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- 2023/08/04 掲載
「スト6」で学ぶマーケティングの基礎、古参ファンがいると陥りがちな「罠」とは
連載:ロングセラー解体新書
「背水の陣」だった「スト6」
カプコンは今年の6月、およそ7年ぶりに格闘ゲーム 「ストリートファイター」 シリーズの新作「ストリートファイター6」を発売しました。「ストリートファイター6」でカプコンが目指したのは、かつて社会現象になった 「ストリートファイター2」、すなわち「スト2」 の熱気の再現です。
実は、「スト6」はカプコンにとっては背水の陣で臨むゲームだったと言います。ストリートファイターシリーズと言えば、1991年に登場した「スト2」が大ヒット。カプコンはその後も続編としてストリートファイターシリーズの発売を続けますが、「スト2」を超えるブームには中々つなげられることができなかったそうです。
というのも、時代とともに主流になったオンライン対戦に面倒くささを感じたり、プロゲーマーの登場で自分と彼らとのレベル差を痛感してゲームから離れる人もいたからです。
「スト6」に散りばめられた「新機能」
こうした状況を受け、カプコンは新しい 「スト6」 でゲームの操作性や機能に工夫や配慮を行っています。たとえば、これまでは繰り出すためのコマンドが難しかった「波動拳」などの必殺技を簡単に繰り出せる操作モードを追加し、誰でも簡単に楽しめる工夫が凝らされています。また、ストリートファイターの世界観を体感しながら遊べるストーリーモード「ワールドツアー」を用意。「初めて『ストリートファイター』に触れる方がワールドツアーのストーリーを遊び終えるころには、波動拳が繰り出せるようになっていて、リュウの好物が何かを知っているはず」とプロデューサーの松本脩平氏が語るように、初心者でもプレーするうちに「ストリートファイター」のファンとなるような内容を用意しています。
このほか、プレーを盛り上げるために、「実況機能」を搭載し、プロの実況者やミュージシャンのデーモン閣下、女優の髙橋ひかるさんらが対戦を実況・解説してくれる機能も新搭載されました。
ストリートファイターは押しも押されぬ人気シリーズなわけですが、決して全シリーズが成功したとは言えません。では、過去のヒット作品を生かした「リバイバルコンテンツ」の成否はどこにあるのでしょうか。この「スト6」およびストリートファイターシリーズから得られるマーケティングの基礎を見ていきましょう。 【次ページ】コアなファンがいることの「罠」とは
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