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  • 2020/11/11

始まった店舗減少、コンビニ業界に現れた「意外すぎる強敵」とは

【連載】成功企業の「ビジネス針路」

現代人の生活インフラを担う存在となったコンビニエンスストア(以下、コンビニ)は、幾度となく成長鈍化と限界説がささやかれつつも、そのたびに「限界」を乗り超えてきた。たとえば、2008年にはタスポ効果により来店客が増えたほか、2011年の東日本大震災の際には、インフラとして活躍するなど、存在意義が再認識される出来事があった。その後、業界の通例とも言われていた「5万店限界説」も乗り越えたコンビニであったが、2019年ついに店舗数は減少に転じ、成長の限界に直面した。成長鈍化の理由には、どうも出店余地の飽和のほかに、意外な要因が関係しているようだ。

経営コンサルタント 清水大地

経営コンサルタント 清水大地

フィールドマネージメント 執行役員/プリンシパル
野村総合研究所、アクセンチュア・戦略グループ、フロンティア・マネジメントを経て現職。13年以上に及ぶコンサルティング経験を有す。プランニングのみならず、実行支援や執行支援による成果にコミットした泥臭いコンサルティングを信条としている。共著に「時間消費で勝つ」(日本経済新聞社)、「経営コンサルタントが読み解く 流通業の「決算書」」(商業界)など

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2019年に店舗数は減少に転じ、成長の限界に直面したコンビニ。成長鈍化の意外すぎる理由とは
(Photo/Getty Images)
  

萌芽期のコンビニの成長戦略

 元々、アメリカから輸入された業態であるコンビニの日本における歴史を振り返ると、1973年にファミリーマート(当時は西友ストアの新規事業)が埼玉県狭山市に実験店を導入、翌1974年にはセブン-イレブン(当時はイトーヨーカ堂の子会社のヨークセブン)が一号店を東京・豊洲に出店、さらに翌1975年にはローソン(当時はダイエーの子会社ダイエーローソン)が一号店を出店し、日本における萌芽期を迎えた。

■コンビニ大手3社の出店の流れ

・1973年
ファミリーマート1号店(西友ストアの新規事業)誕生

・1974年
セブン-イレブン1号店(イトーヨーカ堂の子会社の「ヨークセブン」)誕生

・1975年
ローソン1号店(ダイエーの子会社「ダイエーローソン」)誕生

 背景には当時、大型店と地域商店街との融和が課題となり、大型店の出典を規制し、中小小売店を保護する「大規模小売店法」(大店法)が施行され、小売業各社が大店法に触れない店舗戦略を志向したことが関係している。

 特にコンビニ業界をリードしたのはセブン-イレブンで、鈴木元会長のリーダーシップにより急激な成長を遂げた。当時の流通業では非常識であった24時間営業、共同配送やITを活用した情報化の推進など、その名の通りお客さまへの「便利」を提供すべく進化を遂げ、今では世界を代表するビジネスモデルとなった。

 コンビニという業態の進化の理由の1つに、物販以外の店舗サービスの拡大が挙げられる。たとえば、1987年、セブン-イレブンの公共料金の収納業務スタートを皮切りに、複合機やMMK(マルチメディアキオスク)を活用したチケット発券、そしてATMの設置や銀行設立にまでコンビニは手を広げていった。

 背景には、コンビニが立地利便性を生かし、「より近くで済ませたい」という顧客の“時短ニーズ”への対応を進めたことが関係している。つまりコンビニは、通常であれば店頭に足を運ばなければ成り立たないサービスを「どこよりも近くで実現し、好立地で囲い込む」というビジネスとも言える。

 また、これら物販以外の周辺サービスが顧客の来店の動機につながり、物販の“ついで買い”が期待できるため、コンビニ本部としても、力を入れて開発するに値する商材という位置付けにあった。

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コンビニという業態が進化を遂げた理由とは……
(Photo/Getty Images)
 

EC事業者の台頭、コンビニ大手のとった対策は……

 話は変わり、2000年代初期に広まったネットバブルは、流通業にデジタル化という命題を突き付けた。進化するITを活用し、店舗を持たないことを武器に、ロングテールの品揃えやデータを活用したレコメンド機能などを駆使したEC事業者たちが無数に登場したのだ。アマゾンや楽天も、このネットバブルを勝ち残った雄である。

 それに対し既存の流通業は、むしろ店舗を資産ととらえ、その活用により無店舗型のネット専業者にはできないビジネスモデルの追求が始めた。当初、それは「クリックアンドモルタル」(実店舗とオンライン店舗の双方を運営することのシナジーを狙うモデル、ブリックアンドモルタルという伝統的な企業の俗称をもじったもの)と呼ばれ、コンビニ業界でもさまざまな挑戦が行われた。

 たとえば、セブン-イレブンは、2000年にJTBや三井物産、野村総合研究所などとセブンドリームドットコムという合弁会社を設立したほか、ファミリーマートもファミマドットコムを設立し、来るデジタル化時代への対応を進めた。

 しかし、ときは流れ、セブンドリームドットコムは2008年にセブン-イレブンネットに、その後オムニセブンへと移管され、現在ではマルチコピー機やインターネットによるセブンチケットの運営を担っている。ファミマドットコムも、2018年にサービスを終了し、現在ではファミマデジタルワンとしてFamiPayの運用などデジタル化を通じたサービス提供を担っている。

 各社が「クリックアンドモルタル」の成功パターンを模索する中、2011年アメリカでは、百貨店老舗のメイシーズが店舗資産とデジタルを活用した新たなサービスモデル構想として、「オムニチャネル宣言」を行った。ここから、流通事業者のデジタル化というの夢は、技術進化とともにもう一度目を覚ますのである。ネット専業者の代表格であるアマゾンや楽天が急速な成長を遂げる中、既存の流通事業者は、今後こそとオムニチャネルの実現にかじを切ったのであった。


 その後、オムニチャネルの本家であった米メイシーズ社も業績悪化に歯止めがかからず、大規模なリストラなど、再建を余儀なくされた。コンビニ業界でもオムニチャネルへのシフトを志向したセブン-イレブンが、その事業のやり直しを宣言している。

 つまり、ここ20年間は、コンビニ業界を含めた流通業が「店舗資産とデジタル技術を融合させたサービスモデル構築に挑み続けてきた歴史」と見ることができる。

【次ページ】コンビニを脅かす、意外すぎる強敵とは?

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