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  • 2022/05/19 掲載

樋口監督「今後はオリジナル作品も」、シン・ウルトラマンにも散りばめられたテーマ

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クオリティーの高いCG表現と新たに構成されたストーリーで、5月13日の公開以来、大ヒット公開中の『シン・ウルトラマン』。監督を務めた樋口真嗣氏はこれまでさまざまな最新技術を駆使して、新しい時代の特撮の姿を提示してきた。今回の『シン・ウルトラマン』では、ハイエンドの3DCGや物理シミュレーションだけでなくゲーム開発エンジンも活用したという。またYouTubeなどで活躍する、可能性のある若者のコンテンツを鑑賞したりすることもあるそうだ。こうしたテクノロジーの進化によって特撮映画はどんな未来に向かっていくのか。樋口監督に今後の構想も含めて単独インタビューを行った。

企画:林 裕人、聞き手・執筆:川原田剛、聞き手:松尾慎司、写真:大参久人

企画:林 裕人、聞き手・執筆:川原田剛、聞き手:松尾慎司、写真:大参久人

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樋口真嗣(ひぐち・しんじ) 映画監督
1965年生まれ。東京都出身。高校卒業後、『ゴジラ』(1984年)で特殊造形に関わったことがきっかけで映画業界に入る。その後、庵野秀明氏らが設立したガイナックスに参加。95年公開の『ガメラ 大怪獣空中決戦』などの“平成ガメラ三部作”で特殊監督を務め、2005年に『ローレライ』で監督デビュー。以降、『日本沈没』(06年)、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(08年)、『のぼうの城』(12年)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(15年)などの話題作で監督を務め、『シン・ゴジラ』(16年)では日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞


新旧の技術をミックスして完成させた『シン・ウルトラマン』

 『シン・ウルトラマン』ではウルトラマンや禍威獣(編集注:本作では禍威獣と表現するのでこれに統一)はCGで描いていますが、ごく一部でミニチュアなどのプラクティカルな技術で撮影した素材も使っています。結局、3DCGに依存できるほどリソースが潤沢にあるわけではないので、効果的な使い方を決めていかなければならない。そのためにミニチュアを使って素材を制作し、リソースを他の大変なシチュエーションに回すという方法をとった箇所もありました。

 『シン・ウルトラマン』ではプリビズ(プリビジュアリゼーション=撮影前にカメラワークなどを検討するため制作される仮の映像)でゲームエンジンを使っています。

 どっちかと言えば下手ですけどゲームをやるのが好きで、VRなどの技術にも初期段階から興味を持っています。でもゲームの映像技術を映画で生かしたいとか、あんまり結び付けて考えたことはないですね。純粋にゲームとして楽しんでいます。

 ゲームはプレーヤーがキャラクターを選んで自分で動かすので、そのために色々な映像をつくらなければなりません。やらなければならないことが映画よりもはるかに多く、大変なんです。

 それに何よりも僕は「こう見えたら面白いよね」という絵を自分たちでつくって、それをお客さんに見せて喜んでもらうのが好きなんです。

 だから自分がゲームをしていても「こういうふうに見えたら気持ちいいのになあ」とか、そういうことに夢中になってしまって、結局、ゲームがまったく進んでいかないんです(笑)。

 ですが、純粋に小島秀夫さん(『メタルギアシリーズ』などを手掛けたゲームクリエイター)のゲームはプレイしていて面白いだけでなく、操作した時の気持ちよさを純粋に追求していて、すごく刺激を受けています。世界観や表現を含めて、ゲームという枠の中で最大限に効果的な映像表現をしている印象を持っています。

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「ゲームからすごく刺激を受けます」と語る樋口監督

映画を倍速で見てよいのか?楽しみ方の変化と新しい才能との付き合い方

 今、映像コンテンツを楽しむ方法が多様化しています。中には個人がオリジナル作品を模してコンテンツをつくって、動画共有サイトなどに投稿しているケースもあります。

 YouTubeなどを見ていると、1年に2本ぐらいですが、「これ、誰がつくったの!?」とビックリするような映像に出会うことがあります。我々がまさにやろうとしていたことや、やってみたいと考えていたことを先回りして映像化している若い人が時々いるわけです。

 そういうセンスのある人間を発見することもあるので、「コンテンツをつくるのはプロの仕事だから、アマチュアの人たちは黙っていろ」とは絶対に言えません。それに過去を振り返れば、自分たちも同じようなアマチュアの1人でした。

 コンテンツの楽しみ方についても、今、若い人たちが映像を倍速で見ているというのを聞いたりすると、色々と思うことがありますけど(笑)。そこから何か面白いものや新しい才能が生まれてくるのであればいいなと思っています。

【次ページ】コロナによって激変した制作環境。それでも映画をつくり続ける覚悟

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