- 2025/09/09 掲載
国内景気「3ヵ月連続」改善、特需に湧いた地域・業界は?2万社調査で見えた「明暗」
8月の国内景気、3カ月連続で改善
2025年8月の景気DI(景気動向指数)は前月比0.5ポイント増の43.3となり、3カ月連続で改善した。なお、景気DIは50が判断基準となり、50より上であれば「良い」、下であれば「悪い」とされる。国内景気は、記録的猛暑によるエアコンや熱中症対策商材の特需、飲食関連の需要拡大、さらに公共工事を含む建設需要の堅調さに支えられた。10業界中9業界が改善し、「製造」「建設」「小売」などがけん引した。お盆休み期間の賑わいを反映し、飲食関連を中心に川上から川下まで幅広く改善した。一方で「サービス」は屋外レジャーや広告関連が低迷し、3カ月ぶりに悪化した。
なお、業種別の景気DIランキングでは、情報サービスや旅館・ホテル、専門サービスが上位に入り、50を超える水準を維持した。
企業規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」がそろって改善し、2024年9月以来11カ月ぶりとなった。
地域別では10地域中8地域が改善し、北海道では農産品相場の上昇、近畿では万博関連の人流増加や建設需要が景気を押し上げた。一方、北関東では自動車関連の不振や暑さによる消費の停滞が響き悪化した。
帝国データバンクは、国内景気の先行きについて、実質賃金や手取り収入の改善が個人消費を左右する鍵になるとみている。物価高が続く中で賃金がプラスに転じるかどうかが、景気回復の持続性を決定づける要因になるとの見方だ。
同社は、AI関連の設備投資や訪日外国人の増加が景気を下支えする一方、米国の関税措置をめぐっては自動車関連の引き下げ時期が依然として不透明であり、貿易取引のルール明確化が不可欠と指摘している。また、人手不足や物価上昇によるコスト増は価格転嫁が十分に進まず、企業収益を圧迫する要因になるとみられる。
さらに、金融政策では追加利上げの可能性にも注意が必要であり、資金調達や住宅・設備投資への影響が懸念される。こうしたプラス要因とマイナス要因が交錯する中で、当面の国内景気は横ばい圏での推移が見込まれている。
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