- 2026/09/10 07:10 掲載
【保存版】“本当に安いAI”はどう選ぶ? DeepSeek・GPT・Qwenを比べる「4ステップ」(3/3)
【保存版】単価が最安でも「安くならない」罠
ここまで単価の話をしてきましたが、実はこの表だけで決めると失敗します。「1トークンの安さ」と「仕事を終える安さ」は別物だからです。第三者評価のArtificial Analysisによると、DeepSeek V4 FlashとGPT-5.6 Lunaは総合的な知能指標がともに52で同点です。ところが、同じ評価を終えるまでにDeepSeekは1.6倍の出力トークンを使い、処理速度は3割ほど遅くなりました。
結果として、評価1タスク当たりの費用は、DeepSeekがLunaの2倍以上になっています。単価はほぼ横並びなのに、請求額は倍以上に開くのです。
これは、時給の安い人と仕事の早い人のどちらに頼むか、という話に似ています。時給1,500円で6時間かかる人より、時給2,000円で2時間で終える人のほうが安い。表示単価は「時給」であって、請求額ではないのです。
やり直しが起きれば、差はさらに広がります。エージェントに使う場合、不要なツール呼び出しを繰り返すだけで、単価の安さは簡単に消えます。
自社の「1タスク単価」を測る4ステップ
そこで、他社のベンチマークではなく、自社の業務で測ります。半日あれば終わる作業です。■手順1:代表タスクを10~20本選ぶ。議事録要約、問い合わせ分類、提案書のたたき台づくりなど、頻度が高く量の多い仕事をそのまま使います。
■手順2:同じプロンプトで3モデルに流す。プロンプトは1文字も変えません。まずはQwen 3.7 Flash、GPT-5.6 Luna、DeepSeek V4 Flashの3つで十分です。
■手順3:4項目だけ記録する。「合格したか」「やり直した回数」「所要時間」「出力トークン数」の4つです。項目を増やすと続かないので、ここは絞ってください。
■手順4:1タスク単価に直して比べる。出力トークン数に単価を掛け、やり直し回数を掛ければ、1タスク当たりの実費が出ます。ここまでできれば、料金表ではなく自社の原価で判断できる状態です。
つまずきやすいのは、合格ラインを決めないまま始めてしまうことです。「そのまま提出できる」「少し直せば使える」「使えない」の3段階で先に基準を決めておくと、集計で迷いません。
実際に測ると、単価が最安のモデルが1タスク単価では3番目だった、という逆転が起こります。さらに見えてくるのが、業務によって勝つモデルが違うという事実です。分類ではQwenが圧勝し、複数ステップの調査ではLunaが逆転する。「どれか1つを選ぶ」という問いの立て方自体が、もう合っていないのです。
値上げにも対応OK「振り分け」の重要性
測定結果が出たら、業務ごとに振り分けます。標準をGPT-5.6 Lunaに置き、単純な大量処理はQwenへ、画像や動画はGeminiへ、複雑な計画や重要判断だけを上位モデルへ回す。表で見た通り最上位モデルはLunaの25倍かかりますから、ここを絞り込めるかどうかが総額を大きく左右します。DeepSeekを使う場合も、時間帯別料金をルーターに組み込み、オフピークや週末に回せる処理を分離するだけで費用は下がります。
重要なのは、この振り分けを一度決めて終わりにしないことです。8月の1カ月で価格の序列は入れ替わりました。四半期に一度、手順3の4項目を測り直しておけば、値上げにも値下げにも追従できます。
低価格AIは「実用ROI」時代へ
今回の変化は、中国AIが安くなくなったという話ではありません。Qwenのように単価だけならGPTの10分の1で動くモデルは残っていますし、OpenRouterの実績を見れば、中国モデルが現場で選ばれ続けているのも事実です。DeepSeekもオフピークや週末、自前運用では競争力があります。
終わりつつあるのは、「安くて高性能なら、とりあえずこれ」という一択の状態です。21分の1という圧倒的な差があった頃は、細かく比べる必要がありませんでした。差が縮まったいまは、比べる意味が生まれたということでもあります。
低価格AIの競争は、単価から実用ROIへ移りました。料金表を見比べる時間を、自社のタスクを測る時間に振り替えたとき、AIコストは初めて管理できるものになります。
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