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- 2025/06/06 掲載
激変する生成AI勢力図「Microsoft、Google、OpenAI、Anthropic」の最新戦略とは?
連載:グーグルの生成AIトレンドガイド
生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース エキスパート コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン『TechComm-R』運営。X(Twitter)は@sakaicat
Microsoft:企業のエージェント活用を後押し
5月20日(日本時間、以下同)に行われた「Microsoft Build 2025」の基調講演で特に多く耳にしたキーワードが「AIエージェント」だ。同社は、ユーザーがAIエージェントを開発できる「Copilot Studio」を提供している。これは、開発者向けの環境に加え、ノーコードやローコードでのエージェント作成機能も備えている。ここから利用できる各種の機能やツールが大きく進化した。
まず、大企業向けには、AIを自社のデータに基づいてローコードで微調整できる「Copilot Tuning」の提供を発表。過去の業務で蓄積された知見や専門知識などに基づいた、より最適な回答が得られるようになるという。
また、開発者向けには、複数のエージェントを連携してタスクを処理できるマルチエージェント化や、作成したエージェントが外部ツールと連携して利用しやすくなるMCPへの対応をはじめ、エンジニアがエージェントを開発する機能がリリースされた。
AIエージェントが実際にどう役立つのかをまずは試してみたいという場合は、新たな公式エージェントとして登場した「Researcher」や「Analyst」を試してみるとよい。「Researcher」は詳細なリサーチを実施できるもの、「Analyst」は高度なデータ分析を行うもので、すでに新機能の試験プログラムとして提供が開始されており、Copilotチャット内の「エージェントを入手」から自分のチャットに追加して利用できる。
ビジネスパーソンが日常で利用する業務向けツール群にも多方面のアップデートが行われ、複数ソースの情報を集約する「Copilot Notebooks」や、テキスト、画像、動画の生成を一括で管理する「Create experience」が登場した。
また、Edgeブラウザには、PDFファイルをページの体裁を保ったまま全ページ翻訳できる機能が登場。さらに、クラウド上に保管している自社のMicrosoft 365ドキュメントをサイドバーのチャットで要約できる機能も追加される。Outlookでは、検索性能の向上や、添付ファイルの要約、会議の開始前に関連する過去のメールや資料を自動で集約できる機能が登場した。さらにTeamsでは、開発者が特定のグループ向けのエージェントを作成できるようになる。
一連のアップデートは、「組織としての生成AI活用」をいかに後押しするかが徹底的に考えられたものとなっている。特にAIエージェント活用を後押しする動きは、業務のあり方も大きく変えていきそうだ。
これまでの生成AIは、「特定のタスクに対して、その都度AIに指示を出す」という“サポート”的な使い方が中心だった。自社の業務に最適化されたAIエージェントを作成しやすい環境が整うことで、「自社の業務に最適化されたエージェントにある程度まとまった業務を委ね、それを人間が管理・監督する」“協業”のスタイルへのシフトが進んでいくだろう。
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