新規会員登録再開のお知らせ

新規会員登録を9月14日9:30より再開いたしました。ログアウト状態になっている方はお手数ですが再度ログインをお願いいたします。

  • 2026/09/23 06:10 掲載

AIロボットから「NVIDIA対抗」半導体まで…ソフトバンク“全方位AI戦略”のヤバい全貌(2/2)

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。

プロジェクト1:AIロボットの自社事業化

大山(筆者):「AI時代」にSBGが取り組んでいるプロジェクトについて、技術者の観点でどのように見ていますか?

技術者M氏:同社の取り組みを見ていると主に4つの挑戦が浮かび上がってきます。

 まず1つ目は、「AIロボットの自社事業化」です。外から見るとそれほど意外性はない取り組みかもしれませんが、中身を見ると目が離せない挑戦が入っています。それは、ロボット本体をはじめ、主要な半導体を自社グループに取り込み、グループ内のリソースを使った垂直統合による夢のAIロボットの事業化に挑戦する、という点です。

 ロボット本体では、買収契約を締結し買収完了を待つABBのロボティクス事業が中核になり、半導体ではArmのIPに加え、M&Aで傘下に収めたAmpereやGraphcoreなど、グループが持つAIコンピューティングの技術資産を活用していくことが考えられます。DRAMを立てて、横に並べていく垂直ビルド構造が特徴の次世代メモリーは、グループ内の会社SAIMEMORYがインテルと共同開発中です。周辺部品も出資先の国内ベンダーなどから調達すれば、いわば「オールソフトバンク」のリソースを組み合わせたロボットを実現することも可能でしょう。

 販売に向けた社会実装に当たっては、自社AIDCインフラと自社モバイル通信網による分散AIインフラを連携して、さまざまなタイプのロボットを社会に送り出し、顧客へのカスタムサービスまでのすべてを垂直統合することが可能です。ABBに加え、SBGはSoftBank Robotics、Berkshire Grey、AutoStore、Agile Robots、Skild AIなど複数のロボティクス関連企業を傘下や投資先に持っており、産業・物流をはじめ、さまざまな用途へAIロボットを横展開していくのでしょう。

プロジェクト2:AIインフラの構築

大山:SBGもやはりフィジカルAIから入るのでしょうかね。フィジカルAIはエッジ側にAI機能を持たせることになりますが、クラウド側にもSBGはAI構想を持っているのでは?

技術者M氏:それが2つ目のSBGの取り組みである「AIインフラ」です。

 世界はAIデータセンター(以下、AI DC)建設の大ブームで、日本でもAI DCの建設が盛んです。その中で、群を抜いて大型DCの建設中にあるのが、政府からの助成を受けた苫小牧AIDC棟です。2026年度に50MWで開業予定、将来的には300MWに拡大が予定されています。

 ちなみに、足元では数十MWから100MW級の大型案件も具体化しているものの、日本で建設・整備が進むAIデータセンターでは、10MW前後の案件も少なくない中で、SBGの並外れた大きさがわかります。2026年度中に開業予定で、ここには、基盤モデル開発子会社SB Intuitionsが開発し、政府のガバメントAI「源内」で試用する国産LLMに選定された「Sarashina(さらしな)」などを動かすAI計算基盤が整備されます。「国内最強」のAIDCとなり得るでしょう。

大山:他社のAIDCと比較してだいぶ大規模ですね。

技術者M氏:このプロジェクトには、“弟プロジェクト”もあります。それが完成して連結すると、総合次世代AIインフラが完成です。大型DCを「固定集中インフラ」と呼ぶとしたら、この弟プロジェクトは、自社モバイル網とエッジAI(AI―RAN)を連結した「分散型AIインフラ」です。固定AIと分散モバイルAIのコラボによって多岐にわたるフィジカルAIの利活用が可能になります。今、KDDI、NTT、エリクソン、Nokiaが競合開発をしていますが、SBG弟分は社会実装段階でよい結果を出しています。移動系フィジカルAIではこれが必須のインフラになるでしょう。

プロジェクト3:国産基盤モデル開発プロジェクト

大山:基盤モデル開発、ソブリンAI、という言葉が出てきましたね。今年6月末に日本政府が「国産AI開発の支援」について発表していましたが、その件でしょうか?

技術者M氏:はい、その通りです。それが3つ目の取り組みです。

 先日、「フィジカルAI」の土台となる、国産AI基盤モデルを開発する国策プロジェクトに、ソフトバンクなどが出資する「ノエトラ社」が選出され、NEC、ホンダ、ソニーなどの中核企業と連携しながら開発を主導していくことになりました。ノエトラ社が開発を主導して、国内ロボット業界各社や銀行など44社から出資を受け、研究開発に着手しています。日本のAIを代表する「AI・半導体」のテクノロジーインフラづくりに選ばれたノエトラ社は、国内の開発モデル利活用事業者のニーズを踏まえ、国際的にも認められる「マルチモーダル基盤モデル」を開発する計画です。

