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  • 2022/12/21 掲載

待ったなしの業務自動化、実装のカギは「API」と「UI」が握ると言えるワケ

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デジタルデータが飛躍的に増大する中、デジタルプロセスの自動化は企業にとって切実な課題となっている。しかし、その実現手段は多様で一長一短があり、使いこなしのノウハウが多いことも事実だ。自動化技術の適切な利用推進に向け、企業はどのような点に注意を払うべきなのだろうか。国内企業における業務自動化の実態などとともに、企業が目指すべき自動化の方向性について、アイ・ティ・アール(ITR)の舘野真人氏が解説する。
執筆:フリーライター 岡崎勝己

執筆:フリーライター 岡崎勝己

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ITR
シニア・アナリスト
舘野真人氏

実施率は4割に到達、高まる自動化ニーズ

 デジタルによる業務自動化はデジタルトランスフォーメーション(DX)の中でも、特に企業が大きな関心を寄せる施策の1つだ。ITRの『IT投資動向調査2022』でも、「業務自動化」は前年比6ポイント像の40%と、「ワークスタイル変革」(43%)に次いで実施率が高かった。

 この結果の背景として、ITR シニア・アナリストの舘野真人氏が指摘するのが、「デジタル化に伴うデータ量の増大」「生産性向上による差別化ニーズの増大」「リモートワーク/ハイブリッドワークへの対応」の3つだ。

 新型コロナを機に、紙や電話ベースの従来型のコミュニケーションや業務のオンライン化が進み、自動化の下準備である多様なデータのデジタル化が一気に前進した。その中にあって、企業には他社との差別化が引き続き強く求められ、リモートワーク/ハイブリッドワーク環境での生産性向上に向け、多様な業務で自動化が加速しているというわけである。

 舘野氏は、「中でもここにきて、生産計画や注文処理、クレーム処理といった、企業ごとに実現方式が異なり、差別化につながる業務自動化への注目が高まっています」と自動化のニーズが高まっていることを指摘する。

8割以上が自動化の内製化を指向

 年商500億以上の国内企業を対象に実施したITRの「業務自動化に関する動向調査2022」によると、「生産性向上」(72%)や「業務処理のスピードアップ」(55%)、「業務プロセス品質の向上」(49%)など、競争力強化に直結する項目が業務自動化の目的の上位に挙げられている。役職が上がるほどその傾向は強く、DXを「全社レベルで取り組むべき最重要事項」と捉えている割合は部長レベルで41%であるのに対し、経営者・役員では52%と10ポイント以上も上回る。

 では、企業の業務自動化は現状、どのような状況にあるのだろうか。業務別の進捗(しんちょく)具合を見ると、実施率が最も高かった業務が「人事/給与」で53%。以後、「IT/エンジニアリング」(39%)、「財務/会計」(39%)、「カスタマーサポート」(26%)と続く(図1)。

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図1:現時点で実施率がもっとも高いのが「人事/給与」。今後の実施に向け、「営業/マーケティング」を中心に多様な業務で準備が進められている

 今後、自動化の準備・検討を進めている業務としては「営業/マーケティング」(45%)を筆頭に、「調達」(41%)を含めてほぼすべての業務で40%を超えている。なお、役職別の自動化の指示/要望率を見ると、経営者では「人事/給与」(54%)が、事業部門長では「IT/エンジニアリング」(36%)が、現場では「営業/マーケティング」(22%)が最も多かった。

 こうした中で、舘野氏が「特徴的な動き」と指摘するのが、いわゆる“攻めのIT”領域で近年盛り上がっている内製回帰の動向が、自動化でも同様に盛り上がっている点だ。仕組みの整備において、自社の人材を中心に自動化技術を実装・運用することを望む企業は実に8割以上に達するという。

「今、自動化対象として注目を集めているのは競争力に直結するプロセスで、自社の業務に精通した人材が先導するのは当然です。一方で、自動化が日本で注目される背景には、自分たちで整備したいという考えも影響しています。その点で、現場が関与できる仕組みを作れるかどうかが、技術選定のポイントになっています」(舘野氏)

タスク自動化を欠いては“頭でっかち”な自動化に

 ここまで自動化をめぐる最新の動向を見てきたが、そもそも一口に自動化と言っても、取り組む内容ごとに難度やビジネスインパクトは変わる。企業が自動化に取り組む際は、どこから着手していくのがよいのだろうか。

 舘野によれば、自動化において最も容易なのは「単一タスクの自動化」だという。それに続き「単一アプリ内で連続するタスク自動化」「複数アプリをまたぐ部門内業務の自動化」「複数アプリをまたぐ部門横断的な業務プロセスの自動化」「人による意思決定と自動化された業務プロセスの連携」「判断や意思決定の自動化」の順に難度が上がり、ビジネスへのインパクトも大きくなる。各自動化に適した技術はバッチやマクロ、RPA、データ連携ツールから、BPM、AI/機械学習までレベルごとにさまざまだという。

 それらの中で、現在最も利用されているのは「各アプリケーションで提供されている自動化機能(Excelのマクロなど)」(53%)で、次いで多かった「独自開発のアプリケーション/ツール」(35%)、「データ連携(含む、ファイル転送)」(35%)を大きく引き離している(図2)。また、今後、利用を検討する技術には「AI/機械学習」(28%)が最も多い。

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図2:現状で利用する自動化技術は各アプリで提供されている自動化技術が最も多い。対して、タスク自動化への関心は総じて低くとどまる

 この状況について舘野氏は、「AI/機械学習は判断の自動化で極めて優秀です。ただし、気がかりなのは、判断結果を業務へ落とし込むためのタスク自動化ツールへの関心の低さです。自動化基盤がぜい弱なままでは、“頭でっかち”の自動化になりかねません」と警鐘を鳴らす。

 この“頭でっかち”の自動化を回避するためには、「APIによる自動化」と「UIによる自動化」が有効だと舘野氏は説く。

 APIによる自動化は、iPaaSなどを利用し、特定アプリの変更や行員などのイベントを、他のアプリに引き継ぐことで自動化するプロセスだ。アプリをまたぐエンド・ツー・エンドの安定したプロセス自動化が可能で、AIなどの最新テクノロジーとの連携も容易だ。反面で、APIが未実装のレガシーシステムの自動化は仕組み的に困難なのが弱点となる。

 「UIによる自動化」は、画面上の操作をRPAなどのソフトウェアロボットに代行させて自動化する。人手と組み合わせた半自動化を行いやすく、APIが公開されていないレガシーシステムの自動化が可能なことがメリットだ。ただし、画面変更などの連携先の仕様変更には弱い。

「APIとUIのどちらも得手不得手があり、両方のエッセンスが自動化のために欠かせません」(舘野氏)

 舘野氏によると、現状において部門横断的な業務プロセスの自動化まで到達できている企業はまだ約20%。対して3年後には、過半数がそのレベルまでの到達を計画しているという。

【次ページ】自動化で目指す範囲を決めよ

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