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  • 2022/12/23 掲載

「無人でガラガラ」も多数、それでも「メタバース時代はやってくる」と言える理由

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メタバース(仮想空間)が注目を集める一方で、その実現には、さまざまな技術的・ビジネス的課題があり、その解決にはまだ時間がかかりそうだ。とはいえ、メタバース自体が将来的に大きな価値を持つことは間違いなく、いくつものパートに分かれながら、順に実現されていくだろう。「気がついてみると『メタバース的な概念とともに暮らす』のが当たり前の時代がやってきます」と指摘するのは、『メタバース×ビジネス革命』を上梓したITジャーナリストの西田 宗千佳氏だ。メタバースはどのような形で社会に受け入れられていくのか。スクウェア・エニックスの橋本真司氏や元gumiの國光宏尚氏への取材などに基づき、西田氏が解説する。

執筆:西田 宗千佳

執筆:西田 宗千佳

ITジャーナリスト。 1971年福井県生まれ。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿するほか、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)がある。

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話題を集めるメタバース空間でも「普段はガラガラ」ということが少なくない
(Photo/Getty Images)

人のいないメタバース

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『メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略』
画像をクリックすると購入ページに移動します
 現在の世の中には、すでに多数の「メタバース」を冠するサービスがある。

 だが、このサービスたちすべてが人であふれているか、というとそうではない。むしろ、ある一つのイベントのために作られるメタバースの場合、そのイベント時のような特定のタイミングを除いて、あまり人がいないことも多い。確かめるのは簡単だ。いくつかのメタバースに実際に足を運んでみればいい。そこが実際の街と同じように、多数の人(アバター)であふれている姿を見ることは、あまりない。単にタイミングの問題であることも多いが、筆者には、特に自治体と組んで作った「バーチャル都市」には、あまり人の姿を見かけない……という印象が強い。

 冷静に考えてみればわかることだ。

 メタバースやVRなどの話をいったん忘れ、リアルで日常訪れる街や旅行を思い出していただきたい。行ったことのない場所を訪れるのは楽しいことだ。面白いイベントなどが開催されていればなおさらだ。しかし当然ながら、宣伝されているからといって、そこに全員が足を運ぶわけではない。

 現実の都市や観光地では毎日観光客の奪い合いをしている。その中に、メタバースが割り込んでいくのは簡単なことではない。家から移動しなくていい、という利点はあっても、IT機器が必要でサービスへの登録も必須、という制約がある。そのため現状なかなか、「遊びに行く場所としてメタバースを選ぶ」気分にはならない。さらには、そこでどれだけ滞在するのか、という話もある。場所間の移動を簡単にして快適にしていくと、その場で滞在する時間は短くなる。そうすると「にぎわい」の演出はさらに難しくなる。

メタバースに必ず付きまとうジレンマ

 サーバーの負荷を考えると「にぎわい」はマイナスだ。だが、現実のようなインパクトを求めるなら「にぎわい」は必要……というジレンマが、メタバースには必ず付きまとう。

 そう考えると、ある意味「一見さん」向けにメタバースを作ることの難しさが明確に見えてくる。少ない回数しか訪れない人たち向けに、3Dのデータとサーバ運用のコストを投下するだけのリターンがあるのか、という計算が必須になるのだ。

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人々が多く集まるとそれだけシステムへの負荷も高くなる
(Photo/Getty Images)

 そうしたデータを作ることも、メタバースを運用することも、それらはビジネスとしてお金を生むが、最終的に、観光・物販・広告などのビジネスにつながらなければ、短期的なもので終わる。巷で「メタバースは所詮流行り物にすぎない」という見方があるのはこのためだ。

 現状のメタバース系サービスでは、日々の利用者は「多くても数万人単位」だとされている。数としては小さなものではないが、高い収益性が求められ、開発にも運営にもコストがかかるネットワークサービスとしては、決して大きなものでもない。市場が期待しているのはさらに1桁、2桁多い数のはずだ。

どのくらい人が集まるのかわからない

まだビジネスの可能性がはっきりしない

 そんな疑念を抱かれているのは、何もスタートアップ企業だけではない。メタバース事業に世界で一番お金をかけ、世界で一番研究に力を入れているMeta自身が、そうした疑念に直面している状態だ。

FF14はなぜこれほどヒットしたのか?

 ただ、そんな不安があることは、現在メタバース上でビジネスを「本気で」やっている人々なら理解しているだろう。だからこそ、さまざまな企業がこぞってコミュニケーションの価値を上げたり、魅力的で使いやすいHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)を用意したりと、いろいろな方向から開発をし、毎日使ってもらえるサービスを構築しようとしている。

 メタバースを謳うサービスが人集めに苦戦する中で、「メタバース的」要素を持ったサービスの中には、圧倒的なユーザー数を集め、毎日利用する人の多いものもある。ネットワークゲームだ。

 たとえば、スクウェア・エニックスが運営する大規模ネットワークRPGである「ファイナルファンタジーXIV」(以下FF14)は、全世界で累計プレイヤー数が2700万人を超え、世界最大級のネットワークゲームの1つになっている。毎日100万人以上がFF14の世界を訪れ、ゲーム自体やコミュニケーションを楽しんでいるという。

 では、ヒットするネットワークRPGはなぜここまで大きな存在になるのだろうか?

 2022年3月までスクウェア・エニックスに在籍し、2021年まではファイナルファンタジーシリーズのブランドマネージャーも担当していた橋本真司氏は、FF14がヒットした理由は「シンプルなこと」と話す。

【次ページ】ゲームが持つ吸引力からコミュニティを広げる

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