記事 競争力強化 インテグラル型 vs モジュール型、DXに有利な企業形態はどちらか? 篠崎教授のインフォメーション・エコノミー(第128回) 2020/11/19 デジタル経済への転換(DX)に手間取る日本の現状を考える際、「今起きていることの源流」に遡ることは有意義だ。たとえば、情報化投資の経済効果を日米比較で分析したクライン教授らの研究は、現状を紐解く手がかりとなる。同研究では、組織の在り方に関して「インテグラル型システム」と「モジュール型システム」に対比した分析がなされている。この枠組みに拠れば「メンバーシップ型」と「ジョブ型」の雇用スタイルが、企業の組織構造とイノベーションに及ぼす影響も明瞭となる。今回はこの点を解説しよう。
記事 競争力強化 全国に広がる「交通×顔認証」の実証実験、見えてきた課題とは? 2020/11/18 近年、空港や大企業のセキュリティゲートなどで導入が始まっていた顔認証技術が、公共交通にも採用されつつある。まだ多くは実証実験という段階だが、カードやスマートフォンがなくても鉄道やバスに乗れ、移動データの解析でモビリティ改革にも役立つなど利点は多い。各地で始まった実験の現状をレポートするとともに、顔認証の課題を探る。
記事 流通・小売業IT 元ファミマDX責任者・植野氏とデロイト森氏が語る、小売業の“変化”と“不変” 2020/11/16 新型コロナにより実店舗をもつ小売は大きな打撃を受けた。回復のための一手を打つためには、今業界に起きている変化を正しく認識する必要がある。元ファミリーマートDX責任者でDXJAPAN代表/日本オムニチャネル協会アドバイザーの植野大輔氏と、デロイトデジタル執行役員パートナーの森正弥氏の2名が、これからの小売業界のあり方について議論を交わした。メインファシリテーターは衆議院議員の鈴木 馨祐(けいすけ)氏が務める。
記事 人材育成・人材獲得 「高度AI人材」の最大勢力はどこの国? AI研究者“上位20%”の経歴から見えたこと 2020/11/13 人工知能(AI)の最先端研究が行われている米国。GAFAを始めとするテック企業、大学、研究機関などが世界のAI研究をリードしている。しかし、そこで研究をしているのは米国人ばかりではない。ポールソン研究所のシンクタンク「マクロポロ」は、世界の高度AI人材の出身国や経歴に関する調査を行った。
記事 政府・官公庁・学校教育IT 政府CIO補佐官の砂金 信一郎氏が語る「IT新戦略」、政府はまず何をすべきか 2020/11/12 菅新政権がデジタル庁の創設に動き出している。デジタル・ガバメントについては、安倍政権時代から「IT新戦略」が進められてきたが、今一つ内容がつかみづらかった。内閣官房 情報通信技術(IT)総合戦略室 政府CIO補佐官の砂金 信一郎氏が、今後どのような形で日本のデジタル行政が進んでいくのか、IT新戦略の内容をもとに解説する。
記事 競争力強化 始まった店舗減少、コンビニ業界に現れた「意外すぎる強敵」とは 2020/11/11 現代人の生活インフラを担う存在となったコンビニエンスストア(以下、コンビニ)は、幾度となく成長鈍化と限界説がささやかれつつも、そのたびに「限界」を乗り超えてきた。たとえば、2008年にはタスポ効果により来店客が増えたほか、2011年の東日本大震災の際には、インフラとして活躍するなど、存在意義が再認識される出来事があった。その後、業界の通例とも言われていた「5万店限界説」も乗り越えたコンビニであったが、2019年ついに店舗数は減少に転じ、成長の限界に直面した。成長鈍化の理由には、どうも出店余地の飽和のほかに、意外な要因が関係しているようだ。
記事 ブランド向上・マーケティング・PR オイシックス執行役員 西井敏恭氏が考える、サブスクリプションモデルの原理原則 2020/11/10 シェアリングエコノミーなどの新たな経済圏の台頭によって「モノの所有」から「モノの利用」へと価値基準がシフトしている。ビジネスモデルもサブスクリプションをはじめとする新たな潮流が注目を集めるが、その定義は曖昧だ。サブスクリプションとは何か、従来の定期販売の違いや、ビジネスを構築するマーケティング手法のポイントなどについて、オイシックス・ラ・大地 執行役員CMT(Chief Marketing Technologist)の西井 敏恭氏が語った。
記事 競争力強化 ナイキに挑むオールバーズ(Allbirds)社、スニーカー市場に起きた「番狂わせ」とは 2020/11/02 競争の激しいスニーカー市場へ参入後、わずか2年で100万足を売り上げた企業、それが「オールバーズ(Allbirds)」です。2020年1月には、同社の日本1号店が原宿にオープンし、休日は入店のための整理券が配布されるほどの人気となっています。ナイキやアディダスなど大手メーカーがひしめくスニーカー市場で、同社はなぜ一躍トップランナーの地位を確立することができたのか。同社の優れた差別化戦略を紹介します。
