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- 2025/01/10 掲載
【単独】GENDA会長に聞く映画配給ギャガM&Aのウラ、社内は「胸アツ」だったワケ
東京大学大学院修了(社会学専攻)。カナダのMcGill大学MBA修了。リクルートスタッフィング、DeNA、デロイトトーマツコンサルティングを経て、バンダイナムコスタジオでカナダ、マレーシアにてゲーム開発会社・アート会社を新規設立。2016年からブシロードインターナショナル社長としてシンガポールに駐在し、日本コンテンツ(カードゲーム、アニメ、ゲーム、プロレス、音楽、イベント)の海外展開を担当する。早稲田大学ビジネススクール非常勤講師、シンガポール南洋工科大学非常勤講師も歴任。2021年7月にエンタメの経済圏創出と再現性を追求する株式会社Re entertainmentを設立し、大学での研究と経営コンサルティングを行っている。『推しエコノミー「仮想一等地」が変えるエンタメの未来』(日経BP)、『オタク経済圏創世記』(日経BP)、『ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか』(PHPビジネス新書)など著書多数。
中編はこちら(※この記事は後編です)
なぜ「川上」のギャガを買収した?
──エンターテインメント領域でゲームセンターなどのプラットフォーム、いわゆる「川下」を国内・海外で攻める会社という印象が強かったGENDAですが、2023年11月に18件目のM&Aとして映画配給会社のギャガを買収されました。これはどういう意図があったのでしょうか?また、今後はIPなどの「川上」にもどんどん事業を拡大されるのでしょうか?片岡 尚氏(以下、片岡氏):ギャガというブランド自体の価値が大きかったのが最大の理由です。また、私がもともとイオンエンターテイメントで映画興行事業を手掛けていた経験があったので、土地勘がある業界でした。

弊社が得意としている川中・川下にあるゲームセンターやミニロケといった「ロケーション」というエンターテイメントのプラットフォームに、「川上」にあるIPをどう乗せていくかということを考えています。弊社でいう「川上」にはギャガ、ダイナモアミューズメント(VR/AR/XR技術を使ったロケーションベース・エンターテイメントのプロデュース会社、2021年10月資本提携、2023年9月に子会社化)、フクヤホールディングス(クレーンゲーム景品の企画・販売事業、2024年1月に子会社化)など、直接的にIPを創る会社でなくても版元からお預かりしてプロダクトを作る、という部門を含めています。
──たしかに映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション(略称:デデデデ)』(浅野いにお氏の2014~2022年ビックコミックスピリッツ連載漫画、劇場版アニメとして2024年3月前編、5月後編として公開された)ではグループ各社でさまざまな展開をされていたのが印象的でした。
片岡氏:はい、ギャガで製作委員会組成、配給をしている映画『デデデデ』では、ヒルバレー(ポップコーンブランド、2023年11月に子会社化)がIPオリジナルのポップコーンを作り、ゲームセンターGiGOではスタッフがロゴの入った制服を着て、カラオケBanBan(シン・コーポレーションが運営するカラオケ施設ブランド、2024年2月に子会社化)ではデデデデのコラボルームも作りました。また、この間は「ラーメン赤猫」のコラボルームも大人気で、POPUPショップやテーマカフェのように、実はカラオケルームも空間そのものを取り込むということを行いやすいのです。
全世界で1万2千カ所になる弊社のロケーション・プラットフォームで連動した動きができれば、それなりのインパクトになっていくはずです。F&B(Food and Beverage、飲食事業)なども連動した川下の体験づくりに貢献できます。 【次ページ】ギャガ買収で社員から聞いた「胸アツ」エピソードとは
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