- 2022/03/02 掲載
東芝デジタルソリューションズ、量子インスパイアード最適化ソリューションを提供開始
用途に応じた最適化ソルバーをラインアップし、アルゴリズムには速度・精度・規模を大幅に向上させる新たなSBアルゴリズム(注3)を採用します。本ソリューションにより、コロナ禍で急がれる治療薬に最適な候補物質の選定や、医療従事者の最適な勤務シフトの作成への適用など、各分野の専門知識を持つパートナーと連携・共創し、金融・創薬・遺伝子工学・物流・AIなどさまざまな領域で複雑化する社会課題の解決に貢献していきます。
金融取引の最適化(注4)、産業用ロボットの動作の最適化、移動経路や送電経路の最適化、創薬のための分子設計など、社会や産業における課題の多くは、膨大な選択肢から最適なものを選び出す組合せ最適化に帰着します。組合せ最適化は、問題の規模が大きくなるにつれて組合せパターンの数が指数関数的に増大するため、既存の計算機で高速に解くことは困難です。このため、組合せ最適化専用計算機の開発が国内外で活発に行われています。
東芝グループでは、既存の計算機を使用し、複雑で大規模な問題の高精度な近似解(良解)を短時間で得ることを可能とするSBMを活用して、株式市場における高速高頻度取引への疑似量子計算機適用の有効性に関する共同検証を開始する(注5)など、SBMの有効性の検証を行っています。また、Amazon Web Services Inc.が運営するAWS Marketplaceで全世界に向けてSBMのPoC(概念検証、proof of concept)版を公開して(注6)、大学などの研究機関や、社会が抱える課題を組合せ最適化の実問題として解くことを目指している企業と協力して、さまざまな分野での社会課題解決に向けた実問題探索を行ってきました。
今回、SBMの技術を活用した新市場開拓と新たなソリューション創出を目指した事業共創の取り組みの成果(注7)や、国内外でのさまざまな実証実験を通じて得られた知見を生かし、ソリューションとして体系化した「SQBM+」の提供を開始します。
「SQBM」はSimulated Quantum-inspired Bifurcation Machineの頭文字であり、東芝の研究開発センターにおける量子コンピューターの研究過程で発明されたSBアルゴリズムを実装したSBMに由来することを表しています。そして、「+」は、さまざまなサービスを含めたソリューションを意味し、継続的に強化し続けていくことを示すものです。
今後SQBM+は、現在のAWS Marketplaceでの実行モジュールの提供に加えて、Microsoft Corporationが公開している量子ソリューション向けフルスタックパブリッククラウドエコシステムAzure Quantumでのクラウドサービスの提供、クラウド環境には向かない秘匿性の高いアプリケーションや、超低遅延を必要とするアプリケーション向けのオンプレミス版の提供、パートナーのアプリケーションへの組み込みやOEM提供、さらには、定式化サポートや教育などのプロフェッショナルサービスの提供を予定しています。
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