• 2008/04/30 掲載

【戦略的Webサイト構築術/連載[6]】 プランニングによる戦略・設計の実行

~そのプロジェクト本当にうまくいっていますか?~

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Web2.0というキーワードが一人走りをしている。企業は挙って自社のWebサイトをWeb2.0対応にしようとするが、その本質を見誤ると目的を達成することはできない。では、Web2.0をどう捉えるか。どういったサイトを構築すればよいのか。トライベック・ストラテジーの後藤洋氏が論じる連載の第6回をお届けする。

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【売上アップ】戦略的Webサイト構築術
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部
ゼネラルマネージャー
 これまで、ユーザー中心のマーケティング戦略から、ウェブサイトを設計する上で重要となってくる手法についてお話してきた。ここからいよいよ戦略・設計フェーズに魂を吹き込む作業を紹介したい。

 戦略定義書やWebサイト設計書の類は、<絵に描いた餅>状態になっていることがしばしば見受けられる。この状態を避けるために必要なのが、戦略観点から実現性のある実行企画書を作成することである。トライベック・ストラテジーでは、戦略、設計フェーズから実行企画フェーズにおいて実行企画書を作成するための一連の作業をプランニングと呼んでいる。

「絵に描いた餅」になりがちな戦略・設計フェーズ

 こんな経験はないだろうか?ある企業のウェブサイトリニューアルプロジェクトでの話である。プロジェクトの責任者は、スケジュール全体の中で、十分に戦略・設計フェーズの時間を確保し、検討した。企業戦略の観点から、達成すべきウェブサイトの目標、狙うべきターゲットを明確にし、アイデアも検討できた。しかしながら、いざ実行フェーズに移行すると思ったように作業が進まない。目標は正しかったか?ターゲットは間違っていなかったか?そうして戦略・設計フェーズの資料を見直すがズレはない。

 ではなぜプロジェクトはうまく進まないのか?答えは簡単である。戦略・設計フェーズから実行フェーズに移行するにあたり、プランニング作業を怠ったことである。プランニング作業での成果物となるのが実行企画書になるわけだが、これがプロジェクトをスムーズに進める上で欠かせない資料になる。

実行企画計画書の実態

 では実行企画書はいったい何か?先ほどお話したとおり、この資料は、戦略・設計フェーズにおいて作成された資料に対し、プランニングという作業を介して生まれる成果物と思っていただきたい。ということは、この<プランニングという作業>についてもう少し言及する必要がありそうだ。

 プランニング作業は「戦略・設計フェーズの翻訳作業」と言っても過言ではない。一般的に、翻訳と言えば、日本語から英語・中国語へ、といった作業のことを指す。ではプランニングにおける翻訳作業はどうか?戦略・設計フェーズをデザイナー、コーダー、システムエンジニア、など実行フェーズに関わるさまざまなプレイヤーに対して理解してもらい、かつ実現性の高い企画を作成(翻訳)することである。そしてもう1点、非常に重要な役割として、そこにキラリと光るインターネットならではのスパイスを加えることを担っている。

 戦略から実行企画への落とし込みにあたって、通り一遍の企画になっているケースが見受けられるが、そこにプランニング作業を介すことで、これまでになかった新しい切り口の企画が生まれる。そこにはただ新しいということではなく、戦略との整合性があり、かつ実現性が高いものであるから、より高い効果を見込めることが必要となる。

プランニング作業で必要なこと

 実はこのようなプランニング作業には、非常に高いスキルが要求されることが多い。というのも、プランニング作業自体がプロジェクトの中で戦略・設計フェーズ~実行フェーズにおける架け橋的な存在になるためである。そのため、プランニングの担当者は、戦略・設計から実行までの幅広い知識を要するのである。と、同時に知識だけでは計り知れないクリエイティブ力(発想力)も必要だ。

 これらのスキルを持つ担当者はそれほど多くない。その中で必要になってくるのは、決して個人の力に頼ったプランニングをしないことである。前述のとおり、プランニングにおけるスキルは広範囲で、かつクリエイティビティも兼ね備えたスタッフはそうはいない。なので、複数のスタッフがいろいろな角度からアイデアを出し合い、ディスカッションしていくのである。繰り返しになるが、この作業はとても大事なのだ。この作業を疎かにしては、戦略・設計フェーズの作業はすべて水の泡になるということも心得ていただきたい。先人はよく言ったもので、「3人寄れば文殊の知恵」とは個性の違うプロフェッショナルが導き出す集合知に価値を見出すということの本質を表している。プランニングという作業は、それだけエンドユーザーがそのWebサイトを評価するか、しないか、といった非常にデリケートな選択をするに等しい作業なのだ。

プランニング力を鍛えよう

 よく聞かれることがある。「プランニング力はどうやって鍛えたらいいですか?」非常に難しい質問である。業務全般における一般的なスキルというのは、勉強や経験などで身についていくことが多い。しかしそれらを応用したりして有機化していくには、俗にいうクリエイティビティやセンスが必要と言われることが多いのである。つまり、クリエイティビティやセンスを磨くにはどうしたらいいか、という質問に等しいわけである。ただし、これらのスキルが訓練では身につけられない、とは思わない。次回はプランニング力の鍛え方についてお話したい。



【筆者プロフィール紹介】
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

慶應義塾大学法学部卒業。同大学卒業後、ソフトバンクに入社。同社出版部門の広告 局にて、幅広いクライアントの広告営業に従事。また新規事業立ち上げにおいてマー ケティングを担当。2002年4月より、トライベック・ストラテジーに参画。同社のユー ザー視点でのワンストップソリューションを核に、IT、飲料、金融、エンタテインメ ント、など業種業態にかたよらない幅広いプロジェクトに従事。Webマーケティング 戦略、プロモーション戦略の策定から企業ブランドサイト構築、ECサイト構築、コミュ ニティサイト構築などを手がける。専門は、Webマーケティング戦略全般/コミュニ ケーション戦略/ブランドサイトならびにコミュニティサイトプランニングおよび構 築など。


【会社プロフィール紹介】
トライベック・ストラテジー
「徹底的なユーザー視点」を核にマーケティング戦略のIT化を支援するプロフェッショナル集団。
Web戦略の策定からWebシステム開発、サイト運営まで、eビジネスのトータルソリューションをクライアントの方々とともにゴールを共有して、ワンストップで提供することを目指す。
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