- 2026/08/26 20:55 掲載
画像生成AIの学習GPU時間を最大63%削減、バイトダンスが新手法「DiffusionOPSD」公開
DiffusionOPSDの特徴は、AIが自分で生成した画像を使って、自分自身の学習方法を改善していく点にある。研究チームはこれを「オンポリシー自己蒸留」と呼んでいる。
画像生成AIで使われる拡散モデルは、最初は砂嵐のようなノイズから始め、それを少しずつ取り除きながら画像を完成させる。従来の学習方法では、主に完成した画像を見て「良い」「悪い」と評価していた。このため、画像を作っている途中で「次はどちらの方向に直せば、もっと良い画像になるのか」をモデルに教えるのが難しかったという。
DiffusionOPSDは、この「途中の段階」にも学習の手がかりを与え、現在のモデルが作った生成途中の状態について、評価用のAIである「報酬モデル」を使い、どちらへ修正すれば評価が上がるのかを判断する。その結果から「こちらへ進むと良い」「こちらは避けたほうがよい」という学習用の目標を作り、モデル自身に学ばせる。
さらに、一度の学習結果だけに大きく左右されないよう、過去の学習結果も少しずつ取り込みながら次の学習に反映する。論文では「指数移動平均(EMA)」と呼ばれる方法を使っている。
つまり、完成した画像だけを採点するのではなく、画像を作っている途中でも「こっちへ進んだほうがいい」と教えるのがDiffusionOPSDの考え方だ。これによって、より少ない学習時間で画像生成AIの性能を高めることを狙う。
研究チームは、Stable Diffusion 3.5 Mediumを基にした「SD3.5-M」と、少ないステップで画像を生成する「Z-Image-Turbo」の2種類で性能を検証した。10種類の評価指標を使った計20の条件のうち、DiffusionOPSDは19条件で最も高い最終評価を記録した。最も性能の高かった既存手法と比べても、評価値は最大44.0%高かったとしている。実験結果はプロジェクトページでも公開している。
特に大きな差が出たのが学習時間だ。8基のGPUを使った実験では、SD3.5-Mを100回更新するために必要なGPU時間が、比較対象のDiffusionNFTでは47.2時間だったのに対し、DiffusionOPSDでは28.2時間と、約40%の削減に成功したという。
一方で、GPUを使う時間が63%減ったからといって、必要なコンピューター資源すべてが63%減るわけではない。Z-Image-Turboの実験では、ピーク時のGPUメモリー(VRAM)使用量は、DiffusionNFTの49.9GBに対し、DiffusionOPSDは61.5GBとむしろ増えた。
研究チームはコードもGitHubで公開。SD3.5-MやZ-Image-Turbo向けの学習済みデータも提供しており、1つの評価基準だけでなく、複数の基準を組み合わせて画像生成AIを改善する学習にも対応するという。
ただし、今回の数字は特定の画像生成モデルや評価方法、実験条件で得られた研究結果となる。商用の画像生成サービスでも学習費用が一律63%下がることを示したものではなく、論文も現時点では技術報告として公開された段階にある。
画像生成AIの高性能化に伴い、大量のGPUを使う学習コストは開発企業にとって大きな課題になっている。AIモデルをただ大型化するのではなく、「どう学習させれば、少ない時間で性能を高められるか」も重要になってきた。DiffusionOPSDは、画像生成AIの性能だけでなく、開発コストを下げる技術としても注目されそうだ。
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