• 2006/04/04 掲載

コスト削減と柔軟性向上を実現するSOA(3/3)

必要なところから段階的に導入を始めよ

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最初のステップは全社的な業務の洗い出し

─では、実際にSOAに取り組む場合、最初に何から行えばいいのでしょうか?

【飯島】まず全社的な業務の洗い出しが必要でしょう。SOAは業務をいかに再利用できるようにするかが大きなポイントですから、業務の最小単位は何かということを導き出すことが重要です。例えば、営業販売という業務に対して、具体的に注文を受けるとか見積もりを出すとか、業務単位をどんどんブレイクダウンしていくのです。

 その結果、部門独自の業務、共通している業務といったものが見えてきます。これは1部門だけに閉じていたのではわからないことです。先ほど全社的な業務の洗い出しと申し上げたのはそのためです。共通業務が洗い出せたら、そこがSOAに取り組む糸口になるでしょう。

 大切なのは明確なビジョンを持って、自分たちが思い描く最終的なゴールに向けて計画的にプロジェクトを推進していくことです。業務の洗い出しによって、取り組むべき課題が明らかになれば、目指すべき方向性も見えてくると思います。

─最終的にシステムに落とし込んでいくことを考えると、現場の業務とITから見た業務機能とのすり合わせも必要ではないでしょうか?

【飯島】確かにそれは必要ですが、最初にシステムから見た業務ありきで洗い出しを行うと、途方もない作業になってしまいます。ですから、最初の段階では、まだそれには手をつけなくてもいいでしょう。まずはITと切り離して、現場の視点と言葉で業務を紐解いていくことです。そして、これ以上ブレイクダウンできないというところまで洗い出しができたら、システムとのマッピングを考えていくといいでしょう。


SOAは大企業先行型
2010年に国内企業の3割に普及

─先行する米国及び日本のSOA動向について教えてください。

【飯島】米国は日本以上に経営にスピードが必要な上、経営改善などの取り組みに対して短期間で目に見える成果が求められる傾向にあります。しかし、これまで申し上げてきたように短期的なメリットを求めるのはSOAの考えにそぐわないものです。ここへきて、米国でもSOAに対しては、急がば回れ的な考え方が浸透しつつあるといったところです。

 事例としてはテレコム、金融、生保業界など経営環境の変化や競争の激しい業界が先行しています。その意味で大企業先行型と言っていいでしょう。この傾向は日本でも同じだと思います。SOAの取り組みは国内ではまだこれからといった状況ですが、今年から製造業などを中心に先行事例が報告されてくるのではないかと見ています。

─最後にSOAの今後の市場展望をお聞かせください。

【飯島】昨年のガートナーの調査によれば、ワールドワイドで2010年までに大規模企業の少なくとも65%がSOAベースになると予測しています。この数字をそのまま日本にあてはめることはできませんが、2010年までに普及率は少なくとも30%には達するのではないかと見ています。今年もベンダー各社がSOA対応製品の進化版・機能拡張版を相次いで投入する模様です。

 今後はSOA対応でない製品を見つけることが難しくなるほど急速に普及していくものと思われます。製品の基本的なライフサイクルを3年と考えると、やはり2010年頃にSOA普及の1つの大きな盛り上がりが来るのではないかと見ています。

 今後は好むと好まざるとに関わらず、SOA環境は間違いなく浸透していきます。SOA環境を構築し、その効果を得るまでには最低でも2~3年はかかるでしょう。経営者はそのことを踏まえた上で、SOA環境の実現に向けて、直ちに検討を開始すべきです。

〈執筆:橋本雄一、写真:郡川正次〉

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