記事 流通・小売業IT 発泡酒・第3のビール増税で缶チューハイの一人勝ち? 消費者やメーカーへの影響とは 2020/10/29 酒税法の改正によって2020年10月からビールが減税となり販売価格が引き下げられた。一方で第3のビールは増税なので価格が上がっている。今回の改定は経過措置であり、2023年にはビールはさらに減税され、発泡酒と第3のビールは大幅増税となる。第3のビールで何とか家計をやりくりしてきた人たちにとっては大打撃となりそうだ。一部からは、アルコール中毒のリスクが指摘されるストロング系チューハイに消費者が流れることを懸念する声も出ている。
記事 製造業IT コロナにまったく動じなかった岡山の製造会社に聞く、具体的に行った3つのコト 2020/10/29 製造業に従事している人の雇い止めが1万人を超える(9月24日・厚生労働省発表)など、新型コロナウイルスの影響は収束するどころかさらに拡大の傾向を見せ始めている。そんな中、このような状況にあっても昨年までとほとんど変わらない業績をキープしている企業が岡山にあった。その理由はどこにあったのか?
記事 競争力強化 新・小売サバイバル「アマゾン化するウォルマート」対「ウォルマート化するアマゾン」 2020/10/22 『世界の小売業ランキング2020』(デロイトトーマツグループ)で売上高1位につけたウォルマートと、EC事業の伸びで3位に食い込んだアマゾン。現状ではまだまだウォルマートが売上面で圧倒的な優位を築いているが、この両雄の戦略が、実は最近似通ってきているという興味深い指摘が米国で出始めた。“アマゾン化するウォルマート”と“ウォルマート化するアマゾン”……今起こっている「差別化なきECバトル」とは。
記事 製造業IT 下請け業者は悲痛な声、コロナウイルスが国内製造業に残した深い爪痕 2020/10/22 コロナショックから半年あまりがたとうとしているが、未だその影響は大きい。独自取材した自動車メーカーの下請け企業では、「先がまったく見えない」と悲痛な声が聞かれた。しかしその一方で、製造ラインが追いつかないほど好調の企業もまた存在する。この差はどこで生まれているのか。製造業全体の市況とともに確認していこう。
記事 人材育成・人材獲得 IT人材白書2020で判明、DXで成果を出した企業の特徴 2020/10/20 IPA(情報処理推進機構)が毎年公開している『IT人材白書』。2020年8月に発行された『IT人材白書2020』では、IT企業およびユーザー企業におけるIT人材の「量」や「質」に対する過不足感や、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進企業におけるIT業務のトレンドについて注目すべき変化が見られました。今回はこの『IT人材白書2020』の注目ポイントを紹介するとともに日本におけるIT人材の課題を取り上げます。
記事 人件費削減 毎日10万包の試供品を3名で回す。広島の化粧品メーカーが明かす、徹底した自動化術 2020/10/20 「グッドカンパニー大賞」(中小企業研究センター選出)を受賞した企業の知られざる創意工夫を聞く本連載。第2回目は、広島に本社を置きヘアケア製品/化粧品メーカーを製造・販売するヤマサキに伺った。同社は経済産業省の「IT経営百選」「IT経営力大賞」などにも選出されており、先進的なICT活用を評価されてきた企業でもある。生産管理システムもSFAもスクラッチで開発し、ITによる効率化に並々ならぬ意欲を注いでいる同社 代表取締役 山崎 宏忠氏にその取り組みを聞いた。
記事 人材育成・人材獲得 なぜ今、タレントマネジメントが必要なのか?「5年で2.4倍」成長市場の最新動向 2020/10/19 「タレントマネジメント」は、企業内の人材に関するタレント(能力)やスキルのデータを一括管理し、人材配置や育成などを通じてそのパフォーマンスの最大化を目指す管理手法だ。それを支援するITツール「タレントマネジメントシステム」は、市場規模が5年で約2.4倍、年平均で11%という成長が予測されている。業界の最新動向から、タレントマネジメントが今求められる理由が見えてきた。
