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- 2023/01/27 掲載
噂の激安EV「宏光MINI EV」は日本で通用するか? 国内メーカー「小型EV」各種と徹底比較
「安かろう悪かろう」ではなさそう
2020年に発売された「宏光MINI EV」は当初、ベースモデルで約45万円という、自動車とは思えない低価格が話題になった。しかしその後の経緯を見ると、どうやら「安かろう悪かろう」ではないようだ。それは販売実績が示している。宏光MINI EVは2021年、中国で最も売れたEVで、世界的にもテスラ「モデル3」に続く第2位に躍り出た。完成度がイマイチだったら、ここまでの記録は残さなかったはずだ。
車名の「宏光」は、どことなく日本人の名前を思わせるネーミングで、「ひろみつ」と呼んでしまいがちだが、正式には「ホングァン」と発音するようだ。
メーカーは上汽通用五菱汽車で、中国三大自動車メーカーの1つである上海汽車、米国最大のメーカーであるゼネラルモーターズ(GM)、日本の軽自動車に近いクラスの商用車を得意としてきた五菱の合弁企業だ。五菱を上海汽車が買収し、そこにGMが加わることによって生まれた。
ただし、宏光MINI EVに近いカテゴリーの車両は、昔からあった。
新しいカテゴリーではない
欧州では第二次世界大戦後、主に敗戦国のドイツやイタリアで、スクーターのエンジンを用いた乗り物がいくつも登場し、「キャビンスクーター」と呼ばれた。同じころに生まれた日本の軽自動車も、当初はこれに近い車格だった。日本の軽自動車は、時代とともにボディーサイズや排気量が拡大していったが、欧州のキャビンスクーターは、その後もオイルショックや環境問題などで注目を集め、今も同じ車格のまま作り続けられている。
現在のメインマーケットはフランスで、同地ではクワドリシクル(四輪自転車)と呼ぶことが多く、ルノー「トゥイジー」やシトロエン「アミ」など新型車も投入されている。
日本でも最近になって、このカテゴリーの必要性が議論されはじめ、「超小型モビリティ」という名称でルールが定められた。トヨタ自動車「i-ROAD」、ルノー・トゥイジーの兄弟車である日産自動車「ニューモビリティコンセプト」などが登場。現在はトヨタ「C+pod」が法人向けリースという形で供給されている。
【次ページ】競合する日本のEVは何か
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