- 2026/03/04 掲載
アクセンチュア予測「エージェント型AI」と企業4つの進化軸、経営をどう編み直す?
連載:アクセンチュア流 生成AI産業変革論
藤井 篤之(ふじい・しげゆき)
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター。ストラテジーグループにおけるData AIビジネスリードを務める。名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士後期課程単位満了退学後、2007年アクセンチュア入社。スマートシティ、農林水産業、ヘルスケアの領域を専門とし、官庁・自治体など公共セクターから民間企業の戦略策定実績多数。共著に『デジタル×地方が牽引する 2030年日本の針路』(日経BP、2020年)がある。
唐澤 鵬翔(からさわ・ほうしょう)
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター。ストラテジーグループにおけるイノベーションのリードを務める。20年以上にわたり戦略&テクノロジーコンサルティングの分野で豊富な経験を有し、新規事業開発、イノベーション/R&D戦略、デジタル戦略を専門領域として活動。AIやブロックチェーン領域での事業立上実績や、ヘルスケア関連スタートアップの創業経験も有し、実業との双方の視点からイノベーション推進に貢献。Harvard Business Reviewや日経などへのAI関連寄稿、日経ムック本の執筆、更にはAgentic AI PoVの執筆など、知見発信にも積極的に取り組んでいる。
エージェント型AIは何が違う?組織とプロセスが崩れる瞬間
AIの歴史を俯瞰(ふかん)すると、長らく「命令と従属」の関係が支配的であった。エキスパートシステムやワークフロー自動化は、人間の判断や手続きを補助する「脚注」としての役割にとどまってきた。2022年以降の生成AIブレイクスルーも、当初は文章や画像の命令駆動型生成が中心だった。しかしマルチエージェント協働とプロトコル連携が整備されるにつれて、AIは「指示待ち」から意図(Intent)を解釈し、計画し、行動して成果(Outcome)に到達する存在へと飛躍している。
比喩的に言えば、従来のAIは「航海士の指示に従って航路をなぞる船」であった。一方、エージェント型AIは「目的地を共有し、潮流や風向きを読み合いながら、役割を分担した複数の船が航路を編み直して進む船団」である。
すなわち、指示を待つ船から、航海を共に設計する仲間への転換である。ここで重要なのは、以前論じたアプリケーション層の再構成と軌を一にして、組織・プロセスの単位そのものを再設計の対象とする点である。
それにもかかわらず、多くの企業はなお「どのタスクをAIに任せるか」という縮減的発想に留まる。求められるのは、調達や開発、営業、顧客対応といったエンド・ツー・エンド(E2E)の流れ全体を、トリガー自律型に組み替えることである。
従来の業務は「人間のリズム」(労働時間・承認フロー・属人スキル)に最適化されてきたが、これからは常時稼働・反復・多元探索という「AIの時間」に合わせて設計し直す必要がある。人間が担うべき役割も、例外処理、ガバナンス、倫理判断といった最終責任の舵取りへとシフトする。
結論は明快である。業務プロセスの単位を「タスク」から「目的達成の流れ」へ切り替え、イベント(トリガー)を起点にマルチエージェントが部門横断で自律連携する。これがエージェント型AI 時代の変革の中核である。 【次ページ】エージェント型AIが開く4つの進化軸とは?
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