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- 2016/06/27 掲載
日米で比べる「ダイバーシティ」の使い方 あらゆる「過去」を「肥やし」とみなそう
ライフネット生命 出口会長と島澤 諭氏が対談
「出戻り」人材が会社を強くする!?
ライフネット生命でも、一度辞めた人がまた戻ってくるケースが多々あります。外の世界でチャレンジするために出ていったけれど、「やはりライフネットが向いている」と思って戻ってくる。しかし、日本の伝統的な大企業では、そういう事例はほぼ見当たりません。役所でも、先生のように外で勉強した人をまた戻せばいいのですが。
島澤:私自身は戻らないと思いますが、確かに大事だと思います。ただし、処遇や評価はなかなか難しい。他の企業の人に話を聞いても、辞めたあとの経験が違うので、評価しにくいというのはあるようです。
出口:出戻り社員は、まずは辞めたときのランクに戻せばいい。悪かったら落とせばいいですし、良かったら上げればいいのではないでしょうか。
島澤:役所であれば、課長ポスト以上に空きが出たら、給料や待遇を明示して各所から応募できるようにするのも面白いと考えます。例えば、経済産業省から内閣府の課長ポストに応募があるかもしれませんし、民間企業から応募があるかもしれません。
出口:出戻り社員もそうですが、大きな失敗を経験したことがある社員も、実は企業にとっては大きなプラスとなる可能性を秘めています。失敗というとマイナスのイメージでとらえがちですが、アメリカではむしろ過去に失敗や挫折を経験した人のほうが信頼されます。
例えば、アメリカのベンチャーキャピタルでは、どんなに才能があっても、過去に大きな失敗を経験したことがない人には投資しないと言われています。どうやれば失敗するのかの経験則がないことが怖いのだそうです。一方、日本の社会では一度大きな失敗をすると、再び這い上がっていくのが困難です。
島澤:失敗しても再チャレンジできる環境は、もっと整えていくべきですね。
出口:仮に日本で行き詰まっても、海外で頑張ればいいのです。「海外で働く」というとハードルが高そうなイメージがありますが、言葉の壁さえクリアすれば、意外とどうにかなるものです。大きく失敗した人物でも、優秀であれば「出資の価値あり」と判断されます。
島澤:求められるのは、海外でもうまく対応していける力ですね。
【次ページ】ダイバーシティを活用して組織を強くする
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