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- 2023/04/27 掲載
動画生成AIの最新動向、動画製作やハリウッド映画でも利用拡大のワケ
テキストから動画を生成するAI
生成AIといえば今はChatGPTの名が挙がるが、ChatGPTはテキスト生成分野に属する生成AIツールだ。生成AIの範疇は幅広く、テキスト以外では、音声、画像、動画分野でも目覚ましい発展がみられる。
画像生成分野では、Stable DiffusionやMidjourneyが先行しているが、アドビやShutterstockなどの大手企業も画像生成AI領域に参入しており、今後競争の激化が見込まれる。
そして最も難しいとされる動画分野でも生成AIツールが登場しており、ハリウッドを始めとするエンタメ界隈やマーケティング分野の状況を大きく変えつつある。
動画生成分野で今話題となっているAIツールの1つが、Runwayが提供するGen2だ。前モデルGen1のアップグレード版で、テキストからフォトリアルな動画を生成できる生成AI。すでにパブリック版が公開されており、YouTubeやツイッターなどソーシャルメディアでは、同ツールのレビュー報告が増えている状況だ。
現時点では、このAIツールで生成できる動画の長さは3秒ほどといわれているが、クリエイター界隈での注目度は高く、またブルームバーグなどの大手メディアも同ツールに関する情報を伝えており、利用者はさらに増加することが見込まれる。
Gen2がリリースされたのは、2023年3月20日。Designboomが伝えたAI動画プラットフォームCamcorderの創業者フィリップ・シップマン氏の発言によると、Gen2のリリース日の前後7日間で、Gne2を含め5つの動画生成AIツールがリリースされたという。
ハリウッドで使われていたCGやグリーンスクリーンの課題
RunwayのGen2などは主に個人クリエイターやコンシューマ向けと捉えることができるが、ハリウッドや企業広報・マーケティングなどプロの現場やビジネス向けの動画生成AIツールも続々登場しており、すでに現場で利用されているとの報告も散見されるようになっている。映画製作やテレビ番組製作では、ストーリーを伝えるための背景が重要となる。これまでは現地ロケーションやスタジオでの巨大セットを使って撮影されることが多かったが、テクノロジーの進化によってその様相は大きく変化している。
まず、編集ソフトウェアやコンピューター処理能力の向上により広がったのが、グリーンスクリーン手法だ。これは緑色の背景でシーンを撮影し、後に編集で背景を合成し、あたかも出演者がその背景の場所にいるかのように見せる手法のこと。現地ロケーションや巨大セット設置などに比べると、コストや時間を大きく短縮することが可能となる。
一方、グリーンスクリーンを背景に撮影するため、出演者がリアルな状況を体感することができず、演技の際に感情移入するのが難しくなるといった課題が浮上した。 【次ページ】ハリウッドでも生成AIツールを活用
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