- 2022/06/06 掲載
NTTデータ、液浸冷却方式を採用したデータセンター冷却システムを構築し検証を実施
2022年3月~4月にかけ、効率・運用性能の確認と商用化に向けた課題の抽出のため、NTTデータの三鷹データセンターEASTにおいて、液浸冷却システムの実機検証を実施しました。その結果、データセンターの冷却に使用するエネルギーを従来型のデータセンターと比較して最大97%(注1)削減できること(推定PUE(注2)=1.07(注3))、サーバ機器・NW類の安定稼働を確認したほか、メンテナンスを含めた機器運用に関する実用面の課題抽出を完了しました。
NTTデータは本実機検証で得られた結果を踏まえて、2023年度中の液浸冷却システムを用した省エネデータセンターサービスの実装・提供に向け取り組みます。
【本検証について】
1.背景
社会全体のデジタル化によってもたらされた情報量の飛躍的な増加により、データセンターの電力消費量は増加の一途をたどっています。「脱炭素」が経営課題として重要視される中、電力消費量を削減することがデータセンターの1つの課題になっています。
NTTデータは2030年にデータセンターのカーボンニュートラル化を達成するという目標に対し、次世代の冷却方式として注目されている液浸冷却方式を採用し、協力企業 9社とともに実機による検証を行いました。
2.検証概要
実施時期:2022年3月9日~4月28日
検証場所:三鷹データセンターEAST
検証機器:二相式液浸冷却装置(6kVA:2台)LiquidStack社製
検証内容:
(1)模擬負荷を用いた冷却装置・冷却システムのエネルギー性能試験
(2)ICT機器を用いた性能試験
(3)設計・運用における課題の抽出
液浸冷却とは、IT機器を絶縁性のある液体(フッ素系不活性液体やシリコンオイル等)に浸すことで、効率的な冷却を図る冷却方式です。中でも本検証では、最も冷却効果が高いと言われる液体の沸騰による気化熱を冷却に活用する「二相式」を採用しています。高発熱サーバを密に配置できるため、空気を用いる従来の方式と比較して省スペースが可能となることや、一定の温度かつ密閉された環境で運用できることで故障率が低下すると言われています。
注1 PUE=1.7のデータセンターの総使用電力と比較した場合。
注2 PUE(Power Usage Effectiveness)はデータセンターの冷却効率を示す指標の一つです。データセンター全体の消費エネルギー(年間消費電力量)をIT機器の消費エネルギー(年間消費電力量)で割った数値で示され、数値が1.0に近いほど、データセンターのエネルギー効率が良いことを示します。
注3 検証結果に基づき、気象データや各機器能力条件を総合して、年間PUEを推定しています。
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