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  • 2021/09/27 掲載

UCaaSとは何か?Zoomやマイクロソフト台頭で激変する、シェアトップ5社

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ユニファイドコミュニケーション(UC)とは音声、映像、テキストを含む通信サービスを「統合」したIT環境を実現するための手法である。この7~8年ほどの間、企業の音声インフラのリプレース需要やコラボレーションやEメール、ファイル共有などのアプリケーションをクラウドに移行する動きを背景に、市場規模としては順調に成長してきた。一方で、ここにきての新型コロナウイルス感染症のパンデミック発生とそれに伴うテレワーク需要の急拡大に加え、もともとあったデジタルトランスフォーメーション(DX)の要請や働き方改革の実践により、UCをクラウドでサービスとして利用する「UCaaS(UC as a Service)」が広まってきている。Zoomによるオンライン会議が話題に上ったことなどを皮切りに、UCの提供ベンダーの序列にも大きな変化が起きている。

執筆:友永 慎哉

執筆:友永 慎哉

製造業向け基幹系システムの開発を経験後、企業ITの編集、ライター業に従事。ファイナンス、サプライチェーンなど、企業経営の知識を軸にした執筆に強みを持つ。インダストリー4.0など新たな技術による製造業の世界的な変革や、Systems of Records(SoR)からSystems of Engagement(SoE)への移行、情報システムのクラウドシフトなどに注目する。GAFAなど巨大IT企業が金融、流通小売り、サービスといった既存の枠組みを塗り替えるなど、テクノロジーが主導する産業の変化について情報を収集・発信している。

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コロナ禍によるテレワーク増を背景にユニファイドコミュニケーションへの注目度が改めて高まっている
(Photo/Getty Images)


コロナ禍が変えるUC市場への要求

 IDC Japanが2021年5月21日に発表した「国内ユニファイドコミュニケーション/コラボレーティブワークスペース市場予測」では、2020年の同市場は前年比成長率8.7%、売り上げベースの市場規模が4,084億7,800万円と順調に成長していることが分かった。

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国内ユニファイドコミュニケーション/コラボレーティブワークスペース市場予測、2021年~2025年
※本市場予測は、2021年3月末時点における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響および見通しを考慮している
(IDC Japan, 5/2021)

 2020年の特徴は、コロナ禍による三密回避の必要性から、ウェブ会議アプリケーションやコンテンツ共有アプリケーションなどの需要が急速に増加したことである。顧客や従業員の行動様式が変容することにより、ユーザー企業が根本的な働き方改革を実践し、デジタル空間での顧客エクスペリエンス向上施策を実践している。

 今後のUC市場を占う上でも、テレワークの普及状況がポイントになってきそうである。

UCaaSとは何か?UCと何が違うのか

 ガートナーは、UCaaSを「構内ベースのUCソリューションと同じ機能の多くを提供するクラウド配信サービス」と定義する。主に電話(テレフォニー)、会議(ウェブ会議を含む)、メッセージング、モビリティとソフトウエアクライアントといった機能である。一方で、UCaaSの調達、運用、配信モデルは、従来導入が多かった構内ベースのUCとは大きく異なると注釈している。

UC、UCaaS導入のメリット

 音声、映像、テキストを含む通信サービスを「統合」したIT環境を実現するUC。従業員は1つのデバイスから音声や電子メールなど複数のメディアに統合的にアクセスできるようになるため、情報の流通がスムーズになり、結果として意思決定を迅速化できる。UC導入の主なメリットは以下の通りだ。

UC/UCaaS導入の主なメリット
  • ユーザーがどこにいても連絡が取れる
  • 電話の取り次ぎや伝言などで生じていた業務を削減できる
  • 場所を問わずウェブ会議を実施できるため自由な働き方が実現
  • 全従業員向け情報共有などがしやすい

ガートナーが発表するリーダー企業に大変化

 ガートナーが2020年11月12日、UCaaSについて、最新のMagicQuadrantを発表している。わずか2年前の2018年と比較しても、上位評価されているソリューションベンダーが大きく入れ替わっている点に注目が集まる。

2020年 2018年
リーダー企業 マイクロソフト
RingCentral
シスコシステムズ
Zoom
8×8
Verizon
RingCentral
BT
Orange
8×8
ガートナーが発表した「Magic Quadrant for Unified Communications as a Service, Worldwide」のリーダー企業一覧。2020年版と2018年版を比較
(出典:ガートナーの資料を基に筆者が作成)

 2020年のマジッククワドラントで、リーダーと分類された企業は、マイクロソフト、RingCentral、シスコシステムズ、Zoom、8×8の5社だった。

 一方で、2018年に実施された同様の調査で、リーダーはRingCentral、8×8、Verizon、Orange、BTの5社だった。この際にリーダーの1社だったOrangeは「エンドユーザーのフィードバックと分析に耳を傾け、行動を起こすことがチャットボット、API統合、人工知能などの新しいテクノロジー活用し、成功するために必要」とUC市場における優位性の獲得に関してコメントしていた。

 だが、わずか2年の間で、RingCentralと8×8以外は入れ替わってしまった。2018年時にチャレンジャーだったマイクロソフト、シスコシステムズが、2021年の調査ではリーダーに昇格している。Teamsがユーザー数を急増させていることが象徴的だが、やはりコロナ禍によるテレワーク需要の急拡大に対応したかどうかが、ベンダーの浮沈を分けているようだ。

【次ページ】2020年の調査における注目企業

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