- 2026/08/21 07:10 掲載
現役MicrosoftエンジニアのAI活用術、生産性10倍でも「ゴミ量産」するダメな人の特徴(2/3)
AI主導による自動インシデント管理・改善サイクルとは?
牛尾氏が所属するチームでは今、インシデント対応のプロセスが劇的に変わっている。かつて担当者が1日がかりで処理していた障害調査を、AIエージェントが自動的に担うようになった。その仕組みは一見シンプルだが、内側には精巧な設計が組み込まれている。インシデントの報告が届くと、まずエージェントが自動でトリガーされ(「決まった条件」がそろったときにAIが人間の代わりに作業を始め)、各種クエリを投げて情報を収集・分析する。分析結果は専門家(SME)へ提供され、精度が高い案件については「オートミティゲート」と呼ばれる自動処理が走る。
さらにそこに「エバリエーションエージェント」(評価エージェント)が加わり、先のエージェントの分析が正しかったかどうかをチェックする。もし間違いがあれば、その結果をもとにエージェントの定義を更新するプルリクエスト(コード変更の提案)が自動的に生成される。
つまり、障害を解決するだけでなく、解決の過程からAI自身が学習し、次の精度を高めていくフィードバックループが稼働している。開発チームが介入するのは、エージェントでは対処しきれない複雑な案件や、人間がインタラクティブに追加情報を入力して誘導するケースに絞られている。
「エージェントが“アホ”になるのをいかに防ぐかの戦いみたいな感じです。だからAIをまめに見極めて、エージェントが混乱しないように修正していく。地道なイテレーションのループです」(牛尾氏)
現時点の正答率は、完全に正しい分析が約50%、部分的に役立つものが約30%、合計で約80%のケースで何らかの参考情報を提供できている。残り20%については人間が介入する設計になっており、「100%信用できないことを前提にした設計」こそが安定的な運用を支えている。
また、コーディングエージェント(プログラムの自動作成ツール)で同様の処理を行わないのには理由がある。インシデントが来るたびに手動でトリガーする手間が省けること、ユーザーの認証情報を使わずにサンドボックス(安全な隔離環境)の中で自動実行できること、セキュリティ面での安全性が高いこと──これらの利点から、クラウド上のエージェントサービスに移行した。
モデルの性能がコーディングエージェントと遜色ないレベルに達した今、「自動で最適化されている方が楽」という判断だ。
開発作業においても変化は顕著だ。かつては1週間以上かかっていたプルリクエスト(コード変更の提案)の作成が、今では1日で複数件完成する。生産性の体感は「10倍程度」と牛尾氏は言う。ただし、スケジュール感が大きく変わったというより、同じ時間でこなせる仕事の量と質が劇的に変わったという感覚に近いという。 【次ページ】「本体の力」×「エージェント制御」という掛け算
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