- 2026/10/08 07:10 掲載
ベインに聞くヒューマノイドの「現在地」、フィジカルAIの社会実装はどこから始まる?(2/4)
フィジカルAI「2つのポイント」
何がフィジカルAIをこれまでのAIと異なるものにしているのか。西脇氏は2つのポイントを挙げる。1つは学習能力の広がりだ。物理的なセンサーからリアルタイムに情報を取得し、フィードバックを受け取れるため、学習の情報源が大幅に拡張される。
もう1つは複雑性への対応力だ。バーチャル環境とは異なり、物理環境では非構造化された状況での判断がより多く求められる。その複雑性を扱えるようになったことが、フィジカルAIが現実の現場に踏み込める理由となっている。
フィジカルAIが台頭しているのは、なぜ「今」なのか。この問いに対しても、西脇氏は明確な答えを持っている。技術が進化したからだけではない。
現場の側も、AIを必要とする状態が整ってきたのだという。人口動態の変化による労働力不足、ロボット製造コストの劇的な低下、地政学的な変化によるサプライチェーンの再構築ニーズ──これらの構造的要因が重なり合い、自動化への需要が世界的に急加速している。
「AIでできることが増えたという技術側の視点が注目されがちですが、一方でやはり現場が、AIを必要とする状態が整ったということ。この変局点に技術面、コスト面が適用してきた結果、一気に普及する環境が整ったと捉えています」(西脇氏)
ロボットの製造コストは近年大幅に低下しており、人件費とのコスト差は確実に縮まっている。産業用ロボットの平均単価は、過去30年間で毎年5%低下し、25~35年の10年間で年率7~9%低下していくと見込まれる。
労働力不足が深刻な製造業や物流・倉庫業では、その経済合理性がすでにデータとして確認され始めている。「投資回収が見込める/投資対効果が成立する」という判断が現場で下せるようになってきたことがフィジカルAI普及を加速させている。
フィジカルAIが普及する一方、中でも注目の集まるヒューマノイドを「現実の解」に変えるには、技術の現在地を冷静に見極め、どこから実装し、どこで勝つのかという問いに答えねばならない。 【次ページ】ヒューマノイドの4つの核心技術──何が「2~3年で人間を超える」のか
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