• 2008/09/29 掲載

【レポート】複雑化するシステムを解決する、仮想化による統合管理とシンプル運用のための全体最適化

2008年9月10日(水)開催 「NEC Middleware Day 2008」 東京・セルリアンタワー東急ホテル

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ますます高度に、複雑に、そして大規模にふくらんでいくシステムは、管理者にとっても経営者にとっても悩みのタネだ。そうしたシステムのリソースを一元化、仮想化して管理する統合プラットフォーム管理ソフトウェア「SigmaSystemCenter」と、システム全体を最適化するソリューション「WebSAM」による自律運用サイクルについて見てみよう。

混在した仮想化環境を一元管理する
「WebSAM SigmaSystemCenter」の統合VMテクノロジー

【セミナーレポート】

NEC
第二コンピュータソフトウェア事業部
統括マネージャ
新屋敷 孝氏


 「仮想化技術を駆使したNECの先進のプラットフォーム管理技術~ 仮想化・最適化・自律化・省電力そして高可用性」と題してセッションに立った、 NEC 第二コンピュータソフトウェア事業部 統括マネージャ 新屋敷孝氏は、 冒頭でNECの提案する「統合プラットフォーム管理」について紹介した。 「統合プラットフォーム管理」は、運用管理の中でもサーバやストレージあるい はネットワークなど、業務システムのいわゆる基盤部分にフォーカスした運用管 理手法である。

 新屋敷氏は言う。「NECのプラットフォーム管理の狙いは、単に個々の機器の 動作を管理するのではなく、それらを全体としてどう組み合わせ、限られた 機器や資源をどう活用するかを管理し、自動的に最適な状態に保つことにありま す」。

 「ここでキーとなる考え方が、『リソース管理』です。システムの各要素を ソフトウェア/ハードウェアの別なく『リソース』として管理し、その組み合わ せで今現在、必要なプラットフォームをダイナミックに構成していく。 しかもNECではその構成をイベント主導で行うことで、柔軟な運用を実現します。 たとえば障害時には、あらかじめ決めたポリシーにもとづいて予備サーバに自動 的に必要なOSやアプリケーションがインストールされ、ネットワーク、ストレー ジなどの設定が行われて復旧します。『その場で必要なものを組み上げる』こと ができるので、予備サーバはどの業務の障害にも共通で使うことができます。 つまり限られたリソースで、広範囲の業務の可用性を高めることが可能です」。

 「しかしプラットフォーム管理のメリットは、まだこれだけではありません。たと えばこの例で、業務Aがしばしば高負荷になり、対応が必要になるとしましょう。 予備機が1台ありますから、業務Aの高負荷を検出したら、この予備機に業務A用 のサーバを新たに構成し、ネットワーク、ストレージの設定をおこない、ロード バランサの設定も行って負荷を分散する…というポリシーを追加することに します。これでシステム障害への対応だけではなく、高負荷にも対応できること になります」。

 「1台の予備機を状況に応じて自動的に使い分けることができる、いわばその利用 方法を広げただけですので、必要となるサーバ台数は増えません。サーバをリソー スと考えるという意味が少しご理解いただけたでしょうか。このように、プラット フォーム管理の手法を使えば、全く同じ構成のシステムを使っていても運用の効率 や自由度には非常に大きな差がでてきます。最小限のシステムで最大の効果を目指 すことができる。しかもそれが自動的に動作するので運用自体も効率化されます」。

 さらに新屋敷氏によればNECのコンセプトの大きな特徴の1つは、「通常のシステ ムで高度な自律化・自動化・最適化を実現」する点にあるという。システム運用 の自動化というと、しばしば特殊なサーバや専用の周辺機器が必要となり、コス ト的にも運用管理負荷という面でも負担が多い。しかしNECの考える「統合プラッ トフォーム管理」では、通常のサーバ、ストレージ、ネットワーク等を用いる。 つまり既存の環境にプラットフォーム管理を適用し、効率化することも可能にな るという。

