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  • 2022/03/15 掲載

ウクライナ危機が突き付ける「日本の」経済活動と安全保障、検討すべき事案とは 篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第144回)

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ロシア軍のウクライナ侵攻が世界を震撼させている。G7をはじめとする国際社会が経済制裁の強化などで対抗姿勢を貫く中、日本では2月25日に経済安全保障法案が閣議決定された。法案提出までの議論では、法制上の手当てを講じて取り組むべき分野として4項目が提示されたが、ICTはそのいずれにも深く関わる「かなめ」の領域といえる。今回は、冷戦終結から約30年を経て再来する経済活動における安全保障上の問題について考えてみよう。

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

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ウクライナ情勢から日本の経済活動と安全保障を考察する
(Photo/Getty Images)

ウクライナ危機の翌日に閣議決定された「経済安全保障法案」

 2月24日に始まったロシア軍のウクライナ侵攻で世界に激震が走っている。国連の安全保障理事会で対立の構図が鮮明になる中、G7をはじめとする国際社会はSWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:国際銀行間通信協会)からのロシア排除など経済制裁を強化する姿勢で対抗している。

 一連の動きからは、経済活動と安全保障がまさに表裏一体であることがわかる。緊迫した国際情勢の中、日本では2月25日に「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案」いわゆる「経済安全保障法案」が閣議決定され、第208回通常国会に提出された。その第1条には、同法案の目的が次のように記されている。

この法律は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、安全保障を確保するためには、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大していることに鑑み(中略)安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
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検討されてきた「経済安全保障上の主要課題」
(出典:内閣官房 経済安全保障推進会議)

2年前から始まっていた経済安全保障の議論

 この法案に向けて、政府は2020年4月に国家安全保障局に経済班を設置し、経済分野における国家安全保障上の課題について検討を開始、翌2021年6月の「経済財政運営と改革の基本方針」いわゆる「骨太の方針」に盛り込まれた。

 そこでは、「基本的価値やルールに基づく国際秩序の下で、同志国との協力の拡大・深化を図りつつ、我が国の自律性の確保・優位性の獲得を実現」すべく「重要技術を特定し、保全・育成する取組を強化するとともに、基幹的な産業を強靭化するため、今後、その具体化と施策の実施を進める」との方針が掲げられた。

 当時を振り返ると、本格化する米中の経済摩擦、コロナウィルス感染症の世界的蔓延、世界各地で頻発する自然災害など、さまざまな社会経済情勢が背景に横たわっていた。今回のウクライナ危機が突き付けた国際社会の厳しい現実によって、改めて経済活動と安全保障の重要性が認識されたといえるだろう。

【次ページ】法制上の手当てを講じるべき4分野とICT

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