- 2008/11/26 掲載
「情報をうまく活用できる企業が勝ち組に」――次世代グループウェアのあるべき姿を考える
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「皆さま『グループウェア』にどのようなイメージをお持ちでしょうか?全NUA 次世代StarOffice研究会では研究の当初、メールやスケジュールなどはたしかに必要な機能ではあるものの、ただのツールにすぎないのではという意見が交わされました」。
「グループウェアのあるべき姿を考えた結果、企業で使うからには利益を生みだすグループウェアであるべきという結論にいたりました」。
齋藤氏はまず、企業が現在抱えている課題について、業務効率の低下を指摘した。
「経費精算システム、社内SNSシステム、日報システムなど、個々のシステムは非常に便利で、情報共有基盤の構築に役立っています。しかし、それぞれに入出力が必要ではないでしょうか?」。
さらに、業務の質の低下についても指摘する。
「個々のシステムにはたくさんの情報を蓄積可能です。しかしながら、たくさんの情報のなかに必要な情報が埋もれてしまい、業務の質の低下を引き起こしています」。
ITシステム数の増加がこのような業務効率の低下、業務の質の低下を引き起こし、生産性の低下、ひいては業績の伸び悩みにつながっていると齋藤氏は語る。
そのような企業の課題をうけて、次世代グループウェアが担う役割とはどのようなものなのだろうか。齋藤氏はまず、業務効率の向上を助けるための次世代グループウェアの役割について次のように説明する。
「グループウェアが他のシステムを統率することによって、人が入力した情報は各システムに反映されるようになります。また、複数のシステムから出力された情報をグループウェアが一括管理して人に伝達可能になります」。
これによって、人はグループウェアに情報の入出力を集約可能となり、業務効率の向上につながる。
「また、グループウェアが情報の絞り込みを行い、重要度の高い情報、今すぐ必要な情報をタイミングよく人に伝達することによって、業務の質の向上についても改善されます」。
では、次世代グループウェアには具体的にどのような機能が望めるのだろうか。齋藤氏は、次世代グループウェアを使った働き方を例に挙げて説明する。
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マッシュアップ技術によって、次世代グループウェアの画面上で経路選択、宿泊施設選択が可能になっており、スケジュール登録から出張工程表の作成、出張申請までが1つの画面で完了する。
「そのほかにも、PASMOやモバイルSuicaなどから帰社後にWebAPIで交通機関の利用記録や商品購入記録を自動取得し、交通費精算書、経費精算書を自動作成することによって、毎月の煩わしい精算作業がまったくなくなるという将来を予測しています」。
また、同じ情報を日報システムや顧客DBシステムなどに個別に入力している手間も省けるという。次世代グループウェアに一括入力した情報が、日報システムや顧客DBシステムに反映される。
「携帯GPSとの連動によって、スケジュール変更を自動修正可能なほか、顧客先からの退出時刻が次世代グループウェアに自動登録され、日報システムや顧客DBシステムに反映されます」。
齋藤氏は、携帯電話のカメラ機能を利用した名刺情報の文字認識および顧客DB更新、移動時間を利用した携帯電話からの日報更新、SFA更新についても提案を行い、業務効率向上を実現する次世代グループウェアを示した。
「業務処理時間が80%程度短縮できるのではないかと次世代StarOffice研究会では考えます」。
さらに齋藤氏は、業務の質の向上についても次のように提案する。
「スケジュールの登録画面から、『情報シナプス検索開始』のボタンをクリックすることで、日報、SFA、メール、SNS、ブログなど複数のシステムを横断して質の高い情報を収集可能です。これにより、企画書作成時などの情報収集の時間を短縮するとともに質を高めます」。
そのほか、すべてのシステムに一括して対応するRSSリーダによって、社外サイト/社内システムを問わず業務に必要な新着情報を確認するモデルを発表。SFAとToDoリストの連携によって、顧客の保守契約期限、リプレース時期などを把握することで失注を防ぎ、顧客満足度を向上させることが可能という。
「現在、情報と、それを利用する人との間には乖離があります。その溝を埋めるのが、次世代グループウェアなのです」。
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満足していますか?」
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研究会で調査対象となったたグループウェアは、マイクロソフト「SharePoint」、IBM「Lotus Notes」、ネオジャパン「Desknet's」、サイボウズ「ガルーン」、NEC「StarOffice21」だ。
三屋氏によると各グループウェアは、オフィススィートとの連携やカスタマイズによる自由度が高いものもあれば、豊富な機能を有しているもの、動作が速くて軽いものなど、それぞれ特徴があるという。
機能数にばかり目が行きがちだが、一方で、導入に際して確認すべきポイントがあるという。機能が豊富であっても自分たちが必要としている機能を充足しているかどうか、カスタマイズやほかのシステムとの連携など機能強化がとれるのかなどの確認が必要だ。
