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- 2024/12/12 掲載
生成AI、次の舞台は「軍事」のワケ、激アツ市場に猛烈アタック「OpenAIの切実事情」
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。
1,000億ドル企業めざす「OpenAIの現在地」
まずはOpenAIが現在置かれている状況を競合と比較しながら簡単に見てみよう。この状況を理解することなしに、トランプ次期政権下でOpenAIがどのように政府契約を取りに行くのか、またいかに競合のxAIに対抗してゆくかを予想することはできない。米調査企業Similarwebがまとめた世界で最も訪問数(セッション数)の多いWebサイトの比較(図1)を見ると、Googleが820億回と群を抜く1位であり、YouTubeが280億回で2位、フェイスブックが123億回で3位だった。一方、OpenAIのChatGPTは31億回と日本のヤフーの32億回よりも下位である。

とはいえ、生成AI検索分野に限ると、9月のChatGPTの月間訪問数は前年同月から112%増加して31億回となった。前身のChat.OpenAI時代に長らく越えられなかった20億回の壁を突破し、スランプから脱して急成長していることがわかる(図2)。

米国内に限れば、月間アクティブユーザー数が9月に1000万人を突破(図3)。11月時点でOpenAIに累計140億ドル(約2.1兆円)を出資しているマイクロソフトのBingを追い抜く寸前にまで来ている。

今年のChatGPTによる収益は、2023年の7億ドル(約1,078億円)から27億ドル(約4,162億円)に大幅に増加する見込み。これに加えOpenAIは、その他の収益源から10億ドル(約1,541億円)を得る見通しだ。同社は2029年までに年間収益を1,000億ドル(約15.4兆円)にまで増やすことを目指しており、生成AI分野で独走態勢に入っている。
一方、ライバルの逆転を許さないために大規模言語モデル(LLM)開発とクラウド利用にかかる費用は尋常ではない。そうした状況もあり、OpenAIは10月に、新たに66億ドル(約1兆円)の新規投資を受けたばかりだ。だがその投資には興味深い条件が付けられている。
【次ページ】生成AI業界が「政府契約」に注目する切実事情
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