- 2022/02/08 掲載
株主への配慮色濃く=東芝、3カ月で再編戦略転換
東芝がグループの再編計画を修正し、「3分割」から「2分割」へ変更した。昨年11月に打ち出した3分割案に複数の大株主が反対を表明する中、分社化に伴うコストの削減などを理由に3カ月で戦略を大きく転換。株主還元も約1000億円から約3000億円に一気に増額し、株主への配慮が色濃くにじむ形となった。
「すべての人とはいかないが多くの人が納得できる姿に改良できた」。7日の投資家向け説明会で綱川智社長は強調した。ただ、株主の理解が得られるかは不透明だ。
東芝本体は、3分割案では半導体大手キオクシアホールディングスの株式管理などを行うとしていたが、今回の変更で原発事業を含む「インフラサービス」を担う形に転換した。綱川氏は「上場維持にかかる不確実性を除去するため」と説明したが、「物言う株主」には株式非公開化を求める声も強い。
また、分社化して上場会社として独立させる電子部品部門「デバイス」社と東芝本体の「共創関係維持」も掲げたが、強みでもあった「総合力」を発揮できるかは不明だ。上場子会社、東芝テックも「非注力事業」と位置付けながら、綱川氏は「社会にとっては大事な事業」などと指摘。「技術の東芝」弱体化への懸念は消えない。
大株主の資産運用会社3Dインベストメント・パートナーズ(シンガポール)は1月、3分割案について、3分の2以上の株主の賛成が必要な「特別決議」で承認を得るべきだと主張した。しかし、東芝によると、今回の変更により特別決議が不要になる可能性がある。綱川氏は「株主と向き合うことを回避するために(2分割への変更を)決定したわけではない」と強調したが、株主の支持を得られる保証はない。
【時事通信社】 〔写真説明〕経営戦略を説明する綱川智社長(中央)ら東芝幹部=7日午後、東京都港区(同社提供)
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