- 2026/01/19 掲載
ドラッグストアは「業界トップ3以外」消える?ウエルシア×ツルハ経営統合の本当のワケ(2/3)
「大合併」に見える“3つの思惑”
さて、このような大型合併がドラッグストア業界でなぜ起きているのでしょうか。それは、成長を続けるドラッグストア業界も、これからは生き残りをかけたサバイバルレースに突入していくことが見えているからです。ドラッグストア業界を取り巻く環境変化の中で、ツルハ・ウエルシア連合は何をしようとしているのでしょうか。
筆者はそこに、以下の「3つの狙い」があると捉えています。
- 異業種との競合激化=生き残りは「規模拡大」一択
- 業界3位までを「死守」する必要性
- 世界で勝負できるか?
それぞれ順番に見ていきましょう。
【合併の狙いその(1)】競争激化の業界「唯一の生き残り法」とは
ドラッグストアは日本の小売り流通業態の中で、最も成長性の高い業態です。下記は日本のスーパー、ドラッグストア、コンビニの売上を比較したものです。
スーパーは毎日利用する業態ですが、2024年度で12兆7,643億円の売上です。前年度比では101.4%と微増ですが、2015年度比では売上は減少傾向にあります。
食品スーパーは伸び続けている業態のように見えますが、ドラッグストアやコンビニが食品を強化し始め、「まいばす」のようなミニスーパーが出店を増やしている影響を受けています。小規模なスーパーが廃業に追い込まれ、大型スーパーのみが新規出店を増やし、規模を拡大している状況にあります。必ずしもすべての企業が伸び続けている業界ではありません。
コンビニは2015年度比では1兆7,000億円以上売上を伸ばしていますが、前年度比では101.1%と伸び悩んでいます。コンビニ業界トップのセブン-イレブンも客数減が続くなど、コンビニ経営も曲がり角に来ています。食品や総菜、カウンター商品を強化するなどして改革を進めていますが、コンビニもドラッグストアやスーパーなど、競合の影響を受けています。
一方、ドラッグストアの売上は2015年度比で4兆円近く伸びており、前年度比でも109.0%と2桁近い伸びを見せています。現在の小売り流通業界で最も勢いのある業態と言えるのです。
今後もドラッグストア業界は成長が見込まれる業界ではありますが、スーパーやコンビニ、ディスカウントストアなど「異業態」との競合状況が激しくなります。
その中で確実に生き残るためには、企業規模を大きくして対抗していくしかないのです。店舗数を増やし、仕入れ力を圧倒的に強くしてPB(プライベートブランド)商品を強化し、販管費率も抑え、収益性を高めていくことがドラッグストア生き残りの道です。
このような状況をまとめたのが下記の、日本の主要ドラッグストアにおける化粧品と医薬品の売上構成をもとにしたポジショニングマップです。
ドラッグストアという大きなくくりの中で、各社は同じような品揃えのように見えますが、実は現在の日本のドラッグストアは大きく4タイプに分かれています。
- (1)コスメ型(マツキヨココカラ&カンパニーなど)
- (2)フード型(ツルハHD、クスリのアオキ、クリエイトSDなど)
- (3)調剤・医薬品型(ウエルシアHD、スギHDなど)
- (4)ディスカウント型(コスモス薬品、カワチ薬品など)
今最も勢いのある型は「フード&ドラッグ」と呼ばれるフード型です。食品を強化し、売場の半分ほどを生鮮食品や日配品、酒や飲料などのドリンクの品揃えを強化し、同時に医薬品や調剤にも力を入れた店が市場を席巻しています。
このような中で、フードに強みを持つツルハHDと医薬品、特に調剤併設率77.3%(2025年2月期)と業界No.1の実績を誇るウエルシアHDが統合したのです。両社はフード&ドラッグを軸に、新たなドラッグストア業態を作り上げていこうとしています。 【次ページ】【狙いその②】「トップ3」入りが“超大事”と言えるワケ
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