 そしてこのようなさまざまなメリットをもたらすプラットフォーム管理にとって、さ らに大きな武器となるのが「仮想化」だと新屋敷氏は言う。

 仮想化には、物理サーバを減らしながら、複数OSの稼働や物理サーバとソフト ウェアを分離して管理できるといった利点が多い。しかし一方で、仮想化を実現し たものの、単にサーバの台数を減らせたといったレベルにとどまっている例も少 なくないのが事実だ。

 「仮想化されたサーバは、プラットフォーム管理の対象としては理想的です。 通常のサーバと同様の管理に加え、ライブマイグレーションなどの、仮想化なら ではの機能を駆使することで非常に高度で柔軟な運用が実現できます。 仮想化の本当のメリットは、ハードウェア削減などではなく、その先の、リソー スの有効活用、運用効率化によるTCO削減といった“攻め”の効果なのです。 仮想化環境に対して適切なプラットフォーム管理を行うことで、最適な稼働負荷 を維持し、同時に高い可用性を備え、さらには省電力化をも可能な、柔軟なシス テムを容易に構成し運用することができます。もちろんその実現には適切な管 理ソフトウェアを選択することが不可欠です」。

 NECはこのようなニーズに対して、統合プラットフォーム管理ソフトウェア 「SigmaSystemCenter」を提供、サーバの日常的管理や障害対応はもちろん、実 サーバと仮想サーバが混在した環境の一元管理まで、最先端のプラットフォーム 管理技術を集約、一括提供している。

 最後に新屋敷氏は、近い将来に多くの企業が直面するであろう課題についても NECがすでにその解を用意していることを示して、話を締めくくった。

 「ひとくちに仮想化環境の運用といっても、仮想化ソフトウェア製品の競争は 激しく、運用の現場では各ベンダの製品が共存しているのが実状です。このよう な傾向は今後ますます増加してくると考えられます。それだけに、本当に仮想化 環境の管理を効率化しようとすれば、このような混在をある程度容認したうえで、 そのまま一元的に管理することが現実解となる可能性が高いといえます。 『SigmaSystemCenter』は、VMware ESX、Citrix XenServer、そしてWindows Hyper-V の混在する環境であっても一元管理できる『統合VMテクノロジー』を提供しています。 多種多様化、混在化、複雑化するリソースの統合管理が可能です」。

 次世代のITプラットフォームを見据えた、NECのIT基盤運用の行方に注目したい。


シンプル運用を実現し
システム全体を最適化する統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」

【セミナーレポート】

NEC
第一システムソフトウェア事業部
グループマネージャ
山崎正史氏

 続いて、第一システムソフトウェア事業部 グループマネージャの山崎正史氏が、「複雑化するシステムをWebSAMでシンプル運用」と題する講演を行った。

 昨今のITシステムは、経営者からはコスト削減や経営への貢献、コンプライアンス対応が求められ、さらにユーザーからは従来以上のサービス品質が求められるなど、行わなければならないタスクが急激に増加しており、IT部門担当者、運用管理者への負担は膨らむ一方である。

 さらにマルチベンダ化、マルチプラットフォーム化などにより、求められる知識も広範にわたり、十分なスキルをもった運用管理者の数は減少の一途をたどっている。その証拠に、日本情報システム・ユーザー協会の第13回企業IT動向調査2007による調査では、「信頼性の向上を図るうえでの悩みは?」とする質問に対して、「IT部門で対応できる人が不足している」の回答が1位になっている。結果として「管理コストの増加や、人的オペレーションミスが多発しています」と山崎氏は指摘する。

 運用管理を最適化するにはどうしたら良いのだろうか。山崎氏は「多くの企業の運用部門が個別最適にとどまっています」と指摘する。実際、システムごと、組織ごとの縦割りな管理になっている企業は多いのではないだろうか。その結果、部門ごとの対策によりコスト増を招いたり、ノウハウを共有できないために同一障害が発生したりするばかりでなく、そうした運用体制を続けても操作ミスが減ることもない。

