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  • 2006/07/19

【中堅中小IT化】RFIDタグシステムにより、回転寿司の単品管理を実現

【情報化の処方箋 第5巻】中堅中小企業 IT戦略の成功事例~業種は違えど、ヒントを得られる~

回転寿司業界の競争は熾烈を極める。ロボットで酢飯を握るのはもはや当然。仕入れや客の回転率を極限まで効率化し、利益を出さねばならない。「あきんど」「スシロー」を関東・近畿に展開しているあきんどスシローでは、効率化の手段として1皿ごとの単品管理を追求してきた。同社は、RFIDタグ(無線ICタグ)により、大幅に廃棄率を下げることに成功している。



この事例は、元インテル会長西岡郁夫氏のセッションで紹介されています。セッションの模様をご覧になりたい方はここをクリック

画像認識による単品管理は
失敗に終わる


 スーパーやコンビニで買い物をすれば、商品のバーコードをレジで読み取るし、ファミリーレストランでは客の注文を専用端末に入力していく。売り手の側では、こうしたデータをPOSですべて把握し、商品の仕入れなどに役立てている。このような商品の管理は今では常識だ。

あきんどスシロー、RFID
あきんどスシロー 取締役 総務部長 山尾氏

 ところが、回転寿司の店では、お客が何皿食べたかということしかわからない。大まかな人気商品の傾向はわかっても、時間帯、天気等による傾向や変化を正確に読み取ることができない。材料の残量だけで判断すると誤差が多すぎる。そうなると、適切な仕入れができないし、客が食べずに廃棄される割合も増える。低価格、少ない利幅でしのぎを削る回転寿司業界において、廃棄率の高さは致命的だ。単品管理による正確なデータ分析は、回転寿司チェーンにとって悲願なのである。

 実は、あきんどスシローでは7年も前から単品管理に挑戦していた。そこで使われていたのは、画像認識を利用したシステム。皿に載っているネタをCCDカメラで撮影し、ネタの大きさや色から種類を判別するというものだった。しかし、このシステムによる認識率はせいぜい75~80%程度であったため、データ分析の役には立たなかった。結果、このシステムは失敗と判断され、損失として計上されることになった。しかし、代表取締役社長の清水義雄氏は、単品管理をどうしても諦めることができなかったのである。

 そこで、3年前、総務部長である山尾博氏らのプロジェクトチームによって新しいシステムの検討が開始された。

売上アップ、RFID
■システム概略図
あきんどスシローの店内で使われているRFIDタグシステム。キッチンでは、スシネタ皿を流す前に必ず区切り皿を入れる。キッチンと客席の境目にはセンサーがあり、どの皿が取られたかを記録する。350m移動したスシネタ皿は、自動的に排除される。客からのオーダーは、係員がインターフォンで受け、バーコードリーダーを使って専用端末に入力、キッチンに伝える。



現場における運用性を
重視したRFIDタグシステム


 システムの候補として上がってきたのが、話題となり始めていたRFIDタグ。しかし、回転寿司の場合、ネタ自体にタグを付けるわけにいかないし、ネタごとに皿を変えるわけにもいかない。
 そこで考えられたのが、「区切り皿」を使った方法だ。レーン上に寿司を流す場合、実際の皿の前に「イカ」「マグロ」などと書かれた区切り皿を流す。区切り皿にはネタの名前が記録されたRFIDタグが取り付けられている。通常の皿にもタグが付いているが、これは他の皿と区別するためのもの。例えば、マグロの区切り皿のあとに続く皿は、すべてマグロと認識される。次にイカの区切り皿が来たら、続く皿はイカというわけだ。

売上アップ、RFID
あきんどスシロー 総務部 情報システム部 月見氏
 皿を認識するためのセンサーは、お客の座るホールとキッチンの境界に設置されている。キッチンで認識されたあと、別のセンサーで認識する際に皿がなくなっていたら、お客が食べたと判断する。350m移動した皿は、自動的に排除されるようになっている。

 また、各テーブルにはインターフォンが備わっており、これを使ってオペレーターが注文を受ける。オペレーターは、端末のボタンを押してキッチンに注文を伝える。

「注文の受け付け方については、各テーブルにタッチパネルなどを設置するという方法もあるわけですが、そうすると1店舗あたりのコストが大きくなってしまいます。また、レーンに流すネタについては、音声認識を使うことも考えましたが、そうすると運用が大変です」(山尾氏)

廃棄率を5%下げただけでなく、
従業員の意識も変えた


 RFIDタグを入れたことにより、データの傾向が実によく見えるようになってきた。地域や時間帯による違いがはっきりしてきたため、システムを入れる前に比べて5%も廃棄率を下げることができたという。 「システムを入れたことで従業員の意識も変わってきたと思います。廃棄率に注意したり、売れ筋が何か、どう流せばよいのかを積極的に考えるようになってきました。」(山尾氏)

 回転寿司の皿の流し方には、多くのノウハウが含まれている。売れるものを流すだけでは利益が出ないし、安いが人気がないものを出すだけでは食べてもらえない。絶妙なバランスが求められるのだ。上手な流し方がわかるようになるには、普通何年もかかる。そこで、同社では、現在の状況を分析し、最適な流し方の指示をキッチンのディスプレイに表示するシステムを試験的に導入し始めている。現在このシステムを導入しているのは2店舗だが、将来的にはすべての店舗に広げていく方針だという。

 また、今後はRFIDシステムを他のシステムと連携させ、売れ筋やパターンのデータをウェブ上で迅速に把握できるようにしていく予定だ。

「流し方の指示以外の部分でも、考えればいくらでも改良点はあります。天候の変化に合わせて、どう仕込みの量を調整するかなどについても考えていかなければならないでしょう」

よいソリューションを
実現するには、現場の声を聞くことが重要

RFID
専門端末に入力されたオーダーは、
キッチンのディスプレイに表示される
 単にITを使うだけでは、効果的ソリューションにはなりえない。
「重要なのは、現場で使えるものを入れるということですね。そうでないと、いくら技術的によいものであっても、宝の持ち腐れになってしまいます。以前の画像認識のシステムではすごい損失を出して、懲りました。やはりテストを行い、現場からのフィードバックをもらってそれを取り入れていかないと。(システムを導入した)今でもそうです。常にフィードバックが必要です」

「もう1つ、トップの強い意志も必要です。弊社の場合、最初の画像認識システムは失敗しましたが、単品管理を絶対やるという社長の意志がなければRFIDタグシステムも実現できなかったでしょう」



会社名:株式会社あきんどスシロー
所在地:大阪府摂津市鶴野4-2-18
主な業務内容:回転すしレストラン「あきんど」「スシロー」の経営
TEL:072-652-1002

●脚注
■RFIDタグ

無線ICタグともいう。無線通信によって、データを交換できる小さな記憶媒体。製品ラベルなどに使われる。商品管理や万引き防止などに役立つと期待されており、今後数年で爆発的に普及するとの予測もある。

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