また、企業として利用する上で、本務/兼務といった日本特有の組織体制への対応についても同様だという。
「『StarOffice』は、オールインワンで機能が提供され、また、カスタマイズやほかのシステムとの連携の面からも運用にすぐれており、企業に即したグループウェアだと言えるのではないでしょうか」。
機能改善ポイント
それをうけて三屋氏は、最新版「StarOffice-X」の機能について、従来版「StarOffice21」での課題点が解消されているのかどうかも含め、紹介した。
「StarOffice-X」は、全面的にAjaxを採用しており操作性の高さが特徴。ドラッグ&ドロップでの複数ファイル登録が可能なほか、ウィンドウ内の文書をドラッグで移動することもできる。Web版ではこれらの機能を実現していないグループウェアも多いという。
「機密指定属性を設定したメールの、社外への発信や転送を禁止することも可能です。また、文書管理や部署ごとの掲示板へのアクセス権限に、組織・職位をキーに設定可能なため、人事異動にともなうアクセス権限の自動変更も行えます」。
「StarOffice21」での問題点であった、メールの受信件数に制限(2048件)がある、多言語未対応などの点が、「StarOffice-X」で改善されているという
「『StarOffice-X』での改善が検討されている機能も含め、要望の61%が実現する予定です」。
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一方、フォルダ単位の一括ダウンロード機能、フォルダの階層構造を保ったままのファイルアップロード機能などについても、今後の実現を要望しているという。
全NUA 次世代StarOffice研究会では、「StarOffice-X」がセキュリティ面や運用性からすぐれていると考え、「StarOffice21」から「StarOffice-X」へのバージョンアップ作業について検討した。
「『StarOffice-X』では、マッシュアップやAjaxなどのWeb2.0技術を新しく採用しているため、『StarOffice21』と『StarOffice-X』にはデータの互換性がなく、データの変換が必要です」。
三屋氏は移行方法について次のように説明する。
「ある時点で一気に切り替えるワンポイント移行と、機能ごとや機器ごとに段階的に移行する段階移行の2種類が考えられます。しかし、環境が混在すると利用者が混乱し問い合わせなどの手間が増えますので、移行先の機器を準備したうえでのワンポイント移行をおすすめします。ワンポイント移行であれば、障害発生時のシステム切り戻しも可能です」。
NECでの性能測定結果によれば、データの変換対象と時間の目安は、オフィス・ユーザーデータ(ロード)1000件あたり30分、メールデータ(ロード)1GBあたり20分、メールデータ(作成)1GBあたり10分、スケジュールデータ(セーブ)1000件あたり8秒、スケジュールデータ(ロード)1000件あたり70秒などとなっている。
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機能強化が可能なグループウェア
三屋氏は講演の終わりに、「StarOffice-X」は「StarOffice21」ユーザーにとっての改善要望点を満たすほか、セキュリティ面、運用性、操作性にすぐれたグループウェアに成長している点を指摘。
「ほかのシステムとの連携やカスタマイズでの利用が可能だという点は、企業がグループウェアを選定するうえで重要なポイントです。『StarOffice-X』は、ほかのグループウェアと比較しても、企業向けの機能強化が可能だと言えるでしょう」。
また、研究の成果から「StarOffice21」ユーザーは「StarOffice-X」への移行を検討すべきだという点についても再度強調する。
「NECさんには、今後も機能の強化/拡張を継続しより良いものにしていただきたいとともに、『StarOffice-X』への移行に際して全面的な協力/支援をお願いしたい」と、三屋氏は講演を締めくくった。
現在、次年度の研究会メンバーを募集しております。
「StarOffice X」をもとに、これらの課題に対する解決に向けて従来の枠にとらわれない視点で次世代のコラボレーティブウェアの研究を実施します。意見交換や技術交流をとおして、参加メンバーの皆様が抱えているコラボレーティブウェアの課題解決を図りつつ、これからの新しいコラボレーティブウェアについて考えていきましょう。 ぜひ、皆さまのご参加をお待ちしております。 詳しくは こちら をご覧ください。 |
※ NUAはNEC C&Cシステムユーザー会の略称であり、NEC製品やサービスを導入している企業、官公庁、学校などで構成される。NECから新製品や最新事例などの情報をいち早く入手可能であるとともに、NECに対して製品・サービスの改善を求めることも可能だ。全NUAは、北海道から沖縄、そして業種ユーザー会の13団体の連合体として組織される。
研究会活動とは、NEC製品(プロダクツ・ソリューション)について、ユーザーとメーカーが協調して改善を図り、製品の効果的な利用、応用の方法を通して相互の研鑽を図ることを目的とした活動である。それぞれのテーマに関心のある会員が業種を超えて集まり、定期的に意見交換、相互研鑽を図る。
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