- 2025/12/17 掲載
【独占】大手13社と学者100人が集う「謎組織」の正体、当事者2人に聞く微生物学の逆襲
連載:基礎科学者に聞く、研究の本質とイノベーション
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典(理事長)が2017年、科学賞の賞金1億円を拠出し、日本の基礎科学振興を目的に設立した。
<財団の活動>
・現在の研究費のシステムでは支援がなされにくい独創的な研究や、すぐに役に立つことを謳えない地道な研究を進める基礎科学者の助成
・企業経営者・研究者、大学等研究者との勉強会・交流会の開催
・市民及び学生を対象とした基礎科学の普及啓発活動
本シリーズの特設ページ:https://www.ofsf.or.jp/SBC/2310.html
日本の科学発展の起爆剤へ…「大手13社と学者100人」が集結
2020年12月、企業とアカデミアが協力して微生物学の発展を支援することを目的に「微生物コンソーシアム」が設立された(組織体制は冒頭の図を参照)。13社の大手企業から約50人の研究開発者と、100人を超える日本の微生物学者が参加し、オンラインとオフラインによる意見交換や人材交流を行う。参加企業には、アサヒ、花王、サントリー、三菱電機、住友ファーマ、テルモなど、食品から医薬品、化学、電機、医療機器まで幅広い業種が名を連ねる。
微生物の機能探求を、「代謝と増殖・生長をつなぐ細胞の共通基盤の理解」「微生物未知機能の同定と機構解明」などのテーマで、「普遍性」「多様性」「相互作用」「光合成」の4つのグループで進めている。設立当初から関わってきた東京科学大学 総合研究院 教授の田中 寛氏は次のように語る。
「企業とアカデミアの良い関係をつくれば、日本のサイエンスが発展する起爆剤になると考えています」(田中氏)
従来の産学連携は、成果志向と自然探究の違いから平行線になりがちだった。微生物コンソーシアムはこの壁を乗り越え、基礎科学を軸に企業とアカデミアが互いに刺激し合う「相互触発」の場を目指している。
定例会では最新の研究知見を共有しながら自由な議論が展開され、企業が新たな視点を得るだけでなく、研究者が分野横断的なネットワークを広げ、より大きな研究テーマを構想する動きも生まれている。
この取り組みを主導したのは、ノーベル生理学・医学賞受賞者の大隅 良典氏が理事長を務める公益財団法人大隅基礎科学創成財団である。その背景には、大隅氏が抱く「基礎科学と企業の新しい関係を築くべきだ」という強い思いがあった。 【次ページ】【なぜ今必要か(1)】グローバル化で激変「企業との関係」
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