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  • 2026/10/08 07:10 掲載

ベインに聞くヒューマノイドの「現在地」、フィジカルAIの社会実装はどこから始まる?(3/4)

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ヒューマノイド「4つの核心技術」、2~3年で人間を超え?

 ヒューマノイドロボットを語るとき、多くの人が思い浮かべるのは、二足歩行で滑らかに動く姿だろう。しかし西脇氏は、このロボットを成立させている技術を4つの要素に分解し、それぞれの進化スピードと現在地を冷静に分析する。

 4つの要素とは、「知能(Intelligence)」「認知(Perception)」「手さばき(Handling)」「電源(Power)」だ。

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ヒューマノイドを構成する4つのコア技術と人間レベルに達するまでの予測タイムライン
(出典:ベイン・アンド・カンパニー)

 最も速く進化しているのが「知能」と「認知」である。

 生成AIの急発展に加え、視覚・言語・動作を統合して物理タスクを実行するVLA(ビジョン・ランゲージ・アクション)モデルと呼ばれる新しいアーキテクチャの登場により、推論・計画立案・対話を担う「知能」は、今後2~3年以内に多くのタスクで人間と同などか、それを上回る水準に到達する可能性が高い。

 「認知」についても、LiDAR(レーザーを用いた距離測定技術)などのセンサー技術の進展により、構造化された環境下では実用レベルに近づきつつある。

「知能の部分は、AIが推論して判断していくところで、物によって多少判断を誤る部分はありますが、おそらくもう2~3年も経たないうちに人間を超えるだろうというのが技術的な進歩です」(西脇氏)

 一方、「手さばき」と「電源」には、依然として大きなギャップがある。

 人間の手は、柔らかいものを触るときに無意識に力を弱める。熱いものには即座に反応する。透明なグラスも、表面のざらついた岩も、状況に応じて最適な把持力でつかむ。この精緻な感覚と判断を、ヒューマノイドが完全に再現することはまだできていない。西脇氏は、この「手さばき」の難しさをこう表現した。

「人間は、実はものすごく素晴らしい判断をしていて、この物は柔らかいので弱く持とうとか、こういった判断を瞬時にされています。ここがまだまだヒューマノイドの技術という観点では、でき切れていない部分です」(西脇氏)

 手さばきが「5年」で人間レベルに到達すると見込まれるのに対し、「電源」の課題はより根深い。最新機種のヒューマノイドの多くは、4時間超の稼働が可能になりつつあるが、充電インフラを必要とせずに人間と同じように無充電で長時間動き回れるようになるまでには、バッテリーの技術革新が必要であり、それには5~10年かかる可能性があると西脇氏は指摘する。

 ただし、この「電源問題」が即座に実用化の障壁になるわけではない。工場のように電源へのアクセスが常に可能な環境であれば、2時間おきに充電するなどの運用上の工夫で対応できる。つまり「使える環境」は着実に広がっているが、「どこでも使える」レベルには至っていない──それが現在地だ。

 技術の進化速度を整理すると、知能・認知が2~3年、手さばきが5年、電源が10年というタイムラインが浮かび上がる。これは「ヒューマノイドがまだ遠い未来の話」でも「すぐに実用化できる」でもなく、「使えるところから段階的に使い始める」という現実的な判断軸を提供している。 【次ページ】なぜ工場から始まるのか? 段階的社会実装の現実解
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