざまな別のサービスやアプリケーションだ」と話し、今後「デジタル本社(デジタルHQ)」を創造していくとうたった。

 さらに、人工知能(AI)などの最新テクノロジーの存在も挙げた上で、それらをSlack上に融合させ、一般ユーザー、専門家、知識労働者、経営者などが利用できるようにすることが重要と指摘している。

 2016年、ビジネス向けSNSであるLinkedIn(リンクトイン)の買収合戦で、セールスフォースはマイクロソフトに競り負けた経緯もあり、ベニオフ氏にとってSlackはどうしても実現したい案件だったと言われている。

 一方、Slackにとっても、Teamsを提供するマイクロソフトやGoogle Meet、Zoomなどビデオ会議でシェアを伸ばす企業が、メッセージング機能の追加などにより競合してきており、セールスフォースの買収提案は渡りに船だった面もある。

 米Wall Street Journalによると、Slackのスチュワート・バターフィールドCEOが2020年、「彼ら(マイクロソフト)は我々を殺したがっている」と話したという。

 Slackは2020年夏に、マイクロソフトが独占的地位を利用してTeamsをユーザー企業に訴求していることが、反トラスト法に違反しているとして、欧州連合(EU)に苦情を申し立てている。

 マイクロソフトは2016年にSlack買収を持ちかけたことがあり、状況はなかなか複雑だ。

世界的ソフトウエア企業2社がいざ大勝負へ

 セールスフォースにとって今回の買収の狙いは、さまざまな指摘の通り、対マイクロソフト一択であろう。

 Windowsビジネスへのこだわりを捨てられなかったスティーブ・バルマー氏から、2014年にCEOを引き継いだのがサティア・ナデラ氏。同氏のクラウドやエンタープライズビジネスへの舵切りは、見事であり、激しかった。

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クラウドやエンタープライズビジネスに大きく舵を切ったマイクロソフトのサティア・ナデラCEO
(写真:AFP/アフロ)

 クラウドサービスのAzure、Officeスイートのクラウド化を進め、コロナ禍を背景にコラボレーションサービスのTeamsが絶好調であることが7月の四半期発表で明らかになった。4月にDAU(デイリー・アクティブ・ユーザー)で1億4500万人だったTeamsのユーザーは、7月にはMAU(マンスリー・アクティブ・ユーザー)で2億5000万人にまで増えているという。もちろん毎日のアクセスをカウントするDAUよりも、月に1度でもアクセス数をカウントするMAUのほうが数字は増える可能性は高いが、それでも1億という数字は非常に大きな数字と言える。なお、コロナ禍前の2019年11月のDAUは2000万だったので、同じDAUの比較でも4月の時点で7倍に増加していた。

 一方で、セールスフォースの動きを振り返ると、Chatterの展開、Quipの買収などがあったが、効果的だったとは言い難い。2019年に148億ドルでタブローを、2018年に58億ドルでミュールソフトを買収するなどの動きがあったが、プロダクト間の統合を強く意識するマイクロソフトほどの集中力は見えない。

 コロナ禍という特異な要因が、さらに両者の取り組みの効果の差異を浮き彫りにしてしまった面がある。

【次ページ】マイクロソフトからの見え方は?

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