 2030年度までの総事業規模は1兆円の大型プロジェクトです。特筆すべきは、世界の14の研究機関などからテクノロジー開発や実験で参加協力を受けること。そして、このプロジェクトに対しNVIDIAが開発に必要な半導体デバイスなどで協力をすることです。経産省がこのプロジェクトを国産開発にこだわるのは、世界各国のAI・半導体「ソブリン主権」化に合わせる必要に加え、日本の経験が盛り込まれた現場データの国外拡散を嫌うためです。SBGは日本のフィジカルAIの将来を担う責任を負っている、とも言えそうです。

プロジェクト4:ASIへの挑戦

大山:やはりSBGはクラウド側もエッジ側もカバーして、なおかつ日本独自のAI基盤開発を手掛ける、という全方位戦略で進めようというわけですね。となると、我々のような半導体業界人としては、半導体の戦略が気になりますね。この辺りはどうでしょうか。

技術者M氏:まさにそれがSBGの4つ目の取り組みであるASIへの挑戦に関わってきます。

 ASI(人工超知能)とは、やがて来る、人間の知能を超越した知的能力を持つAIシステムのことです。 SBGは、最大15兆円規模とも報じられたAI半導体構想「イザナギ」を検討し、NVIDIAの牙城に挑戦する次世代AIプラットフォームの構築を目指しているとみられます。

 SBGは持論としてASIの実現にはAIモデルだけでなく、半導体、AIインフラ、ロボットまでが必要だとの考えを示しています。また彼らは、ASIを実現する上で、電力をはじめとする計算インフラ側の物理的制約を乗り越える必要性も認識しています。言い方を変えれば、今のGPU方式は、GPGPUとして幅広い計算に対応する汎用的な構成になっているため、用途によっては電力効率やメモリ帯域、レイテンシが制約になります。この先のASIの継続学習まで考えると、現在の構成のままで十分なのかという課題がある、と私は見ています。

 SBGは、NVIDIAが開発したGPU方式の物理的壁を覆して、いわば「新しい景色」を見たいように見受けられます。私は、SBGがArmの設計基盤を活用しながら、AI向け半導体の開発体制を整えていくのではないかと見ています。その後、Armは自社開発半導体「AGI CPU」を投入しています。一方、SBGではArmの設計力にGraphcoreやAmpereのチップ開発力を組み合わせた半導体開発も進めていく可能性があり、これが「いざなぎ」と報じられた構想につながっていく動きとも考えられます。将来的にはArmのCPU/SoC設計技術やGraphcore、Ampereの半導体技術などを組み合わせていく可能性もあるでしょうが、詳細は公表されておらず、今は“夢多く、情報は少ない”状態です。

大山:なるほど。どのような道筋で進みそうでしょうか?

技術者M氏:実装段階では、SBGがAIチップ・AIロボティクス・データセンター・電力インフラを自社グループのリソースを軸に垂直統合的に押さえていき、その先には、オハイオ州で建設中の最大10GW規模の世界最大級AIデータセンターのような巨大基盤が、将来的に「いざなぎ」で構想されるAI半導体を積んだAIサーバーを稼働させ、ASIの物理的基盤になる――そんな壮大な将来像も見えてきます。

 最終目的としては、SBGがAI産業の川上を握るという長期目標があるのでしょう。そしてAI計算ソフト基盤をNVIDIA―CUDA依存から早く脱却しようという狙いもあるでしょう。Armが自社設計CPUチップの販売に参入したのは実はこのプロジェクトがあるからかもしれません。

大山:孫氏ならではの慧眼と思いますが、その一方で、半導体まわりに対する孫氏のスタンスについて、非常に心配な点もあります。たとえば、買収したアームをNVIDIAに売却しようとしたり、最近のアームの『顧客とケンカしてでも成長路線を突き進む』とも見える方針に対して、孫氏はむしろそれを後押ししているのでは、とも思えるのです。この辺りはどう思われますか?

技術者M氏:今年4月には、ArmのCEOであるレネ・ハース氏がSoftBank Group International(SBGI)のCEOも兼任する人事が発表され、株主総会でも触れられました。

 実はインターナショナルがArmを管理するようになり、レネ・ハースさんが二重のリーダーシップ職に就任したことについて、投資家にとっては、「孫氏の後押し」どころか、戦略のより深い統合とSBGのトップである孫氏からの長期的なコミットメントを示唆しており、投資家から見ても、SBG内でArmの戦略的重要性が一段と高まっていることを示す材料になっていると考えます。この人事はSBGが投資会社からAI総合実業会社へと変わっていくという宣言であり、Armを軸とするAI・半導体事業会社への関与を一段と深めている象徴ではないかと思います。

 そのため、Armの半導体ベンダーへの参加について強気の発言になったのかと。おっしゃった危惧や孫氏の半導体オペレーションの懸念も、この人事で薄まるのではないかと思います。

Googleで見つけやすく

評価する

いいね!でぜひ著者を応援してください

  • 0

会員(無料)になると、いいね!でマイページに保存できます。

共有する

  • 0

  • 1

  • 0

  • 0

  • 0

関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

基本情報公開時のサンプル画像
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます

基本情報公開時のサンプル画像