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- 2024/07/11 掲載
「2024年版 中小企業白書」要点まとめ、今なぜ中小企業の「投資意欲」が急増か?
連載:第4次産業革命のビジネス実務論
アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「
DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX - EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。
新型コロナ後、存続できている中小企業の特徴
新型コロナは多くの事業者に影響を及ぼしましたが、感染症に関する政府施策の利用経験に関する調査結果を見ると、感染拡大を乗り越えて存続している企業においては、その半数近くが「持続化給付金」、「雇用調整助成金」、「政府系金融機関による実質無利子・無担保融資」、「民間金融機関による実質無利子・無担保融資」を利用しているようです。
この結果、失業率や倒産件数は比較的低い水準で推移していることが分かります。

変化の兆しアリ? 中小企業の「投資意欲」高まる理由
中小企業の経営方針と投資意欲の変化を2020年と2023年で比較した調査結果を見ると、2023年において「新たな需要を獲得するための行動をするべき」、「付加価値を高めるための行動をするべき」と回答した企業の割合は合計で約9割であり、2020年より増加しています。新型コロナによるパンデミックを脱し、中小企業の投資意欲が高まってきていると考えられます。

上記調査において、2023年における経営方針について「新たな需要を獲得するための行動をするべき」、「付加価値を高めるための行動をするべき」と考える理由について確認した結果を見ると、「利益を上げるため」が最も多く、次いで「賃上げ等により従業員の生活を豊かにするため」が続いています。
また、約半数の企業は、「事業継続のため」と回答しており、変化する外部環境に対応し事業を安定継続させるために、投資行動などの新たな取り組みに着手する必要があると考えている企業が多くなってきていることが考えられます。

企業規模別の設備投資額の推移を見ると、中小企業の設備投資額については、2012年から一貫して上昇し続けており、2021年は18.2兆円となっています。

企業規模別に子会社・関連会社が増加した企業割合の推移を見ると、一貫して大企業の方が高い割合となっている一方、2012年度から2021年度にかけては、大企業は横ばいである一方、中小企業では増加していることが分かります。

中小企業では、売上高研究開発比率も、増加傾向にあり、投資行動に意欲的な中小企業が増加していることが分かります。 【次ページ】4段階中どれくらい? 中小企業の「DXの取り組み状況」
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