サイエンスライター 森山 和道
フリーランスのサイエンスライター。1970年生。愛媛県宇和島市出身。1993年に広島大学理学部地質学科卒業。同年、NHKにディレクターとして入局。教育番組、芸能系生放送番組、ポップな科学番組等の制作に従事する。1997年8月末日退職。フリーライターになる。現在、科学技術分野全般を対象に取材執筆を行う。特に脳科学、ロボティクス、インターフェースデザイン分野。研究者インタビューを得意とする。
展示会で「DOBOT Magician」という卓上ロボットアームをしばしば見かけるようになった。シミュレーションソフトウェアとオープンソースハードウェア製品開発販売を手がけるTechShareは、その販売代理店の一つだ。DOBOT Magicianは通常価格14万円程度の教育用アームだが、一部の産業界でも使われて始めている。TechShareでも思いがけない分野からの問い合わせを受けているという。いまロボット技術者に求められている教育や技術とはどんなものなのか。業界発展のために必要な新たな考え方とは何か。TechShare社と、教育コンテンツ提供を狙って同社と業務提携したカンブリアン・プロジェクトの両者に話を伺った。
2018年2月9日、産業用ロボット大手のファナックが、ライフロボティクスの発行済み株式を全て取得し、完全子会社化すると発表した。買収額は非公表。ライフロボティクスは独自の伸縮機構を使った肘関節のない小型協働ロボットを展開していたロボットベンチャーだ。国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の研究者である尹祐根(ゆん・うぐん、Woo-KeunYoon)氏が2007年に起業して設立した企業である。バイアウト後、尹氏は再び産総研に復職している。いま、どんなことを考えているのか、節目として話を伺った。ある一つの事例として、ロボットベンチャーの事業のあり方だけではなく、今後の研究者のあり方の一つに興味がある方々にお読みいただければと思う。
人手不足が問題となっていない業界はもはや存在しない。人は貴重だ。仕事をきちんと切り分け、機械化・自動化が可能な部分は機械に任せてしまい、人は人にしかできない部分をやるようにしないと、声高に叫ばれている生産性改善どころか、現場が回らなくなっている。一般社団法人日本建設業連合会(日建連)によると、高年齢層の離職によって2025年には建設技能労働者が約128万人程度不足するため、生産性の向上と、女性や若者など新規入職者の確保が必須とされている。深刻な状況を背景として建築業界でもロボットを活用するための具体的な取り組みが活発になってきた。2018年5月末現在で、各社でどんな取り組みが進められているのか、ざっくりまとめておこう。もはや課題は技術より、活用・導入のための決意の部分にあると考えるべきだ。建設業界に関係ある人もない人も、時代の変化を感じてほしい。
「2017国際ロボット展」の産業用ロボットゾーンで、社員数45名にもかかわらず大企業並みの52小間の大ブースを構え、FA(ファクトリーオートメーション)と物流ロボットのソリューションを15セル、計20台も出展していた創業6年のベンチャー企業がある。産業用ロボットのコントローラーを提供しているソフトウェア会社のMUJINだ。同社のコントローラーを使うと、ロボットを従来よりも高度に、かつ容易に動かせるようになる。指数関数的に成長しはじめており、今後さらなる飛躍が予想されるMUJINの現在と今後について、ここでレポートしておきたい。同社の技術を追うことで、ロボットが今後どんなことができるようになるのか、どのように世界を変えていくのか、その一端が垣間見えるからだ。