• 2025/07/07 掲載

【市場調査】政府方針で副業は「当たり前」に? 国の後押しで大企業の6割が受け入れ

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政府が掲げる「2027年には希望者全員が副業可能な社会」の実現に向け、副業・兼業をめぐる企業の対応が進んでいる。みらいワークスは2025年6月24日、大企業に勤務する人事・労務担当者500名を対象とした「副業・兼業に関する人事制度の実態調査」の結果を発表した。
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「希望者全員が原則として副業・兼業できる社会」の現状とは…

正社員の副業容認は5割超、制度整備中の企業も2割近く

 調査によると、正社員の副業・兼業を「認めている」企業は55.2%となり、「禁止している」企業(44.8%)を上回った。副業の容認が過半数となる一方で、制度整備や運用面での課題も浮き彫りになっている。

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副業・兼業を容認する企業が過半数を占める結果に。図でチェック

 「副業・兼業を禁止している」企業は26.0%だった一方で、「現在は禁止だが新たな制度を整備中」と回答した企業が18.8%にのぼった。これらを含めると、今後も副業・兼業を解禁する企業は増加すると見込まれる。

 一方で、「条件付き許可」24.6%、「例外的許可」18.8%、「原則自由」7.4%といった選択肢も一定数を占めており、副業を柔軟にとらえる企業が増えている様子がうかがえる。

外部人材の受け入れは6割超、制度と異なる運用も

 他社の従業員を副業・兼業人材として受け入れている企業は62.4%に達した。正社員の副業を禁止している企業でも49.6%が外部人材を受け入れており、自社制度と異なる対応を取っているケースもある。

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副業・兼業人材の受け入れは62.4%にのぼり、非雇用型・雇用型ともに柔軟な活用が広がっている。

 副業制度を容認する企業では、外部人材を受け入れている割合が72.8%と高く、制度運用の柔軟性と多様な働き方の取り組みが進んでいることが示された。

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副業を認める企業の方が、他社人材の受け入れにも積極的な傾向が見られる。禁止企業でも約半数が外部人材を活用

 副業制度の整備状況では、「就業規則に含まれている」が50.0%で最多。「通達・ガイドラインのみ」や「独立した規程」も合わせると、6割超の企業がなんらかの形で制度を整備している。特に副業を禁止している企業の71.0%が就業規則などで明文化しており、制度方針を明確に示す傾向がある。

 副業・兼業を認めている企業の人事担当者が重視しているのは、「従業員の自律的なキャリア形成」(42.8%)、「多様な働き方の実現」(37.7%)、「モチベーション向上」(35.1%)といった項目だった。本業以外の経験を通じてスキルを磨く場と捉え、従業員の自己実現や定着率向上を期待する声が目立った。

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副業容認の背景には「キャリア形成支援」や「多様な働き方の実現」「モチベーション向上」への期待がある

 一方、禁止の理由としては「社内業務への支障」(55.4%)、「労務管理の困難さ」(40.2%)、「情報漏洩リスク」(36.6%)などが挙がっており、現場での運用リスクを懸念する企業も少なくない。

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副業を禁止する主な理由は「本業への支障」「労務管理の難しさ」「情報漏洩リスク」など

運用課題は情報管理・健康・労働時間 デジタル対応も進む

 副業制度の運用における課題としては、「情報セキュリティの確保」(40.6%)、「健康管理・メンタルヘルス管理」(39.5%)、「労働時間の適切な把握」(37.3%)などが上位となった。

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制度運用上の課題として、情報セキュリティ・健康管理・労働時間把握が上位に挙げられた。

 これに対し、55.4%の企業が「セキュリティ研修」を実施しているほか、「産業医との定期相談」(43.5%)や「労働時間のシステム一元管理」(37.0%)といった具体策も取られている。副業の広がりとともに、健康管理やセキュリティ対応が重要な経営課題になりつつある。

 政府は「働き方改革実行計画」において、2027年度以降は「希望者全員が原則として副業・兼業できる社会」を目指す方針を示している。厚労省もガイドラインを改定し、就業規則のモデルを提示するなど、企業側の対応を後押ししている。

 副業・兼業は、キャリア形成やリスキリングの実践機会としての意義も持つ。制度整備を通じて人材の活性化を促し、企業の持続的成長につなげる取り組みが求められている。

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