- 2022/03/07 掲載
物価と景気、両面にリスク=ロシア侵攻で不透明化―欧州中銀
【フランクフルト時事】ロシアのウクライナ侵攻で、欧州経済の先行きに不透明感が強まっている。エネルギーや穀物の価格高騰によるさらなるインフレリスクに加え、対ロシア制裁に伴う欧州企業の事業縮小が景気減速を招く恐れがあるためだ。10日に定例理事会を開く欧州中央銀行(ECB)は、物価と景気の両方をにらむ難しい金融政策判断を迫られる。
ユーロ圏の2月の消費者物価指数の上昇率は前年同月比5.8%と過去最高を更新。エネルギー価格は31.7%も上昇した。ECBの物価目標2%を大幅に上回るが、天然ガスや小麦などの相場は3月以降も高騰し、一段の物価高が懸念される。
侵攻前は、インフレ沈静化に向けてECBが年内2回の利上げを行うとの市場観測も浮上していた。ただ、景気への不確実性が高まる中、ECB内部でも「時期尚早な引き締めは経済を減速させるリスクがある」(レーン専任理事)として、慎重姿勢が強まっている。
オランダ金融大手INGのエコノミスト、カールステン・ブルゼスキ氏は「(物価上昇と景気後退が同時発生する)スタグフレーションのリスクは明らかに高まっている」と分析。ECBは、金融政策では抑えられないインフレ加速への対応に苦慮していると指摘した。
こうした状況に、ラガルドECB総裁は「物価と金融の安定のために必要な、いかなる措置も取る用意がある」と表明。理事会では事態急変に備え、銀行への手厚い資金供給も議論される可能性がある。
【時事通信社】 〔写真説明〕欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁=2月25日、パリ(EPA時事)
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