• 2026/08/26 06:10 掲載

【最新調査】生成AI導入率が44%に倍増?それでも活用が進まない“5つの業務”

連載:第4次産業革命のビジネス実務論

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情報処理推進機構(IPA)は、企業のDX推進を目的に、DXに関する企業戦略、人材、技術について調査・分析した結果を「IPA DX白書2021」として2021年10月に発行し、それ以降「IPA DX白書2023」「IPA DX動向2024」「IPA DX動向2025」を公開してきました。今年度、それに続く第5弾として、「IPA DX動向2026」を2026年7月に公開しました。今回は、「IPA DX動向2026」から読み取れる日本におけるDX取り組み状況について私の意見も交えながら考察します。
執筆:アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO 福本 勲

アルファコンパス 代表CEO
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)

 1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。同年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げに携わり、その後、インダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともに、オウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の立ち上げ・編集長などをつとめ、2024年に退職。
 2020年にアルファコンパスを設立し、2024年に法人化、企業のデジタル化やマーケティング、プロモーション支援などを行っている。
 主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)、『デジタルファースト・ソサエティ』(共著:日刊工業新聞社)、『製造業DX: EU/ドイツに学ぶ最新デジタル戦略』、『製造業DX Next Stage: 各国/地域の動向やAIエージェントがもたらす新たな変革』(近代科学社Digital)がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。2024年6月より現職。

【最新調査】生成AI導入率が44%に倍増?それでも活用が進まない“5つの業務”の画像
生成AI「導入44%」でも成果が出ない理由とは…?
(画像:本文をもとに生成AIで作成)

浸透しつつも本質に踏み込めない日本企業のDX

 「IPA DX動向2026」の調査結果を読み解くと、DXは国内企業に広く普及し、AI導入も大企業を中心に進展していることが分かります。

 一方、その成果の中身を精査すると、依然として「業務効率化」に偏り、「企業価値創出」や「ビジネスモデル変革」には十分に踏み込めていない現実が浮かび上がります。

 調査結果の中でも象徴的なのは次の一文です。

「本調査の結果、DX の成果は業務効率化などに関する項目で高く、またAI は導入は広がっているものの、その活用は業務効率化・迅速化が中心となっており、DX、AI ともに企業価値創出への展開は限定的な状況にあることが明らかになりました。」(IPA DX動向2026)

 この一文は、DXが「普及フェーズ」から「変革フェーズ」へ移行できていない日本企業の構造的課題を端的に示しています。

 本稿では、本調査レポートのポイントを紹介しつつ、私自身の視点から日本企業のDXの本質的な課題と、今後の方向性を論じたいと思います。
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【DXの取り組み状況】約8割が取り組むも…根深い問題とは

 「IPA DX動向2026」の調査結果を見ると、DXに「何らかの形で取り組んでいる」企業は約8割に達し、過去数年とほぼ同水準で推移しています。

 現実に、DXに取り組んでいる企業(「全社戦略に基づき、全社的にDXに取り組んでいる」「全社戦略に基づき、一部の部門においてDXに取り組んでいる」「部署ごとに個別でDXに取り組んでいる」の合計)は2022年度の69.6%から2023年度は75.7%、2024年度は77.8%、2025年度は75.7%と、横ばいの状態にあります。

 DXはもはや特別な取り組みではなく、企業活動の一部として定着したと言えるのではないでしょうか。

画像
【画像付き記事全文はこちら】
DX の取り組み状況 (経年比較)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構〈IPA〉, 「IPA DX動向2026」,2026年7月)

 しかし、内訳を見ると課題が浮かびます。

  • 全社戦略に基づき全社的にDXに取り組む企業:35.6%
  • 部署ごとに個別でDXに取り組む企業:19.1%

 つまり、DXは「全社戦略としての推進」と「部署ごとの個別最適」が混在しており、企業内にDXの「島」が点在している状態が続いているのではないでしょうか。

 私は、多くの企業では、DXが経営戦略として位置づけられているものの、実際の推進は部門ごとの改善活動に留まっているのではないかと推察します。これは日本企業特有の「現場主導の改善文化」が強く働いているためではないでしょうか。改善文化は日本企業の強みですが、DXの本質は「事業の再設計」であり、改善文化だけでは越えられない壁があるはずです。

【DXの成果】効率化は成熟、でも“変革”はなぜ止まる?

 DXの成果が出ている割合(「すでに十分な成果が出ている」「すでにある程度の成果が出ている」の合計)を取り組み項目別に見ると、以下の2つが突出して高いことが分かります。

  • アナログ・物理データのデジタル化(デジタイゼーション):76.2%
  • 業務の効率化による生産性の向上(デジタライゼーション):80.3%

 これらはDXの初期段階にあたる取り組みであり、多くの企業が一定の成果を得ています。

画像
DX の具体的な取り組み項目別の成果状況(経年比較)
(出典:独立行政法人情報処理推進機構〈IPA〉, 「IPA DX動向2026」,2026年7月)

 一方で、DXの本丸である「デジタルトランスフォーメーション」領域は依然として成果が出ている割合が相対的に低くなっています。たとえば、下記の項目などは、依然として成果が低くなっているのです。

  • 顧客起点の価値創出によるビジネスモデルの根本的な変革:18.9%
  • 新規製品・サービスの創出:20.1%
  • 企業文化や組織マインドの根本的な変革:35.0%

 「IPA DX動向2026」の調査結果は、多くの日本企業がデジタイゼーション、デジタライゼーションには到達したものの、本来のデジタルトランスフォーメーションには踏み込めていないことを示しているのではないでしょうか。

 これは技術の問題ではなく、組織構造・文化・意思決定プロセスの問題であると感じています。 【次ページ】【生成AI導入状況】大企業 vs 中小企業
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