 「システム全体視点でのシステム運用管理基盤と継続的な改善サイクルを実行する仕組み作りが必要になっているのです」。

 そうした中、システム全体を最適化するソリューションを実現するのが、NECが提供する統合運用管理ソフトウェア「WebSAM」である。山崎氏はWebSAMの特徴を、「シンプルな『可視化』『判断』『改善』の3つにあります」と紹介する。この3つの運用サイクルを継続的に実行する仕組みを提供することでシステム全体の最適化を実現する。

 個別に特徴を見ていこう。まず「可視化」である。ビジネス視点の監視で影響を迅速に把握することが可能だ。機器ごと、システムごとのきめ細かな監視も必要だが、さらに「その結果、業務がどうなっているのかを知ることができる」機能をもつ。そのため、何かしらのリスクが発生した時も影響把握が迅速に行える。

 さらに、ITインフラにおける日々の管理者の運用ノウハウとNECの運用ノウハウを共有化する仕組みを提供。運用しながら対処履歴を蓄積できるので、ナレッジが成長し、障害時も人に依存することなく、対処方法を「判断」できるようになる。

 最後が「改善」である。WebSAMでは人手を介さずシナリオ制御で複雑な運用作業を自動化する機能を搭載。異常な状態の検出から、原因分析、対処方法の決定、実行までの一連の自律サイクルをシームレスに実現できる。

 「シンプルな運用を行うためには、アーキテクチャにも仕掛けが必要です」と山崎氏は語る。システム変更に合わせて管理要件も変化していくものであり、運用管理に求められる要求はさまざまだからだ。そうした要求に応えるため、NECがWebSAMフレームワークで採用したのは「シンプルアーキテクチャ」である。構成情報データベースを核として製品間で基盤機能を共通化し、プラットフォームを意識しない運用性を実現している。また、統合コンソールにより、1つの画面からシステム全体を俯瞰するとともに、リスクや現状を容易に可視化できる。さらに、サーバ1台から大規模システムまで規模や要件に合わせて、シームレスな拡張も可能とする。

 さらに山崎氏は特に求められている個別機能を掘り下げて詳解。まずは障害対応時のWebSAMの対応ポイントを挙げた。ここでは障害原因が1つであっても多数の障害メッセージが検出され対処すべき真の原因の発見に時間がかかることに着目、障害分析エンジンを強化し自動分析による障害復旧時間の短縮を実現する。ネットワーク障害やWeb3階層システムのレスポンス低下時にはどこに問題があるのか分析ナレッジが組み込まれている。また、仮想化環境における可視化機能も言及。複数OSを同時稼動できるうえ、柔軟な構成変更によるリソースの有効活用を実現できる仮想化だが、従来の運用管理では構成変更に追従できなかったり、仮想化された層が監視できなかったりするという。そこでWebSAMでは階層的にハードウェア、物理OS、仮想OSと業務の関連性をリアルタイムで視覚的に把握する機能を搭載し、複雑な仮想化構成を管理できるよう対応されている。

 最後に山崎氏は、「自律運用サイクルにおいては、『分析と実行がポイント』です」と指摘する。NECで検証済みの35パターンの運用シナリオを紹介し、そのまま、もしくはカスタマイズして利用できる優位性を強調した。WebSAMの「問題発見から対処まで迅速に行えるビジネス継続性の高い」点と「分析、対処の自動化による運用管理コスト削減」の2つのメリット。「運用管理者の皆様のタスク軽減とシステムの安定稼動に役立てていただきたい」として、締めくくった。

【基調講演&NEC講演】
  労働生産性の向上にむけた「攻めの情報システム」で日本企業のグローバルな競争力を強化する


【A-2&A-3講演】
  ビジネスを止めないサービス実行基盤とリアルタイム意志決定のための情報管理ソフトウェア


【基調講演動画】
  「攻め」のIT戦略とは何か? 日米IT経営調査に見るIT活用の新たな潮流


【NEC講演動画】
  次を戦うシステムへ ビジネスイノベーションを加速するITシステムと、NECのミドルウェア戦略


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