記事 競争力強化 PS5が「ゲーム機史上最大に売れまくる」と言えるワケ、推定原価はなんと… 2020/10/17 日本や米国で11月12日に発売されるソニーの「プレイステーション5(PS5)」は、ハイスペックでありながら極めて戦略的な価格がついた。楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中 能夫氏は、PS5の世界販売台数を「5、6年の間に2~3億台」と予測する。この数字は、家庭用ゲーム機で過去最大だったPS2の1億5768万台を大きく上回るものだ。PS5の原価はいくらなのか? なぜその価格で売るのか。大注目を集める理由に迫った。
記事 グローバル化 「経済なき道徳は寝言である」を胸に。サラヤが実践してきたSDGs経営の全貌 2020/10/09 企業の生き残りをかけた争いがさらに熾烈(しれつ)になる中で、優れた企業の実例を知ることは大きなヒントとなる。今回から始まる連載では、中小企業研究センターが毎年経済的、社会的に優れた成果を挙げた中堅・中小企業を表彰する「グッドカンパニー大賞」に選ばれた企業に話を聞いていく。第1回では、戦後日本の感染症史とともに歩み、衛生・環境面での社会貢献からSDGs企業としても知られるサラヤの代表 更家 悠介氏を訪ねた。
記事 競争力強化 当選でGAFAに追い風?逆風?なぜバイデンのIT政策はこれほどあいまいなのか 2020/10/06 民主党オバマ政権(2009~2017年)、共和党トランプ政権(2017年~)の下で、米テック大手は我が世の春を謳歌(おうか)し、その時価総額は空前の規模にまで膨らんだ。11月の大統領選挙で民主党のバイデン候補が勝利すれば、この流れは大きく変わるのだろうか?だが翻ってバイデン候補のこれまでのテック政策についての発言を振り返ると、あいまいで具体性を伴わない発言が多い。今後の米テクノロジーの発展を占う上でも重要な、同氏のテック政策感を掘り下げていく。
記事 イノベーション 「2020年度グッドデザイン賞」発表、安次富 隆氏と齋藤 精一氏が注目デザインを解説 2020/10/02 10月1日、2020年度グッドデザイン賞の受賞作品が発表された。受賞発表会では、審査委員長を務めた安次富 隆氏と副委員長を務めた齋藤 精一氏が、今年度の選定テーマ「交感」について解説するとともに、2020年度のキーワードが「循環型社会」と「実装」だったと語った。
記事 人材育成・人材獲得 VP of Engineeringとは? ヤフー、メルカリが設置済みの“DX必須役職”を解説 2020/09/30 これまで、企業のIT部門の仕事は、従来業務のシステム化とそれによる効率化がメインでした。しかし、DXによってビジネスモデルのIT化が進むと、IT部門はコスト部門から企業競争力の源泉である“プロフィットセンター”へと進化してきました。こうした中、企業成長の重要な役割を担う開発組織をこれまでと同様の方法では管理しきれなくなっています。開発組織のパフォーマンスを最大化するため、新たに誕生した役職である「VP of Engineering(VPoE)」について解説します。
記事 新エネルギー ついに石油時代の終焉か?英BPが「エネルギー業界の大変革」を予測、その理由とは? 2020/09/29 英国の石油メジャーBPが、化石燃料の需要が今後、大幅に減少するという衝撃的なレポートを公表した。日本では再生可能エネルギーについて実現不可能な話と認識している人が多いが、これは20年以上前の常識である。この分野におけるイノベーションには目を見張るものがあり、エネルギーシフトは、もはや時間の問題となっている。再生可能エネはITビジネスと構造がよく似ており、場合によっては限界コストがゼロに近づくことで、爆発的な普及を実現する可能性すらある。石油メジャー自身が、再生可能エネのシェア拡大と石油需要の大幅な減少を予想しているという現実を見過ごしてはならないだろう。
記事 競争力強化 低賃金国ニッポンの深い闇、中小企業の「下請け体質」と「非効率な商習慣」とは? 2020/09/28 前編の記事では、経営が苦しくなった中小企業を政府が延命し、廃業率を低く抑えるという政策が転換点を迎えている現実について解説した。だが日本の中小企業が抱えている課題はそれだけではない。中小企業の数が多すぎ、これが中小企業の生産性を引き下げているという指摘がある。
記事 競争力強化 今ここが分岐点だ、国内製造業はコロナ不況で再起不能になってしまうのか? 2020/09/25 新型コロナウイルス感染拡大により、大きな影響を受けた日本の製造業。一時期よりは持ち直したとはいえ、いまだに多くの製造業が苦しんでいる。景況感を知ることができる「購買担当者景気指数(PMI)」を基に現状を整理した上で、製造業関係者が今どのように不況に対処しているか取材を行った。この状況下で業績を伸ばしている企業が語った強みとは?
