- 2026/09/09 12:00 掲載
オープンAI、数学の難問で“横取り”疑惑? ニューヨーク大教授が異議
オープンAIによると、開発中の内部モデルは、滑らかな外力を加えた3次元の流体で有限時間内に「特異点」が生じ得ることを証明したという。ただし、クレイ数学研究所は9月9日時点でも同問題を「Unsolved(未解決)」としている。正式な認定には公表後の検証や数学界での受容が必要で、オープンAIも賞金を請求しないとしている。
今回の研究には大規模な計算資源が投入された。オープンAIは約1万のAIエージェントを並列稼働させ、約88時間で解法に到達。さらにGPT-6 Astraを使い、定理証明支援系「Lean」による形式化と検証を行ったという。
一方、NYUクーラント数理科学研究所のトリスタン・バックマスター教授は、アンソロピック所属の数学者レヴェント・アルポゲ氏と約1年間、関連する問題を研究していた。バックマスター氏の声明によると、両氏は8月に滑らかな外力を伴う流体方程式で特異点形成に関する成果を得て、Leanによる検証も終えていた。
争点の1つがCodexだ。バックマスター氏は研究中、草稿をCodexに入力していたため、そのデータがオープンAIの内部モデルの学習に使われた可能性を質問したという。ただし同氏自身も、自分たちのデータが実際に利用されたかは分からないと明記している。
オープンAIは、研究者やAIエージェントが両氏の未公開研究を見たことはなく、問題を解くために特定ユーザーのデータへアクセスしたこともないと説明している。一方、匿名化された利用データがモデル改善に間接的に寄与した可能性については完全には排除していない。
もう1つの対立が、研究成果の扱いだ。米テッククランチの報道によると、バックマスター氏は、オープンAIの数学研究を率いるセバスチャン・ビューベック氏との協議を巡り、アルポゲ氏の扱いに疑問を抱いたという。
さらにバックマスター氏は、経緯を公表すると伝えた際、ビューベック氏から「なぜ自分のキャリアを台無しにするのか」と言われたと主張した。ビューベック氏は「キャリア」に触れたこと自体は認め、言葉選びが不適切だったとして謝罪した一方、脅迫する意図は否定している。
現時点で、オープンAIが両氏の未公開研究を直接利用したと断定できる証拠は示されていない。ただ、AI企業のサービスを研究者が使い、そのAI企業自身も同じ研究課題に挑む時代に、未公開データや研究成果の帰属をどう扱うのかという、新たな研究倫理上の課題を、本論争は浮き彫りにした形だ。
AI・生成AIのおすすめコンテンツ
AI・生成AIの関連コンテンツ
PR
PR
PR