• 2026/01/19 掲載

ドラッグストアは「業界トップ3以外」消える?ウエルシア×ツルハ経営統合の本当のワケ(3/3)

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【合併の狙いその(2)】「トップ3」入りが“超大事”と言えるワケ

 下表は日本のドラッグストアの売上高上位10社(2024年度)です。

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日本のドラッグストアの売上ランキング
(出典:各社IR資料より筆者作成)

 この1位と2位が経営統合して、ダントツ1位の企業連合が誕生したわけです。これを見ると分かるのですが4位(現在3位)のコスモス薬品と5位(現在4位)のサンドラッグとの売上差が2,100億円以上あります。そして、6位(現在5位)のスギHDと7位(現在6位)のクスリのアオキHDとの間に3,000億円以上の開きがあります。

 これだけの差が開いていると、なかなかスケールメリットをだして対抗するのが難しくなります。どの業界でも言われることですが、それぞれの業界のトップ3に入っておかないと、どこかの企業のM&A対象にもなり得ます。その意味では、ドラッグストア業界も生き残りをかけた、非常に難しい時代に入ったと言えるのです。単に前年比で2桁以上伸びていれば安泰という時代ではないのです。

 2026年に入ってイオンはクスリのアオキHDとの業務提携を解消したことを発表しました。業界トップ3入りが超大事な中で、クスリのアオキHDは単独路線でスケールメリットを追わない選択をしました。この選択が今後、同社や同業他社の経営にどのように影響するのかも注目です。

【合併の狙いその(3)】日本初の「世界3強」に現実味?

 日本のドラッグストア市場に対して、世界のドラッグストア市場はどんな状況に置かれているのでしょうか。

 世界の薬局・ドラッグストア市場は日本市場以上に成長を続けています。世界の先進国では高齢者が増え続けていくことや、さまざまな疾患、健康分野への意識の高まりにより、今後も市場は拡大していくことが確実です。2029年には1兆5,536億4,000万米ドル(155円換算値;約240兆8,000億円)に達すると予測されています(Global Health and Aging reportより)。

 同レポートでは、65歳以上の高齢者数は2050年までに15億人近くに達し、特に発展途上国で大幅に増加すると予測しています。がん、認知症、肥満、糖尿病などの疾患の増加により、薬局・ドラッグストア市場の顧客数も世界中で拡大していきます。

 現在、世界のトップ2はウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、CVSヘルスという、いずれも米国を主体とするドラッグストアチェーンで、ドラッグストアなどの小売り部門の売上が20兆円を超える巨大企業(※CVSヘルス社は健康保険やヘルスサービス事業も含めると24年度で50兆円以上の売上)です。

 3番手が香港のASワトソングループです。ASワトソングループの24年度の売上高は243億ドル(約3兆7,000億円)、アジアとヨーロッパで約1万7000店舗(2024年)を展開しています。

 これらの世界トップ3とツルハとウエルシアの合算値148億ドル(約2兆3,000億円)、約5600店舗(2024年)を比較すると、まだ開きはありますが、「世界3位が視野に入ってきた」(同社)と考えているようです。今回の統合は、まずは日本でダントツの1位となり、世界のトップ3に入ることを狙った統合です。世界展開を前提に企業経営を進めることを決断したと言える統合なのです。

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世界のドラッグストア順位
(出典:ツルハHD「経営統合後ビジョン」2025.12.1より一部抜粋)

新ネーミングに見る「未来像」とは

 両社はこれからの店舗の方向性として新たな業態名を付けまとめたのが「LIFE STORE(ライフストア)」です。「国内外のお客さんの人生そのものに寄り添う店」というのがそのネーミングの狙いです。「健康で健やかな生活を通じて、社会課題解決に貢献するインフラ」になりたいという考えのようです。ユニクロの「LIFE WEAR」にも似た発想(?)のようにも見えます。

 いずれにしても同社は、このライフストアづくりを通じて、2032年に売上3兆円を目指すとしています。

 しかしこのライフストアで、どんな店づくりをしていくのか気になるところです。既存のドラッグストアをライフストアへと転換していくとしていますが、単なるフード&ドラッグの延長では世界で伍して戦っていくのは難しいでしょう。ASワトソンはPB商品も強く、独自の会員制度があり、世界各地でその特典サービスを受けられるなど、固定客化も進めています。ウォルグリーンやCVSヘルスなどは医療的な役割も担うほどの立ち位置になっています。

 こうした世界のトップ企業に立ち向かうには、ライフストアとしての独自性をどこまで明確にできるかが問われます。

 両社の親会社となるイオングループのセグメント別業績で見ても、ドラッグストアのヘルス&ウエルネス事業は売上で3番目、営業利益では金融事業、イオンモールなどのディベロッパー事業に次いで3番目の稼ぎ頭、すでにGMS事業、SM事業を抜く小売部門のトップ事業なのです。

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イオングループのセグメント業績
(出典:イオン2025年2月期決算説明資料)より一部抜粋

 イオングループとしては今後のグループの稼ぎ頭として、同社が進出している海外各国にドラッグストアを展開し、アジア、ASEAN地域での店舗展開に投資もしていくはずです。

 まずはアジア、ASEAN、そして欧米へと進出していけるかどうか。

 それはライフストアという業態開発がカギを握っています。これからのツルハ・ウエルシア連合、そしてイオングループの動向を注視していきたいと思います。

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