記事 建設・不動産 建設DX「日本が最も進んでいる」が示す“現実”、12カ国調査で判明 2020/09/23 深刻な人材不足と就業者の高齢化に直面し、技術活用による生産性の向上が喫緊の課題となっている建設業界。いまやあらゆる企業がデータを活用した戦略を練り、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいるが、国内の建設業のDXはどのような状況にあるのだろうか。IDCが世界12カ国の建設業835社を対象に実施した調査をもとに、「建設DX」の実態と課題をIDC Japanのリサーチバイスプレジデント 寄藤 幸治氏らに聞いた。
記事 競争力強化 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は転落人生のはじまりだった?長期停滞の原因とは 篠崎教授のインフォメーション・エコノミー(第126回) 2020/09/17 日本経済は、なぜ情報革命の果実を取り逃すのか。これまでに多くの議論が繰り広げられてきた。共通するキーワードは「変革」だ。技術体系が大きくシフトする時代は、さまざまな仕組みの見直し、いまで言うデジタルトランスフォーメーション(DX)が欠かせない。特に日本の場合は、かつての成功要因が逆に制約要因になる、との指摘がクライン教授らによる日米共同研究でなされていた。情報革命で制約条件となる「かつての成功要因」とは何か。今回は、日本型システムの「変質説」「不存在説」など、当時の議論を振り返って解説しよう。
記事 競争力強化 「寺田倉庫」は何が凄いのか?倉庫業界の常識を覆すユニークなビジネスとは? 2020/09/11 倉庫業界は成熟産業であり、かつ景気の影響を受けやすい業界である。B to Bがビジネスの中心であり、競争も激しいことから、価格の主導権を倉庫会社がとりにくい状況が続いている。新規顧客を開拓しようと思っても、地理的制約があり、倉庫の立地に無関係なエリアには進出しにくい。こうした難しい事情がある中で、業界中堅の「寺田倉庫」は、なぜ他社と差別化を図り成功することができたのか。その秘密を探る。
記事 イノベーション 田中道昭氏:「GAFAの次にくる」10のポイント、実はコロナ前も後も「変わらないもの」 2020/09/08 コロナショックでDXが加速したとよく言われるが、何が加速したかを具体的に答えられるだろうか? 立教大学ビジネススクール教授であり上場企業取締役、戦略コンサルタントでもある田中道昭氏は、「すべての人と組織で2つの『シンカ』が問われている」と説く。果たして「シンカ」とは何か、そしてコロナショックでも変わらなかった「10のポイント」とは?――『経営戦略4.0図鑑』を上梓した田中氏に、日本が新時代に再び台頭するための方策を聞いた。
記事 競争力強化 宅配ピザのアツイ戦い、ドミノ・ピザーラ・ピザハットの“御三家”にダスキンが挑む 2020/09/02 コロナ禍の「巣ごもり」によって外食業界に訪れたのが「デリバリー特需」だ。そのデリバリーの元祖とも言える「宅配ピザ」はにわかに人気が高まっており、富士経済は「2020年は5.0%成長」という予測を出している。シェア上位3社「御三家」筆頭のドミノ・ピザが大攻勢をかけている一方、2020年6月にM&Aによって「第4勢力」を形成したダスキンがシェア奪取をうかがう。外食サービス市場に詳しいエヌピーディー・ジャパンのフードサービス・シニアアナリスト、東さやか氏の解説とともに、「このチャンスを逃すな」と熱戦を繰り広げる宅配ピザ業界の最前線を追う。
記事 競争力強化 政府の「ゾンビ企業支援」は日本人の賃金水準を下げる?そこまでして雇用を守るべきか 2020/09/02 政府が中小企業政策の変更を検討している。従来は、中小企業の活動を維持するため、廃業率を低く抑えることを目標としてきたが、この方針は見直される可能性が高い。日本では企業を無理に延命させていることが生産性や賃金の低下につながっているとの指摘があるが、一方で支援をやめれば雇用に影響する可能性もある。
記事 グローバル化 世界はとっくに脱炭素社会へ……それでも日本が石油・天然ガスを使い続ける理由とは 2020/08/28 中東のカタールが計画している大規模な太陽光発電プロジェクトに、日本が全面支援することになった。カタールは世界有数の天然ガス産出国であり、日本にとっては重要な供給源となっている。カタールの国家プロジェクトに参画することは、関連企業の利益になるのはもちろんのこと、日本全体にとっても大きなメリットとなるだろう。だが、このプロジェクトは全世界的な再生可能エネルギーへのシフトを見据えたものという背景を考えると、天然ガス確保のためにカタールを支援するという日本の立場は微妙だ。地球環境問題へのコミットはもはや不可避のテーマであり、日本は再生可能エネルギーについてもっと戦略的に取り組む必要があるだろう。