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  • 2022/11/28 掲載

スペースXを追う「アマゾン」の衛星インターネット事業「Kuiper」プロジェクトとは?

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日本でもサービスが開始され注目を集める衛星インターネット。イーロン・マスク氏率いるスペースXの動きが注目されるところだが、アマゾンも急ピッチで衛星インターネット事業の構築を進めている。2023年初めに実行予定のプロトタイプの打ち上げを皮切りに、3000以上の衛星を打ち上げる計画だ。急速に事業構築を進める「アマゾン宇宙事業」の最新動向を追ってみたい。

執筆:細谷 元

執筆:細谷 元

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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アマゾンが手掛ける「Kuiper」プロジェクトとは?
(出典:amazon

アマゾンの衛星インターネット事業「Kuiperプロジェクト」とは

 日本でもスペースXのスターリンクサービスが開始され、注目を集める衛星インターネット。

 この分野では、イーロン・マスク氏のメディア露出の多さから、スペースXが注目されがちだが、アマゾンを含め競合企業が動きを加速しており、近い将来競争が激しくなることが予想される。

 2022年10月27日、アマゾンは本社を構えるシアトルの郊外に宇宙開発事業のための新工場を開設することを発表。17万2000平方フィートの広さで、衛星の製造を担う工場となる

 アマゾンはこの数年、独自の衛星インターネットシステム「Kuiper」を構築するために、衛星の研究開発や当局への申請など、水面下でさまざまな取り組みを行ってきた。同社によると、Kuiperプロジェクトの投資額は、100億ドルを超える見込みという。

 同社は2020年に、米連邦通信委員会(FCC)から衛星インターネット通信事業の認可を受けており、3236基の衛星を打ち上げる計画だ。FCCの規定では、2026年7月までに半数の1600基を打ち上げるルールが盛り込まれており、急ピッチで衛星製造に取り組むことがアマゾンの喫緊の課題となっている。

 ワシントン・ポストのインタビュー(2022年10月27日)で、アマゾン・デバイス部門責任者デイブ・リンプ氏が衛星製造に関する現状を述べている。リンプ氏によると、プロジェクトの進捗(しんちょく)状況から、1日あたり1~3基、またはそれ以上の衛星を製造することが必要になるとのことだ。

 Kuiperプロジェクト関連の雇用数は現在、サンディエゴ、オースティン、ニューヨーク、ワシントンを含め米国全体で1000人以上になる。今回発表された新工場では、200人以上の雇用が生まれる公算だ。

 また、リンプ氏によると、現在衛星のプロトタイプを2基製造中で、システム統合と最終組み立ての段階に移行、2022年第4四半期にはプロトタイプ製造を完了する予定という。

 さらに、アマゾンの公式発表では、この2基のプロトタイプ衛星は2023年初頭に、米国の衛星打ち上げサービス企業United Launch Allianceのロケットで打ち上げられるという。

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宇宙開発事業のための新工場では、1日あたり1~3基、またはそれ以上の衛星を製造する
(Photo/Getty Images)

アマゾン「Kuiperプロジェクト」に関わる重要企業

 Kuiperプロジェクトには、アマゾン以外にも今後宇宙開発産業で存在感を増すであろう複数の企業が携わっている。以下では、Kuiperプロジェクトに関与するアマゾン以外の主要プレーヤーの動向を探ってみたい。

 まずは、アマゾンのプロトタイプ衛星の打ち上げを担う前出のUnited Launch Alliance(ULA)についてみていこう。

 ULAは、ロッキード・マーティンとボーイングによる合弁企業として2006年に設立された米国企業。地球の周回軌道と太陽系を対象にした、ロケット打ち上げサービスを提供する。米国防総省や航空宇宙局(NASA)など政府系機関に加え、民間企業にもサービスを提供している。

 同社の現時点の主要打ち上げシステムは、Delta IV HeavyとAtlas Vの2つ。Delta IV Heavyは、スペースXのFalcon Heavyに次ぎ世界で2番目の能力を有するといわれる打ち上げシステム。現時点で2回の打ち上げを残し、2024年に引退する予定だ。一方Atlas Vは、NASAのMars2020プロジェクトで探査機を火星に運搬したことで知られる打ち上げシステム。残り20回ほどの打ち上げを残し、引退する予定だ。

 引退予定の2つの打ち上げシステムに代わるのが、ULAが現在開発を進めているValcan Centaur。2014年に開発が開始されたシステムで、2023年のAstrobotic Technology社の月面調査機運搬を皮切りに、ULAの主要発射システムとしてさまざまなプロジェクトに利用される予定だ。冒頭でも触れた2023年初頭に計画されているアマゾンKuiperプロジェクトのプロトタイプ発射でもValcan Centaurが利用されることになっている。

 アマゾンの発表によると、Kuiperプロジェクトに関して、ULA、Arianespace、ブルーオリジンの3社の打ち上げサービスを利用する計画で、現時点でこれら3社から92回の打ち上げサービスを確約したという。

 このうちULAが担う打ち上げ回数は40回ほどと報じられている

【次ページ】スペースX元社員創業の宇宙スタートアップがアマゾンとタッグ

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