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  • 2020/11/18

全国に広がる「交通×顔認証」の実証実験、見えてきた課題とは?

連載:MaaS時代の明日の都市

近年、空港や大企業のセキュリティゲートなどで導入が始まっていた顔認証技術が、公共交通にも採用されつつある。まだ多くは実証実験という段階だが、カードやスマートフォンがなくても鉄道やバスに乗れ、移動データの解析でモビリティ改革にも役立つなど利点は多い。各地で始まった実験の現状をレポートするとともに、顔認証の課題を探る。

モビリティジャーナリスト 森口 将之

モビリティジャーナリスト 森口 将之

1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、出版社編集部を経て1993年にフリーランスジャーナリストとして独立。国内外の交通事情・都市事情を取材し、雑誌・テレビ、ラジオ・インターネット・講演などで発表。2011年には株式会社モビリシティを設立し、モビリティやまちづくりの問題解決のためのリサーチ、コンサルティングを担当する。著書に『パリ流環境社会への挑戦』『富山から拡がる交通革命』『これから始まる自動運転 社会はどうなる!?』『MaaS入門 まちづくりのためのスマートモビリティ戦略』など。

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近い将来、交通機関も「顔パス」が当たり前になるかもしれない
(Photo/Getty Images)


相性が良い「交通分野」×「顔認証」

 公共交通における顔認証というと、大阪メトロ(大阪市高速電気軌道)が2019年12月から、社員を対象とした顔認証次世代改札機実証実験を始めたことを思い出す人もいるだろう。たしかにあの事例は多くのメディアで報じられた。しかしそれ以外にも、日本の交通分野での顔認証にはいくつかの動きがある。

 顔認証技術を簡単に説明すると「顔の位置や大きさ、目・鼻・口などの特徴点を元に、誰であるかという照合を行う技術」である。なりすましが困難なためパスワード設定の必要がなくなり、一度登録すればスマートフォンやタブレットのカメラでも対応可能という手軽さもメリットだ。


 この顔認証技術を交通分野で取り入れる利点は多い。まずは、カードやスマートフォンなどを使わなくても駅や車両のゲートを通過できる。両手に荷物を抱えているような際には助かる。スマートフォンは苦手という高齢者も、最初に登録さえ済ませてしまえば、その後はいわゆる「顔パス」で利用できる。

 さらに、事業者側の利点でいえば、顔認証でゲートを通ると記録が残るので、個人の移動データが収集できる。都市や地方の中で住民や観光客がどのように動いたか把握できる。もちろん個人情報の取り扱いには気をつける必要があるが、データを分析することで移動の最適化を図ることが可能になる。

マスク着用でも認証可能、精度は向上中

 気になる実際の使用感としては、日本に先駆けて顔認証が普及している米国ではトラブルも多いと聞く。しかし、これは技術の精度に問題があると考えており、日本企業の技術であればまた話が違ってくる。

 たとえば、日本における顔認証のリーディングカンパニーといえるNECの顔認証は、米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した最新の顔認証技術のベンチマークテストで、1200万人分の静止画の認証エラー率0.5%という、他社を大きく引き離す第1位の性能評価を獲得しているからだ。

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NEC本社における顔認証システムの実証実験
(出典:NEC)

 新型コロナウイルスの流行が続く現在は、マスクを装着していることが多いので、顔認証は不便だという声もある。しかし、最新の顔認証技術ではAIのディープラーニングを駆使することで、マスクをしていても99.9%という高精度の認証が可能になっている。

「顔認証でバスに乗る」実証実験

 茨城県知事が会長を務めるつくばスマートシティ協議会では、国土交通省の「スマートシティモデル事業」と「新モビリティサービス推進事業」の採択を受け、先端技術を活用した次世代モビリティの社会実装により、自動車依存度が高い地方都市における課題解決モデルの構築を目指している。

 その1つとして2020年2月、顔認証によるバスの乗降車や車椅子利用者のバス乗降車を支援する実証実験を実施した。NECはこの協議会の実施団体の1つでもある。

【次ページ】つくば市、白浜町、富山市など各地での実証実験で見えてきた課題

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