- 会員限定
- 2023/07/10 掲載
「うたプリ」の凄すぎる売上規模、水樹奈々×上松範康による“ヒットを生む発明”とは
連載:キャラクター経済圏~永続するコンテンツはどう誕生するのか(第13回)
うたプリ誕生後、ブロッコリー社の快進撃
うたプリは、2010年にブロッコリー社から発売された女性向け恋愛シミュレーションゲームだ。CDをはじめ、アニメ、ゲームとメディアミックス展開されている。2000年代は受難の時代で、「タカラ」→「ガンホー」と株主が移り変わり、2007年の創業者木谷氏の退任後に、ゲーマーズの競合店でもあったアニメイトの資本が入り、赤字経営が続いていた中で成長性の低い小売事業からの撤退が決まる。
夜明け前が一番暗い。うたプリがリリースされる2010年6月前後のブロッコリーの株価を見るとかなり厳しい状況であったことが分かるが、そこからの逆転劇はすさまじいものがある。
うたプリのゲームソフトが発売されて以降、アニメ化などの横展開により徐々にブロッコリーの売上は改善していく。うたプリのアニメ1期(2011年7~9月)が終わる頃には時価総額は20億円超え、アニメ2期(2013年4~6月)には100億円超えとなる。
その後のアニメ3期(2015年4~6月)で200億超え、アニメ4期(2016年10~12月)で遂には時価総額300億円にも達した。まさに「うたプリにとって良いことは、ブロッコリーにとっても良いことだ」とGMと米国経済バリの蜜月の時代をともにし、成長の軌跡を同じにしてきた。その後は2017年夏をピークとし、2年かけて100億程度まで落ちつき、現在に至る。
単純な積み上げで言うと、うたプリというコンテンツ自体が100~300億円といった価値で評価されてきたとも言える。ブロッコリー自体の所有は、その後アニメイトから2015年にバンダイナムコグループの玩具卸最大手ハピネットに変わり、2023年にTOBを発表したため、これから上場廃止(ハピネット子会社化)となる予定である。
そんなうたプリの成功には、原作・楽曲を手掛けた音楽クリエイター集団Elements Gardenの上松範康氏の存在が大きい。これまで『ETERNAL BLAZE』(水樹奈々/『魔法少女リリカルなのはA's』OP)や『深愛』(水樹奈々/『WHITE ALBUM』OP)など、人気楽曲を数多く手掛けてきた業界の超重要人物である。
上松氏は、うたプリで何を仕掛けのだろうか。ここからはうたプリが人々を惹きつける理由を考察したい。 【次ページ】大ヒットの秘密、上松範康×水樹奈々による“発明”とは
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR