• 2026/07/09 掲載

英国スタートアップ、宇宙でアルツハイマー研究へ…小型実験室を打ち上げ

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英国の宇宙スタートアップマス・バランスは7月7日、加齢関連疾患の原因となるタンパク質を研究するための小型自律型実験室MB-X1を地球低軌道へ投入した。スペースX社のファルコン9ロケットを用いたTransporter-17ミッションにより、米カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられた。微小重力環境を活用して得られたデータは、アルツハイマー病やがんなどのメカニズム解明と新薬開発に向けたAIモデルの訓練に利用される。
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(画像:本文をもとに生成AIで作成)
 マス・バランスが開発したMB-X1は直径10センチメートルほどのポッド型デバイスである。オーストリアの宇宙インフラ企業タンブルウィード社が開発した技術実証衛星Oasis Alphaに搭載されている。内部には化学物質や光学センサーと微小流路が組み込まれており、軌道上で細胞の成長や生化学反応を自動で測定してデータを地球へ送信する。

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【図版付き記事はこちら】
データ通信のみで実験を完結させる
(画像:本文をもとに生成AIで作成)

 研究の主な対象は特定の3次元構造を持たず常に形状を変化させる天然変性タンパク質である。このタンパク質はアルツハイマー病、パーキンソン病、特定のがんなどの加齢関連疾患に深く関与している。地上の重力環境下では対流や沈降などの流体力学的ノイズが発生するため、従来の技術ではこのタンパク質の構造や動態を正確に分析することが困難だった。

 マス・バランスはこの環境下で収集したノイズのない構造データを、同社独自の生体構造予測AI「SpaceFold AI」の訓練に活用する。柔軟に変化するタンパク質の挙動予測精度を高めることで新薬候補のシミュレーションを効率化していく。構築した高精度AIモデルやデータへのアクセス権を製薬企業にライセンス提供するビジネスモデルを構想しているという。

 今回のミッションでは搭載された産業用バイオ触媒を用いて特定の化合物を分解し、光学センサーで化学反応を監視することで、軌道上での自動化システムの有効性を検証する。同社は実験サンプルの地球への持ち帰りを予定していない。データ通信のみで実験を完結させる設計を採用し、大気圏再突入に伴う技術的ハードルや法規制の調整を回避している。

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