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  • 2021/09/02

「ノーコード」を5分で理解、メリットと注意点、いったい何が変わるのか?

新連載:ここから始める「ノーコード」

プログラミングの知識やスキルがなくともWebアプリケーションを開発できる「ノーコード(開発)」。ITエンジニア不足がさけばれる中、非IT人材でもデジタル化を推進できるとして近年も大きな注目を集めています。本連載では、『ノーコードシフト プログラミングを使わない開発へ』の著者の安藤昭太氏が、ノーコードの基本知識から事例などの実践編まで、今知っておくべき知識を紹介していきます。第1回はノーコードの定義や歴史、なぜ今注目されているのか、そして代表的なメリット、デメリットを解説します。ぜひ、自社でのノーコード開発着手に先立ち、基礎を身に着けていきましょう。

sowacana代表 安藤昭太

sowacana代表 安藤昭太

大学卒業後、富士通入社。独立後、エンジニア経験を活かし、社会課題をITで解決する会社を立ち上げ、さまざまな社会課題の解決にエンジニアとして関わる。その後、エンジニア人材育成事業を経て、ノーコード事業を開始。大学機関や企業、NPOなど社会性の高い事業をメインにノーコードによる新規事業開発や業務改善のプロジェクトに参画している。自身でも数社のCTOとしてノーコードによるサービス開発を行う。
sowacana Webサイト:https://sowacana.com

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ノーコードをやさしく、深く、解説します
(Photo/Getty Images)

ノーコードの定義とその歴史

 最初に「NoCode」という言葉を使ったのが、世界中の新しいサービスを紹介するサイトである「Product Hunt」(プロダクトハント)の創業Ryan Hoover(ライアン・フーバー)が書いたブログ記事です。当時すでに多くのノーコードツールがProduct Huntで紹介されていて、それらのツール群が「世界中のすべての人が作り手になる」ことを予想し「ノーコードの勃興」というタイトルでブログを公開しました。

 この記事では、ノーコードの定義を「GUI(画面操作)のみで、機能が充実したWebアプリを作ることができるサービスの総称」としています。これまでWebアプリと言われるインターネット経由で利用できるサービスを作ろうと思うと、必ずプログラミングが必要でした。しかし、ノーコードツールを活用すれば、プログラマーではなくても、アイデアを実現することができるようになったのです。

 一方で、ノーコードがとても新しい技術で構成されているかというとそんなことはありません。これまでの技術を組み合わせて作られていて、革命的なアイデアというわけではありません。

 歴史を紐解くと、これまで多くのエンジニアやプログラマーたちが、できるだけプログラミングをせずにWebサイトやWebアプリを作る方法はないか試行錯誤をしてきました。

 この試行錯誤の歴史の中で、最も古いツールと言われるのが、1979年にリリースされた「VisiCalc」というApple IIに搭載された表計算ソフトウェアです。ノーコードという概念はここから始まったとも言えます。

 この進化の過程で、プログラミング量を少なくするために同じような処理を共通化するライブラリやフレームワークが出てくることで、プログラマーになるハードルは下がっていきます。

 一方で、Microsoft WordやExcelが事務作業を効率化し、画面操作だけでPCを扱えるようになります。この積み重ねこそが、いまのノーコードツールを生み出したといえます。

なぜいまノーコードがブームなのか

 既存技術を組み合わせただけのノーコードツールが、なぜいまこんなにも注目されているのでしょうか。その背景は大きく3つの要因が複合的に合わさっています。

■IT人材不足
 1つ目は、IT人材の不足です。何かビジネスをしようとするとIT知識が必ず必要になってくる現在において、IT人材は必須人材です。しかし、ITエンジニアの数が、ビジネスニーズに追いついておらず、どの会社もIT人材不足で悲鳴を上げている状況です。社員をITエンジニアにするといっても、時間的にも金銭的にもコストがかかります。

 一方で、ノーコードツールは一定のIT知識があれば、活用できます。たとえば、新規事業でプロトタイプを作りたい、業務改善のたえに紙業務をデジタル化したい、などのニーズをノーコードツールを活用することで満たすことができます。これまではシステムの規模や複雑さを問わず、プログラマーが必要だったものが、小規模でシンプルなシステムはノーコード人材(ノーコーダー)が対応することで、既存の人材を活用し、IT人材不足を解消できます。

■クラウドサービスの一般化
 2つ目は、クラウドサービスが一般化したことです。「クラウド」とは、サーバやデータをインターネット上に配置して、ブラウザで閲覧する仕組みの総称です。クラウドサービスとはこの仕組みを活用したサービスのことです。高いサーバやソフトウェアを購入することなく、主に従量課金や月額支払いで使用できるこの仕組みは、安価にシステム開発ができるノーコードツールの礎となっています。

 一方で、データをインターネット上に配置するというこの仕組みは、セキュリティの不安というデメリットがつきまといます。クラウドがいまのノーコードのようにブームになっていた2010年ごろは、「個人情報は置けない」、「匿名データの分析でしか使えない」などと言われ、社内の業務システムをクラウド化するなんてもってのほか、という雰囲気でした。

 そこから10年が経ち、多くのIT企業やIT系人材が尽力し、セキュリティの向上や啓発活動をした結果、一般に受け入れられました。いまでは銀行や官公庁の基幹システムでさえもクラウドの上です。

 10年かかってクラウドという仕組みが技術的にもビジネス的にも受け入れられたことで、ノーコードが受け入れられる素地ができました。従前どおり、サーバやソフトウェアを購入してインストールする必要があれば、その作業自体がエンジニアリングであり、ノーコードとは言えないからです。手持ちのPCでブラウザを立ち上げてログインすれば開発ができる、という現在だからノーコードがブームになったと言えます。

■課題の多様化と複雑化
 最後が、課題の多様化と複雑化です。物理的に満たされた社会になり、人々の興味関心が多様化しています。働き方も個人の事情で変わったり、日々の生活や人生そのものも個人の判断が尊重されるようになりつつあります。顧客ニーズが多様化し、複雑化することは、私たちのビジネスにも大きく影響します。商品やサービスはもちろん、雇用や商流、ビジネスそのものが個別化していき、常に新しい取り組みで勝負する必要があります。

 このような社会では、大資本を投下して大量に生産するモデルはうまくいかないことは自明です。つまりこれからは、小さい投資で少量多品種の商品やサービスを世の中に提示し、小さく失敗しながら、大きく育てることをしないといけなくなります。

 小さく始めて大きく育てるのは、ノーコードツールの得意分野です。大企業の新規事業部門は、外から見るほど予算がありません。中小企業ならなおさらです。しかし、ノーコードでモバイルアプリを50万円から作れます、Webアプリも50万円から作れます、となるとどうでしょう。これまで小さすぎて入れなかった市場を開拓できますし、運用コストが抑えられれば、市場が小さくても十分利益が出るでしょう。

 さらに言えば、多様化する社会を実現するための下支えにもなることを考えると、サステナブルなビジネスモデルとも言えます。

 このようにノーコードツールがあれば、多様化し複雑化する課題をチャンスと捉えてビジネスを行うことが可能になります。

 さて、ノーコード活用には多くのメリットがある一方、利点だけではなく注意点もあります。上述した「社内人材のIT人材化(内製化)」と「学習コストの低さ」以外に、次ページでは利点と注意点をさらに詳しくご紹介します。

【次ページ】ノーコードの利点と注意点

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