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  • 2008/03/28 掲載

中小企業の戦略的情報システム構築術(5):BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)のすすめ

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コストに対する考え方がシビアな中小企業は、どのように情報システム構築を実施していくべきなのか。インストラクション 代表取締役社長 神田祐治氏の連載第2弾「中小企業の情報システム構築術」の第5回は、中小企業の外部資源の活用(アウトソーシング)について解説する。

インストラクション 神田氏執筆一覧

社会に対しての最適化

中小企業の戦略的情報システム構築術
 中小企業が内部統制に取り組まなければならない理由はただ1つ。これを実行することで継続的に企業価値を高めていくことができるからである。社会(市場や顧客)に新たな価値を提供することができなくなった企業は、事業継続ができなくなる。それゆえ、内部統制に経営者が真剣に向き合うことは、最大のリスクコントロールになるに違いない。中小企業は事業継続が最大の目的であるため、社会に対しての最適化を日常的に模索するという経営が望ましい。言い換えれば、企業価値を高めていく内部統制活動をすることが中小企業経営そのものだということにもなる。

 この最適化を目指すには、経営者が自ら策定した「クレド (第3回を参照)」から導き出された「コア(他社に真似できない核となる能力)」に資源を集中させる仕組みが重要になる。「コア」を高めるためには、まず、集中させる資源(人・モノ・金)を外部化できるものと内部化すべきものとに明確に分ける必要がある。次に、これらに対して内部統制のコントロールをいかに効かせるかが経営の勘所になるのではないだろうか。

資源としての人材

 最適化を達成するには、自社のなかでも最良の人材資源を投入しなければならない。これは、企業が継続的に改革に取り組んでいくためには、継続的に最良の人材を投入し続ける仕組みを作らなければならないということを意味する。

 しかし、中小企業の人材はごく限られているというのが現実である。経営者の多くは日頃から自社の「資源」の少なさに苦労しているため、最適化の重要性はわかるのだが、実際にはITの導入1つとっても抱える問題の解決方法がなかなか見出せないでいる。それは最良の人材はすでに重要な職務を抱えており、それと同等の人材など社内にそうはいないからだ。

 このような中、最近、コンピュータ業界は新たな概念を武器に、改革に熱心な中小企業に向けて新たな提案をし始めた。これが、「BPO (business process outsourcing)」と呼ばれる情報システムのアウトソーシングサービスである。簡単に言えば、コンピュータに関わる業務処理を丸ごと請け負ってあげましょうというものだ。中小企業経営者にしてみれば、外部に優秀な人材を求めたかたちになる。「コア」を高めるためには、外部資源も利用できることになる。

 このサービスは資源の少ない中小企業にとってはなかなか魅力的な提案に見える。特に「コア」の重要性を真剣に考えている経営者にとっては経営のスピードアップがはかれるため、導入を検討したくなることだろう。コストの圧縮に留まらず、「コア」に資源を集中できるのならば、内部統制の着手の前提に「BPO」の導入も一度検討してみるのも良いだろう。

内部統制のためのアウトソーシング

 「アウトソーシング」とは、情報システムに関わる開発、運用、保守を外部に委託することだが、今やその他のマネジメントにもこのサービスが拡大している。また、「BPO」についても大企業を中心に導入例は徐々に増えてきている。

 しかし、注意していただきたいことは、これらのほとんどがバルクアウトソーシングという丸投げの外部委託の形態で利用されていることである。つまり、目的が「コア」に資源を集中するためではなく、コストの圧縮、面倒な処理の外製化、人材難の補完などのためにあるようだ。

 そもそも、「アウトソーシング」とは、業務に関して設計から管理・決済責任までの一切を全面的に委託することを指す。これに対して、委託先が戦略と統制を持ったまま処理のみを受託先に任せるのを「アウトタスキング」と言う。「アウトタスキング」では自社に企画や戦略立案機能を残し、管理運営のみを業務委託することになる。「BPO」にも「アウトソーシング」と「アウトタスキング」のタイプがある。

 内部統制のための「BPO」とは、コア・コンピタンス経営の推進、すなわち、自社が得意とする分野へ限られた経営資源を集中するためにビジネスプロセスの中に積極的に外部資源を取り入れることである。それは単に業務プロセスを外部に委託するのではなく、外部の資源を取り込んで体質強化をはかるためにあるはずだ。

 したがって、中小企業が選択すべき合理的な「BPO」は、アウトタスキングタイプということになる。なぜなら、PDCAサイクルを日々まわすことで継続的な成長を達成しようという中小企業がマネジメントシステムまでも、丸ごと外部に預けてしまっていては経営を放棄したにも等しいことになるからである。

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